危機管理強化 首相の権限拡充 行革会議の「中間整理」外庁は業績を公表  May.02.1997

行政改革会議(会長・橋本龍太郎首相)は1日、各委員の意見をまとめた「中間整理」を公表した。内閣の危機管理体制を強化するため、緊急時には閣議を開かずに首相が各省庁を直接指揮できるようにすることや、官房副長官クラスの危機管理担当官を新設する構想を政府に提示。中央省庁の再編では、執行機能の組織を分離するエージェンシー(外庁)制度の導入をめぐり_トップを民間から起用する_企業並みに業績を公表し評価する_などの意見を盛り込んだ。行革会議は省庁再編案作りに向け、連休明けの7日から各省庁と協議にはいる。

危機管理の強化では、ロシアタンカーの重油流出事故やペルーの日本大使公邸人質事件で政府の対応に批判が高まったことを踏まえ、委員の意見のうち一致した部分を提言として集約、政府に対応を促した。

最大の柱は首相の指揮権の拡充で、災害や事故などの緊急時に首相が各省庁を直接指揮できるように事前閣議決定しておく案を明記。緊急時に首相や官房長官を補佐し、関係省庁に指示を出す危機管理担当官の設置も提案した。これを受け、政府は内閣官房の改組を柱とする内閣法改正案を秋の臨時国会に提出する。

省庁再編に関しては、各委員の意見を列挙する形でまとめた。自民党の「橋本行革ビジョン」を踏まえ、22ある省庁を半分に減らすべきだとの意見を盛り込んだ。外庁制の導入では「一定の基準を決めて各省庁に実行を義務づける」などの積極意見が多いが、「拙速に形だけの制度を取り入れるのは避けるべきだ」との慎重論も併記した。

再編の焦点となっている郵政3事業のあり方をめぐっては「民営化か少なくとも外庁化する」など経営形態の見直しに前向きな意見が目立っている。

「中間整理」の骨子

  • ○緊急時に各省庁を直接指揮する権限を首相に付与

    ○官房副長官級の危機管理担当官を設置

    ○中央省庁の執行部門を分離する外庁制導入を検討

    ○現在22ある省庁を削減

    ○郵政3事業の経営形態の見直しを検討

  •  ○予算編成や幹部人事の基本方針を首相が提示

     ○総理府などに各省庁に対する調整権を集約


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