1、(1月号)
雨の日に放流される未処理のし尿
病原菌の海の実態を誰も知らない。
 東京湾には、54ヶ所のポンプ所から、雨天時に年間8000万tの汚水が流
 れ込んでいる。明治以来の合流式下水道というシステムが、東京湾を病原菌の
 海にしている?

2、(2月号)
生き物たちの貧酸素水塊との死闘
富栄養化で東京湾が枯渇してゆく
 雨の日に未処理で放流されるし尿など下水道排水の増加で富栄養化が進む東京
 湾。貧酸素水塊の出現で、カレイ、アナゴが激減。底魚漁業が存亡の危機に立
 たされた。

3、(3月号)
東京湾に流入するダイオキシン類
魚介類に濃縮するコプラナーPCB
 下水処理場で処理しきれないのは、し尿だけでなかった。活性をもった女性ホ
 ルモンの放流が魚のメス化現象を招くのか。有害化学物質による汚染はとまら
 ない。

4、(4月号)
EU基準超すダイオキシンが食卓に
有機スズ化合物汚染で貝が両生化
 東京湾は下水処理施設からあふれたし尿、処理しきれない環境ホルモン、河川
 を通して漏出した化学物質のたまり場だった。その結果、いま汚染魚が亡霊の
 ように回遊している。 

5、(5月号)
東京湾再生に向けた会議がスタート
下水道最後の捨て場に再生はあるか
 東京湾は合流式下水道の時代からの汚水の捨て場だった。海底は有害物質のた
 まり場となった。また、台風のときには河川から大量のごみが流れ出し、太平
 洋のごみの汚染源となっている。

著者、芦崎治さんは、環境ジャーナリストです。
 編著書に『こんなモノなしで、暮らしたい』ムダ・ウォッチングのすすめ
 発行 :太郎次郎社 、本体価格 :1800円 発行日 :2000年7月5日

日経エコロジーのサイト、http://eco.nikkeibp.co.jp/eco/

------------
【コメント】
1、海は人類の(地上動物の)故郷です。母にたとえられる本源的な包容性を海
には感じます。その根拠は、たとえば、海の成分と人間の血液の類似性から論じ
ることも出来るのかもしれません。
故赤堀四郎・元大阪大学長は「人間の体の中には海がある」と表現したそうです。
http://www.asahi.com/nature/special/011031a.html

2、水処理の仕事は意識的にか無意識的にか、心のどこかでこの海とつながって
いるという気持ちがあると思います。人々が汚した水をきれいにして海と自然に
返しているのだという気持ちです。そう思うことで励みになる現場の仕事も多々
あります。

3、でも、個々の水処理の仕事を海がどのようにトータルに評価してるかをとら
えなおす作業はあまりやられていないのではないかと思います。ダム湖、湖沼な
どは、割合はっきりした結論が出されます。河川から海へ処理水が放流されてい
く場合、それこそ茫洋としていて指標として明示できなかったと思います。

4、水処理の外からの視点が、この課題に挑戦してるのではないかと前々から感
じていました。海洋学者や漁師や何らかのかたちで海にかかわる人々から水処理
にたいして、意見があるのではないかと思っていました。それにしても「下水道
最後の捨て場」という表現は、きついですね。

5、今度、東京湾のルポを読んでみて、水処理には従来にはない新しい指標と論
理が必要だと痛感しました。「第5次総量規制で窒素、リンが加わったことだし、
もう大丈夫だよ」という声のあることもわかりますが、それだけでは足りないと
思います。では指標と論理、新しい枠組みとはなんだ、と言われてもすぐ提示で
きるほど簡単ではありませんが、変えなければならないことはたしかだと思いま
す。そのようなことを考える材料として、入手がもっと簡単だといいのですが、
大きな図書館などで是非手に入れてこのルポの一読をおすすめします。