平成11年3月22日開設 平成12年3月16日最終更新
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ただいま熊木俊明と株式会社日経BPとの間の民事訴訟は下記のとおりあります。
1 東京高等裁判所平成11年ラ第717号保全命令却下決定に対する即時抗告事件・第20民事部。
2 東京地方裁判所平成9年ワ第26151号減額賃金請求事件・民事11部 判決は3月17日10時。
3 東京地方裁判所平成12年ヨ第21057号地位保全仮処分申請事件・民事11部 審尋期日は3月17日11時半。非公開
4 東京地方裁判所平成11年ワ第4526号地位確認と譴責処分無効確認と慰謝料等請求事件・民事19部。
次回進行協議期日は3月17日10時30分・非公開
5 東京高等裁判所平成12年ラク第120号職務執行停止等仮処分却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告提起事件・同ラ許第44号抗告許可申し立て事件・第1民事部。
6 このほか、平成11年都労委不第104号が日経新聞を含めて継続中です。
1 また、相手方代理人である清水謙弁護士に対する
日弁連平成12年懲(異)第43号事件の審査中です。
2の事件判決が原告勝訴の債務名義となった場合は、通常は債権額と比べて費用倒れとなる被告所有の自社ビル(千代田区平河町2丁目7番3登記上)を強制競売し、配当により換価することを予定しております。自社ビルはLAN 配線も完備しており、最高裁で不動産占有に対する判例変更もあったことから、外資系企業などに引き合いがあると思います。
上記意志表示は、被告の誠意のない態度からの反作用です。
地位保全仮処分命令申立書
一三一〇〇三二 墨田区東向島二丁目三四番七―一〇四号
債権者 熊木俊明
一〇二八六二二 千代田区平河町二丁目七番六号
債務者 株式会社日経ビーピー
右代表者 代表取締役吉村久夫
右当事者間において、東京地方裁判所平成一一年ワ第四五二六号地位確認等請求事件が本案訴訟として継続しているが、債権者を債務者が解雇するおそれが生じたのので、先のとおり地位保全仮処分の申立をする。
平成一二年三月三日
右債権者 熊木俊明
東京地方裁判所民事(労働専門)部御中
申立の趣旨
一 債務者は、東京地方裁判所平成一一年ワ第四五二六号地位確認等請求事件が確定するまで、債権者を債務者の従業員として取り扱え。
二 債務者は、東京地方裁判所平成一一年ワ第四五二六号地位確認等請求事件が確定するまで、債権者を日経ビーピー厚生年金基金および日本経済新聞社健康保険組合の構成員として取り扱い、保険料を拠出せよ。
三 申立費用は債務者の負担とする。 との裁判を求める。
申立の原因および理由
第一 被保全権利
一 債権者は、昭和五八年四月に債務者と労働契約を締結した。採用時の雇用条件によると、職種は編集記者、勤務地は東京であった。
二 債務者は平成六年八月にいたるまで、複数の職場であるが編集記者としての業務に債権者を従事させてきたが、平成六年八月二三日付けで取締役内藤易男(当時)は、同年九月一日付けで編集記者でない事務職場の厚生部に勤務することを命じた。
三 債権者は同年八月二五日付けの確定日付ある内容証明郵便にて債務者代表取締役鈴木隆(当時)あて労働契約条件の変更の申し込みを承諾しない意志表示をした。
四 債権者は同八月三一日付けで地位保全仮処分申立をした。
五 債務者は内示を強行し辞令を発令した。債権者は仮にその業務命令にしたが、必要最低限に限り職務を遂行し、人事自己申告などの人事異動に同意したと見なされる行為は現在まで一環して拒否している。
六 給与が一般水準以上額が支給され、賞与を世間水準以上支給されているためか、保全の必要性がないと判断され、仮処分は地裁で平成七年に却下され、抗告審も平成一〇年三月に棄却となった。
七 債務者は、その後債務者に損害を与えていないのに譴責処分を二月二四日付けで一方的に発令した。
八 債権者は、地位確認請求および前項の譴責処分無効確認および名誉毀損による慰謝料請求を、債務者および高田寛司郎に対して提起し、現在平成一一年ワ第四五二六号として審理中である。
九 その後、債務者は、部会欠席といった高田司郎の形式的業務命令違反を理由に、債務者に損害を与えていないにもかかわらず、譴責処分や減給処分や出勤停止処分を発令した。
一〇 前項の無効確認は訴えの追加によりワ第四五二六号事件において、私人の懲戒機能は労働者の包括的または個別的同意がある場合に行使できることから、人事異動を同意していない債権者に対しての処分は無効であるなどとして争っている。
一一 だが出勤停止処分後、その翌月の支給給与から前月分の出勤停止日数による減額賃金を債務者はなした。この翌月からの減額はなんら就業規則で定めはなく、債務者に損害を与えないように必要最低限の業務遂行に協力してきた債権者の不利益となり、受忍限度を超えた。
一二 このため、精神状態が不安的となり、平成六年に受診した歯科医に歯痛を理由に再度受診した結果、エックス線撮影では平成六年と変わりがないと説明を受けた。この事実は精神的に不安定になったことによる疾病症候群である。
一三 債権者は、平成一二年一月一〇日から、一一年ワ第四五二六号事件の次回進行協議期日である平成一二年三月一七日まで欠勤することを予告し、さらに同事件被告(本件債務者)代理人にその欠勤期限は本案事件確定までと通知した。代理人への通知は今後債権者への通知はすべて代理人経由でないと受け取り拒否する旨通知した。
一四 債務者の就業規則では予告連絡ある欠勤は減額しない定めであり、一月欠勤の結果を調整することとなる平成一二年二月支給給与の減額はなかった。
一五 債務者従業員からの通知はすべて受け取り拒否をしてきた。
一六 ところが、疎甲第一号証(本件重要な書証)として、何ら説明なく債務者は債権者の給与振り込み口座に合計九二万六四九一円を振り込んだ。
一七 この振り込み金額は、労働基準法第二〇条による解雇予告手当か、退職手当の相当額の可能性がある。
一八 労働基準法第二四条一項、労働基準法施行規則第七条の二によると、賃金の支払いは直接現金で労働者に支払うことが原則であり、労働者の個別同意があって初めて銀行等の振り込みが認められる。この個別同意は労働組合の包括的同意により省略できないほどの強い自己決定権である。
一九 同意がない以上、説明のない現金の振り込みは贈与と解釈せざるを得ない。
二〇 だが、一七項の趣旨による通知が債権者に到達すると、これら瑕疵は治癒されるとの主張を債務者がなすことが予想される。
二一 よって、送金趣旨文書を債権者が受領する前に本件訴訟提起した次第である。
二二 送金金額内容について債権者は債務者の人事部長木瀬裕次に平成12年三月二日に電話で問い合わせたが、代表取締役社長吉村久夫名義差し出し文書を発送しているのでその文書を読んでほしいと回答しただけであった。
二三 債務者法務部長にも前項までの趣旨を確認をお願いしたとところ、疎甲第二号証のとおり、送金の趣旨は発送しているとの確認するだけであった。
第二 保全の必要性
東京地方裁判所平成一一年ワ第四五二六号地位確認等請求事件が係属しているが、被保全権利の疎明のとおり、平成一二年一月一〇日頃以降の欠勤を業務放棄とみなくことによる解雇を債務者が債権者にする急迫なおそれがあり、民事保全法第一五条による保全命令発令の必要性がある。
第三 保全命令の担保
本件意味不明入金金額である金九二万六四九一円を、民事保全法第一四条による保全命令の担保として供託の用意が債権者にはある。
第四 審尋期日の上申
ワ第四五二六号事件進行協議期日が平成一二年三月一七日一〇時三〇分であり、別訴であるが同一当事者間の東京地方裁判所平成九年ワ第二六一五一号事件判決が同三月一七日一〇時に指定しており、債務者代理人が出頭する予定であることから、本件債権者審尋問を平成一二年三月一七日一〇時、債権者債務者双方審尋を同一〇時一五分に指定されたく上申いたします。
平成一二年ヨ第二一〇五七号
債権者 熊木俊明
債務者 株式会社日経ビーピー
主張書面(一)
平成一二年三月一七日
右債権者 熊木俊明
東京地方裁判所民事一一部に係御中
申立の趣旨の追加的変更
一 債務者株式会社日経ビーピーは、債権者に対し、毎月二五日限り、金五八万二〇五九円を、東京地方裁判所平成一一年ワ第四五二六号事件判決が確定するまで仮に支払え。
二 債務者株式会社日経ビーピーは、債権者に対し、毎六月と一一月の労働協約に基づく賞与を、東京地方裁判所平成一一年ワ第四五二六号事件判決が確定するまで仮に支払え。
被保全権利および保全の必要性
第一 被保全権利
三月三日付け熊木俊明解雇辞令がでたようですが左記の通り明らかに手続きが不備であり、無効である。
一 事実関係
3月2日 日経BPから意味不明入金あり(解雇予告手当ではないかと危惧)
3月3日 東京地裁平成12年ヨ第21057号地位保全仮処分申立
3月3日 配達証明が日経BPから配達されるも不在返戻(通知)
この内容が解雇通知と思われるが熊木は受け取っていない。
3月6日 ヨ第21057号地位保全仮処分申立事件期日が3月17日11時半にすることを熊木に打診
3月7日 期日同意を裁判所に通知、裁判所は申立書を送達
3月7日 配達証明2通を受け取り拒否
3月8日 裁判所から申立書送達到着および配達証明返戻
3月9日 3月3日付けで解雇処分公表(これは不在返戻にもかかわらず配達証明が配達されたからとの理由の模様)
二 裁判所からの書類は郵便書留の特別の形として特別送達がありますが、その送達報告日は実際に受け取った日であり、当初の配達予定日ではありません。特別送達では受け取り拒否した場合は、さしおき送達などの制度があり、受け取り拒否の効果はありません。
しかし、配達証明には受け取り拒否が可能であり、民法の意思表示は到着時である。郵便局の配達証明は、不在留め置き満了日に受け取るべき者に到着が擬制されるという説が判例では通説となっている(3月3日配達不能の場合の期限は10日)。
第二 保全の必要性
よって、3月9日に公表された解雇辞令は明らかに民法第95条に違反し無効である。平成一一年ワ第三五二六号事件に解雇無効の訴えの追加してその判決をまっておられないほどの急迫な事情があり、賃金仮払いを認めるべき理由がある。なお、債権者には生計を一とする別居扶養親族(母親)があり第一勧業銀行調布支店あて振り込みは仕送りであり、生活の確保と健康保険の適用のため賃金仮払いと健康保険適用は急迫な理由がある。
平成一二年ヨ第二一〇五七号
債権者 熊木俊明
債務者 株式会社日経ビーピー
平成一二年三月一七日
右債権者 熊木俊明
東京地方裁判所民事一一部に係り御中
求釈明
一 債権者に対する債務者からの解雇通知が三月三日付けであったことを証明する書証を提出せよ。
二 この書証は存在しないのではないか。
平成一一年ワ第四五二六号
原告 熊木俊明
被告 株式会社日経ビーピーほか
準備書面
平成一二年三月一七日
右原告 熊木俊明
東京地方裁判所民事一九部は係御中
請求の趣旨の追加的変更
一 債務者株式会社日経ビーピーは、債権者に対し、平成一二年三月三日付け懲戒解雇が無効であることを確認する。
請求の原因
第一 懲戒解雇の意思表示は不受領であり無効
三月三日付け熊木俊明解雇辞令がでたようですが左記の通り明らかに手続きが不備であり、無効である。解雇の危険を保全するために東京地方裁判所平成一二年ヨ第二一〇五七号を三月三日に立件し、保全事件でも争っているところである。
一 事実関係
3月2日 日経BPから意味不明入金あり(解雇予告手当ではないかと危惧)
3月3日 東京地裁平成12年ヨ第21057号地位保全仮処分申立
3月3日 配達証明が日経BPから配達されるも不在返戻(通知)
この内容が解雇通知と思われるが熊木は受け取っていない。
3月6日 ヨ第21057号地位保全仮処分申立事件期日が3月17日11時半にすることを熊木に打診
3月7日 期日同意を裁判所に通知、裁判所は申立書を送達
3月7日 配達証明2通を受け取り拒否
3月8日 裁判所から申立書送達到着および配達証明返戻
3月9日 3月3日付けで解雇処分公表(これは不在返戻にもかかわらず配達証明が配達されたからとの理由の模様)なおこの事実関係は三月九日に社内で公表された経緯を間接情報として知った次第である。
二 裁判所からの書類は郵便書留の特別の形として特別送達がありますが、その送達報告日は実際に受け取った日であり、当初の配達予定日ではありません。特別送達では受け取り拒否した場合は、さしおき送達などの制度があり、受け取り拒否の効果はありません。
しかし、配達証明には受け取り拒否が可能であり、民法の意思表示は到着時である。郵便局の配達証明は、不在留め置き満了日に受け取るべき者に到着が擬制されるという説が判例では通説となっている(3月3日配達不能の場合の期限は10日)。
第二 結語
よって、3月9日に公表された解雇辞令は明らかに民法第95条に違反し無効である。
第三 求釈明
一 債権者に対する債務者からの解雇通知が三月三日付けであったことを証明する書証を提出せよ。
二 この書証は存在しないのではないか。
異議申立書
131−0032 墨田区東向島2−34−7―104
異議申立人 熊木俊明
平成12年2月26日
懲戒請求した弁護士の氏名および所属弁護士会
1 清水謙
2 第一東京弁護士会
異議申立人は平成一一年に清水謙弁護士の懲戒請求を第一東京弁護士会に請求したが、平成一一年綱紀第一五号事件の議決書として、「被請求人を懲戒委員会の審査に付する必要はないものと認める」との通知を、平成一一年一二月二八日に受け取ったが、弁護士法第 条により日本弁護士連合会に異議申立をする。なお、第一東京弁護士会からは日本弁護士連合会に異議申し立てできる旨の通知はありましたが、詳細は直接問い合わせるようにとの記載であった。
異議申し立ての趣旨
一 第一東京弁護士会の議決を取り消す。
二 清水謙を業務停止の懲戒処分とする。
異議申し立ての理由
一 原議決書には、該当募集広告の記述がないことを訂正しているが故に、審査に付する必要がないと判断している。
二 だが、東京地方裁判所平成一一年ワ第四五二六号事件の地位確認事件において、前項の事実を訂正しているのは申立人が該当号(昭和五七年一二月二〇日号日経エレクトロニクス)原本を民事訴訟法第八一条による反論による口頭弁論で証拠採用を求めた後に訂正されたのであり、被請求人は本案前の保全訴訟(東京地方裁判所平成六年ヨ第二一二二〇号)でも同一の主張をしており保全訴訟では訂正していない。
三 前項の事実は、被請求人が故意に反証困難の主張により依頼人勝訴の裁判を求める心証を裁判官に与えることであるか、仮にそうでないとしても従前の保全訴訟から五年経過しているにもかかわらず被告の反証として重要な書証の添付なく事実と異なる答弁したことは事実の調査義務は高度の専門家としての注意義務があるにもかかわらずこれを怠った重大な過失があるのは明らかである。民事訴訟規則第八〇条による答弁書では重要な書証の写しの引用はなく、答弁事実の立証責任は被告側にあり、原告である申立人指摘の弾劾証拠の提示からの訂正は、故意または重大な過失であり民事訴訟法第二条に反する懲戒理由がある。依頼人の主張する事実の把握がなされていないことによる否認の訂正とは異なり、具体的な書証の引用のない答弁書の主張事実の訂正は悪質である。
平成一一年ワ第四五二六号
原告 熊木俊明
被告 株式会社日経ビーピー
被告 高田寛司郎
準備書面
第一 被告の虚偽事実の答弁書について
一 昭和五七年一二月二〇日発行の日経エレクトロニクスに原告の募集広告があったとする、書証の引用なく答弁した事実は虚偽であることは、原告が口頭弁論において、該当原本を法廷に提出したあとの口頭弁論前の準備書面で訂正している。
二 この事実は弁護士倫理規定(別紙)第五四条違反の訴訟代理であり、被告の主張は信用できないのは明らかである。
三 この事実は、事実関係を把握していないため否認事実を撤回した訂正でなく、答弁書において擬制陳述した虚偽の主張であり、しかも民事訴訟規則第八〇条による証拠の引用はない。民事訴訟法第二条違反である訴訟行為であるのは明らかである。
四 なお、この事実により被告代理人清水謙に対し第一東京弁護士会に懲戒請求したが、懲戒委員会の審査に付さない議決を第一東京弁護士会がなしたので、原告は弁護士法の規定により日本弁護士連合会に異議申し立てをしたところである。
東京地方裁判所民事一九部は係り御中
右原告 熊木俊明
平成一二年三月一日
別紙
弁護士倫理
(平成二年三月二日臨時総会決議)
改正 平成 六年一一月二二日
目次
第一章 倫理綱領 (第一条―第九条)
第二章 一般規律 (第十条―第十七条)
第三章 依頼者との関係における規律 (第十八条―第四十二条)
第四章 他の弁護士との関係における規律 (第四十三条―第五十条)
第五章 事件の相手方との関係における規律 (第五十一条・第五十二条)
第六章 裁判関係における規律 (第五十三条―第五十七条)
第七章 弁護士会との関係における規律 (第五十八条・第五十九条)
第八章 官公庁との関係における規律 (第六十条・第六十一条)
弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする。その使命達成のために、弁護士には職務の自由と独立が要請され、高度の自治が保障されている。
弁護士は、その使命にふさわしい倫理を自覚し、自らの行動を規律する社会的責任を負う。
よつて、ここに弁護士の職務に関する倫理を宣明する。
第一章 倫理綱領
(使命の自覚)
第一条 弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める。
(自由と独立)
第二条 弁護士は、職務の自由と独立を重んじる。
(司法独立の擁護)
第三条 弁護士は、司法の独立を擁護し、司法制度の健全な発展に寄与するように努める。
(信義誠実)
第四条 弁護士は、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行う。
(信用の維持)
第五条 弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持するとともに、常に品位を高め教養を深めるように努める。
(法令等の精通)
第六条 弁護士は、法令及び法律事務に精通しなければならない。
(真実の発見)
第七条 弁護士は、勝敗にとらわれて真実の発見をゆるがせにしてはならない。
(廉潔の保持)
第八条 弁護士は、廉潔を保持するように努める。
(刑事弁護の心構え)
第九条 弁護士は、被疑者及び被告人の正当な利益と権利を擁護するため、常に最善の弁護活動に努める。
第二章 一般規律
(広告宣伝)
第十条 弁護士は、品位をそこなう広告・宣伝をしてはならない。
(依頼の勧誘)
第十一条 弁護士は、不当な目的のため、又は品位・信用をそこなう方法により、事件の依頼を勧誘し又は事件を誘発してはならない。
(非弁護士との提携)
第十二条 弁護士は、弁護士法に違反して法律事務を取り扱い又は事件を周旋することを業とする者から事件の紹介を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名を利用させてはならない。
(依頼者紹介の対価)
第十三条 弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払つてはならない。
(違法行為の助長)
第十四条 弁護士は、詐欺的商取引、暴力その他これに類する違法又は不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。
(品位をそこなう事業への参加)
第十五条 弁護士は、公序良俗に反する事業その他品位をそこなう事業を営み、若しくはこれに加わり、又はこれらの事業に自己の名を利用させてはならない。
(係争目的物の譲受)
第十六条 弁護士は、係争の目的物を譲り受けてはならない。
(事務従事者の指導監督)
第十七条 弁護士は、その法律事務所の業務に関し、事務に従事する者が違法又は不当な行為に及ぶことのないように指導・監督しなければならない。
第三章 依頼者との関係における規律
(依頼者との関係における自由と独立)
第十八条 弁護士は、事件の受任及び処理にあたつて、自由かつ独立の立場を保持するように努めなければならない。
(正当な利益の実現)
第十九条 弁護士は、良心に従い、依頼者の正当な利益を実現するように努めなければならない。
(秘密の保持)
第二十条 弁護士は、依頼者について職務上知り得た秘密を正当な事由なく他に漏らし、又は利用してはならない。同一の法律事務所で執務する他の弁護士又は同一の場所で執務する外国法事務弁護士の依頼者について執務上知り得た秘密についても同様である。
(受任の諾否の通知)
第二十一条 弁護士は、事件の依頼に対し、その諾否を速やかに通知しなければならない。
(見込みがない事件の受任)
第二十二条 弁護士は、依頼者の期待するような見込みがないことが明らかであるのに、あたかもあるように装つて事件を受任してはならない。
(有利な結果の請負)
第二十三条 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け負い、又は保証してはならない。
(不当な事件の受任)
第二十四条 弁護士は、依頼の目的又は手段・方法において不当な事件を受任してはならない。
(特別関係の告知)
第二十五条 弁護士は、相手方と特別の関係があつて、依頼者との信頼関係をそこなうおそれがあるときは、依頼者に対し、その事情を告げなければならない。
(職務を行い得ない事件)
第二十六条 弁護士は、左に掲げる事件については職務を行つてはならない。ただし、第三号及び第四号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者の同意がある場合は、この限りでない。
一 事件の協議を受け、その程度及び方法が信頼関係に基づくときは、その協議をした者を相手方とするその事件
二 受任している事件と利害相反する事件
三 受任している事件の依頼者を相手方とする他の事件
四 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
五 公務員若しくは法令により公務に従事する者又は仲裁人として職務上取り扱つた事件
(他の弁護士又はその依頼者との関係において職務を行い得ない事件)
第二十七条 弁護士は、同一の法律事務所で執務する他の弁護士若しくは同一の場所で執務する外国法事務弁護士又はそれぞれの依頼者との関係において、職務の公正を保ち得ない事由のある事件については、職務を行つてはならない。
(着手後に知つたとき)
第二十八条 弁護士は、職務に着手した後に前条に該当する事由があることを知つたときは、依頼者に対し速やかにその事情を告げ、事案に応じた適切な処置をとらなければならない。
(受任の趣旨の明確化)
第二十九条 弁護士は、受任の趣旨、内容及び範囲を明確にして事件を受任するように努めなければならない。
(事件の処理)
第三十条 弁護士は、事件を受任したときは、速やかに着手し、遅滞なく処理するように努めなければならない。
(事件処理の報告)
第三十一条 弁護士は、依頼者に対し、事件の経過及びその帰趨に影響を及ぼす事項を必要に応じ報告し、事件の結果を遅滞なく報告しなければならない。
(利害衝突のおそれのあるとき)
第三十二条 弁護士は、同一の事件につき依頼者が二人以上あり、その相互間に利害の衝突が生ずるおそれがあるときは、各依頼者に対しその事情を告げなければならない。
(受任弁護士間の意見不一致のとき)
第三十三条 弁護士は、同一の事件を受任する他の弁護士との間に事件の処理について意見の不一致があつて、依頼者に不利益を及ぼすおそれがあるときは、依頼者に対しその事情を告げなければならない。
(依頼者との信頼関係が失われたとき)
第三十四条 弁護士は、事件に関し依頼者との間に信頼関係が失われかつその回復が著しく困難なときは、その依頼関係の継続に固執してはならない。
(法律扶助制度等の教示)
第三十五条 弁護士は、事案に応じ、法律扶助・訴訟救助制度を教示するなど、依頼者の裁判を受ける権利を護るように努めなければならない。
(報酬の明示)
第三十六条 弁護士は、依頼者に対し、受任に際して、その報酬の金額又は算定方法を明示するように努めなければならない。
(報酬の妥当性)
第三十七条 弁護士は、事案の実情に応じ、適正・妥当な報酬を定めなければならない。
(国選弁護事件における報酬)
第三十八条 弁護士は、国選弁護事件について、被告人その他の関係者から、名目のいかんを問わず、報酬その他の対価を受領してはならない。
(私選弁護への切替)
第三十九条 弁護士は、国選弁護人に選任されたときは、その事件の私選弁護人に選任するように働きかけてはならない。
(金品の清算)
第四十条 弁護士は、事件に関する金品の清算及び引渡し並びに預かり品の返還を遅滞なく行わなければならない。
(依頼者との金銭貸借)
第四十一条 弁護士は、特別の事情がない限り、依頼者と金銭の貸借をし、又は依頼者の債務についての保証人となつてはならない。
(依頼者との紛議)
第四十二条 弁護士は、依頼者との信頼関係を保持し紛議が生じないように努め、紛議が生じたときはできる限り所属弁護士会の紛議調停により解決するように努めなければならない。
第四章 他の弁護士との関係における規律
(名誉の尊重)
第四十三条 弁護士は、相互に名誉と信義を重んじ、みだりに他の弁護士を誹ぼう・中傷してはならない。
(弁護士に対する不利益行為)
第四十四条 弁護士は、正当な職務慣行又は信義に反して他の弁護士を不利益に陥れてはならない。
(依頼者の関係の尊重)
第四十五条 弁護士は、他の弁護士が受任している事件の処理に協力するとき又は他の弁護士から事件の受任を求められたときは、その弁護士がその事件の依頼者との間において有する信頼関係を尊重するように努めなければならない。
(受任弁護士間の協調)
第四十六条 弁護士は、同一事件を受任する弁護士が他にもあるときは、その事件の処理に関し、互いに協調するように努めなければならない。
(他の弁護士の参加)
第四十七条 弁護士は、事件について依頼者が他の弁護士の参加を希望するときは、正当な理由なくこれに反対してはならない。
(他の事件への介入)
第四十八条 弁護士は、他の弁護士が受任している事件に介入しようと策してはならない。
(相手方本人との直接交渉)
第四十九条 弁護士は、相手方に弁護士である代理人があるときは、特別の事情がない限り、その代理人の了承を得ないで直接相手方本人と交渉してはならない。
(弁護士間の紛議)
第五十条 弁護士は、弁護士間の紛議については、協議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努めなければならない。
第五章 事件の相手方との関係における規律
(相手方からの利益供与)
第五十一条 弁護士は、事件に関し、相手方から利益の供与若しくは供応を受け、又はこれを要求し、若しくはその約束をしてはならない。
(相手方代理人に対する利益の供与)
第五十二条 弁護士は、事件に関し、相手方代理人に対し、利益の供与若しくは供応をし、又はその約束をしてはならない。
第六章 裁判関係における規律
(裁判の公正と適正手続)
第五十三条 弁護士は、裁判の公正及び適正手続の実現に努めなければならない。
(偽証のそそのかし)
第五十四条 弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽の証拠を提出してはならない。
(裁判手続の遅延)
第五十五条 弁護士は、怠慢により、又は不当な目的のため、裁判手続を遅延させてはならない。
(裁判官等との私的交渉)
第五十六条 弁護士は、事件に関し、裁判官、検察官等と私的関係を利用して交渉してはならない。
(私的関係の宣伝)
第五十七条 弁護士は、その職務に関し、裁判官、検察官等との縁故その他の私的関係があることを宣伝してはならない。
第七章 弁護士会との関係における規律
(弁護士法等の遵守)
第五十八条 弁護士は、弁護士法、日本弁護士連合会及び所属弁護士会の会則、会規及び規則を遵守しなければならない。
(委嘱事項の処理)
第五十九条 弁護士は、日本弁護士連合会、所属弁護士会及び所属弁護士会が所属する弁護士会連合会から委嘱された事項を誠実に処理しなければならない。
第八章 官公庁との関係における規律
(官公庁からの委嘱)
第六十条 弁護士は、正当な理由なく、法令により官公庁から委嘱された事項を行うことを拒絶してはならない。
(委嘱受託の制限)
第六十一条 弁護士は、法令により官公庁から委嘱された事項について、職務の公正を保ち得ない事由があるときは、その委嘱を受けてはならない。
附 則 (平成六年一一月二二日改正)
第二十条及び第二十七条の改正規定は、平成七年一月一日から施行する。
特別抗告状兼許可抗告申立書
抗告人 熊木俊明
相手方 株式会社日経ビーピー
相手方 高田寛司郎
相手方 伊藤保彦
右当事者間の東京高等裁判所平成一一年ラ第一五五三号職務執行停止仮処分却下決定に対する抗告事件の左記決定の送達を平成一二年二月二四日に受けたが不服につき、特別抗告の提起と抗告許可の申立をする。
平成一二年二月二四日
右抗告人兼申立人 熊木俊明
最高裁判所御中
東京高等裁判所御中(申立許可の裁判および再度の考案)
原決定の表示
一 本件抗告を棄却する。
二 抗告費用は抗告人の負担とする。
抗告の趣旨
原決定を破棄し、第一審決定を取り消す。
本件を東京地方裁判所に差し戻す。
申立の趣旨
本件抗告を許可する。
特別抗告の理由
何ら債権者審尋をなすことなくなされた原決定は、憲法第三一条および憲法第三二条に違反し、取り消すべき理由がある。本件では不適法との理由で裁判をされておらず、第一審から二審を通じて債権者審尋がなられていないのは法的手続き違反であるのは明らかである。
許可抗告申立の理由
一 本件裁判は、商法第六七条の二に準じてなされた職務執行停止の仮処分申立であり(最判昭四五・一一・六民集二四ー一二ー一七四四)、登記を要することのない社員に対する職務主務執行停止の仮処分は適法な理由である。
二 保全事件に対する抗告許可申立は適法である(最第一小法廷決平成一一年三月一二日、平成一〇年ク第六九九号事件)。
三 なお、本件申立が債務者日経ビーピーの損害を理由としているのは、反射的に債権者に対する解雇等の不利益処分が予想され、この不利益処分の保全書証は別訴東京高裁平成一一年ラ第七一七号として継続中であり、重複起訴としなかったためであり、訴えの利益はある。
東京地裁平成一一年ワ第四五二六号
原告 熊木俊明
被告 株式会社日経ビーピー
被告 高田寛司郎
証拠申出書
一 人証の表示
1 株式会社日経ビーピー常務取締役 白石紘一 (呼び出し、主尋問一時間)
2 株式会社日経ビーピー人事部長 木瀬裕次 (呼び出し、主尋問一時間)
二 立証の趣旨
1 被告人事の誤りを認めたくないため、原告に対する一方的不利益人事を繰り返している事実
2 人事労務担当者としての資質に欠けている事実
三 尋問事項
1 証人白石は、経営団交の席上、人事を間違えたことを認めるわけにはいけないと発言し、労働組合発行の議事録に記載されているかどうか。
2 証人白石は、就任後、従前はまれであった、職種変更の人事異動を増加させているか。職種変更とは、編集、広告、販売、共通各部門を変更することをいう
3 証人らは、原告と被告日経ビーピーとの労働事件の紛争を、東京高裁平成七年ラ第一〇一五号事件に対する最高裁決定がなされて確定したと、間違った理解をしていたのではないか。
4 本案請求の本件裁判は、平成一一年二月二四日付け辞令発令後の、同年三月一日提起している。仮処分申立事件が却下となっても、本案裁判はそれに影響されずに判決をなされることを理解しているか。
5 仮処分申立が却下される場合には、被保全権利があっても必要性がないと判断される場合があることを理解しているか。
6 本案裁判の本件では保全権利の本案請求していることを理解しているか。
7 就業規則を包括的労働契約と理解しているか。包括的労働協約は存在するか。
8 就業規則における懲戒や表彰は労働協約になっているか。
9 労働契約と就業規則はどちらが優先するか。
10 労働協約と就業規則はどちらが優先するか。
11 法令違反の就業規則の効力はどうなるか。
12 就業規則では、譴責を繰り返した場合、減給や出勤停止など重い処分をできるむねの明文規定はあるか。
13 その他関連事項一般
平成一一年一一月二四日
右原告 熊木俊明
東京地方裁判所民事一九部は係り御中
訴状
一三一〇〇三二 東京都墨田区東向島二丁目三四番七―一〇四号
原告 熊木俊明
一〇二八六二二 東京都千代田区平河町二丁目七番六号
被告 株式会社日経ビーピー
右代表者 吉村 久夫
送達場所(勤務地)
一〇二八六二二東京都千代田区平河町二丁目七番六号
株式会社日経ビーピー福利厚生部
被告 高田寛司郎
平成一一年二月二八日
右原告 熊木俊明
東京地方裁判所御中
労働契約上の地位確認および譴責処分無効確認および慰謝料請求事件
訴訟物の価額 金九十五万円
貼用印紙額 金八二〇〇円
請求の趣旨
一 被告株式会社日経ビーピーは、原告を、編集記者としての個別労働契約上の地位にあることを確認する。
二 被告株式会社日経ビーピーは、原告に対する平成一一年二月二五日付けの譴責処分を無効であることを確認する。
三 被告らは、原告に対して、連帯して各自金九十五万円およびこれに対する訴状j送達の翌日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
四 訴訟費用は被告らの負担とする。
との裁判を求める。
請求の原因
一 原告は昭和五八年四月一日に、被告株式会社日経ビーピー(以下会社という)に労働契約を締結した。
採用時の雇用条件は編集記者、勤務地は東京であり、甲第一号証の一ないし三の募集に応じて申し込んだ結果であった。
二 以降、平成六年八月にいたるまで、原告を、編集記者としての労働契約として取り扱い、勤務地は東京であった。
三 昭和六二年一二月二三日付けの労働協約では、人事異動にあたり、発令の一週間前以上に理由を本人と訴外日経BP社労働組合に通知することを、包括的労働契約(甲第二号証)を締結した。
四 平成六年八月二三日に取締役内藤易男(当時)は、原告に対し、平成六年九月一日付けで、編集記者とは労働契約条件が異なる厚生部(当時)への異動を命じた。理由は、平成六年八月二五日付けで代表取締役鈴木隆あて内容証明郵便で送付したとおりであり、労働契約条件の変更の申し込みに対して承諾しない意思表示を確定日付ある認証により意思表示した(甲第三号証)。この不承諾の根拠は、東亜ペイント事件(最判昭六一・七・十四判時一一九八・一四九)の理由のうち、厚生部において原告を必要とする業務上の必要性がまったくなく、不当な動機で配置転換を繰り返した目的があり、編集記者特有の打ち切り手当て減額により平均賃金の約三分の一相当の賃金減額となる通常甘受すべき限度を超える不利益を、原告に対し不況の年をくるのをまって発令したというものであった。
五 被告会社は、平成一一年二月二五日付けで、原告に対し、経営企画室福利厚生部(現在)所属従業員名で、原告の弁明を聴くことなく、一方的に譴責処分の辞令を発令し、一週間は掲示板に張り出すと、同日高田寛司郎から告知された。
六 被告会社は、平成一一年二月二五日付けで、自己申告シートの提出命令に従わないことなどを理由に、就業規則を根拠に譴責処分を、辞令を発令した(甲第四号証)。
七 しかし、被告会社は本件においては懲戒権を有さない。
八 使用者の懲戒権の根拠は、労働協約または労働者の同意をえて成立した就業規則の懲戒規定にあり、労働協約または就業規則の存しない場合は、使用者は懲戒権を有しない(京都地判昭四九・二・七労判一九六−三七、東京高判昭六一・五・二九労民集三七−二・三−二五七)。使用者の懲戒権は、使用者固有の権利ではなく、労使間における個別的または集団的合意に基づき初めて生ずる(東京高判昭四五・七・一八高民集二三−三−四〇三)。このため、本件においては、甲第三号証の確定日付以降新勤務地に異動する旨の個別的労働契約の同意を有せず、新勤務地での自己申告を現在まで拒否していることから、被告会社は、福利厚生部所属の原告に対する懲戒権をもたないことは明らかである。
四 よって、本件訴えの、従業員の編集記者としての地位確認に対する訴えの利益があり、編集記者としての地位確認を求める本案請求する次第である。
五 使用者は、労働契約関係に基づいて企業秩序維持のために必要な措置を講ずる機能をもっているが、使用者の右機能の行使としての措置であっても、それによって従業員が損害を被った場合には、使用者が当該措置を相当とすべき根拠事実が証明されるか、または使用者において右のような事実があると判断したことに相当な理由があると認められる場合でなければ、不法行為が成立する(最平八・三・二八判時一五六五・一三九)。本件においては、甲第三号証を立証すれば、懲戒権を有しないことは明らかであり、挙証責任は被告らに転換する。
六 正当のない懲戒解雇をなし、懲戒解雇の事実を記載した文書を二週間にわたって従業員が閲覧することができる場所に掲示したことが名誉毀損にあたるとした事例(長崎地判平一・二・十六判タ七〇〇・一八九)と同様に、本件甲第四号証の掲示したことは、原告は被告らに対して連帯して慰謝料金九十五万円の請求理由がある。
七 軽微な過誤について執拗に反省書の提出を求めたりなどを強要した上司の行為は違法であり、それにより心因反応により欠勤した従業員に対して、会社と上司に対して慰謝料と欠勤期間の賃金支払い請求が認められた事例と同じく、本件では、会社および福利厚生部長である高田寛司郎に対し連帯して慰謝料請求は適法である。
平成一一年ワ第四五二六号
原告 熊木俊明
被告 株式会社日経ビーピー
被告 高田寛司郎
平成一一年三月二二日
右原告 熊木俊明
東京地方裁判所民事一九部は係御中
準備書面(一)
第一 被告答弁書提出時期および防御の提出について
一 被告代理人作成の平成一一年三月一九日付け答弁書を、直送により受領したが、裁判所が定めた期限である平成一一年三月一五日ころを遅延して提出した答弁書は民事訴訟法第一五六条で定める適切な時期を遅延したことから、民事訴訟法第一五八条による陳述擬制はすべきではなく、被告代理人欠席の場合は民事訴訟法第一五九条による自白の擬制とすべきである。ちなみに同法第一五九条第一項にあげる弁論の全趣旨により争ったという場合は、当事者が出廷して争うと弁論する場合や同法第一五六条による答弁書期日指定が遵守された場合に同法第一五八条による陳述擬制した場合に限られ、争う書面提出があっても陳述擬制しない場合は弁論になっていないことから該当しない。
二 予備的に民事訴訟法第一五八条による陳述擬制がある場合の反論
民事訴訟規則第八〇条第二項により、答弁書には重要な書証の写しを添付しなければならず、原告はいまだ受領していない。被告代理人が三月一九日付けで作成の答弁書は、民事訴訟規則第八〇条第一項による証拠を援用した答弁書ではない。第一回期日までにこれら追完のない場合は、民事訴訟法第一五七条第一項の重大な過失であり却下決定を求める。
第二 職種と労働契約について
一 労働基準法第九三条の趣旨および労働基準法の法規定によると、まず労働喜寿法第二章で定める労働契約があって、第九章の就業規則は副次的に既判力を生ずるにすぎない。
二 採用時の労働条件は労働基準法第一五条第一項、労働基準法施行規則第五条第一号で定める重要な契約内容である。
三 前項の契約内容である職種変更を伴う配置転換命令は違法ではないが、民法第五二一条による契約変更の申し込みにすぎない。本件のように契約変更の承諾のない確定日付ある認証(甲第三号証)がある場合は、民法第五二一条第二項により効力はない(労働基準法は民法の雇用契約の特別法であることは明らかである)。なお、労働契約条件変更の申し込みにあたっては、東亜ペイント事件で判示した基準にならない合理的が必要であり、本件では人事異動にかかわる労働協約(甲第二号証)があることから、理由提示時点の理由が合理的でなければならない。
四 職種指定労働契約について
一般に、労働者をその職種を定めて雇い入れたときは、労働契約上労働者の提供すべき労務の種類内容がこれにより特定されたことになり、その後の職種の変更は、当事者双方の明示若しくは黙示の合意によるべく、使用者はその一方的命令により労働者に対し他の職種への異動を命じることはできない(東京高判昭四三・四・二四労民集一九−二−五七一)。本件ではこの事由にあたり、訴えの利益があるのは明らかである。
五 軽微な過誤について執拗に反省書の提出を求めたりなどを強要した上司の行為は違法であり、それにより心因反応により欠勤した従業員に対して、会社と上司に対して慰謝料と欠勤期間の賃金支払い請求が認められた事例は、東京地八王子支判平二・二・一労判五五八−六八)。
平成一一年ワ第四五二六号
原告 熊木俊明
被告 株式会社日経ビーピーほか一名
平成一一年四月一二日
右原告 熊木俊明
東京地方裁判所民事一九部は係御中
準備書面(三)
第一 請求の趣旨一の答弁の反論
一 不適法などの主張がなく、本案に対して弁論していることから、本案前の答弁である却下判決とはならない。
二 争う。新勤務地で自己申告を平成六年九月以降、一度も記入せず同意を争っていいることから地位確認の利益がある。
第二 請求の趣旨二ないし四に対する答弁の反論。
争う。
第三 答弁の理由の反論
一 平成六年八月二五日付けの確定日付ある労働契約変更を承諾しない旨の通知(甲第三号証)、および、平成六年九月以降一度も新勤務地での自己申告(年一回が通例)をしていないことから、同意をしていない意思表示が継続していることから、法的地位を安定させるうために、原告被告双方にとって確認の利益の裁判は有益である。
二 昭和五八年四月一日つけで、甲第一号証の三記載のとおり、職種は編集記者、勤務地が東京という個別的労働契約を締結の上、就業規則の適用のある労働契約を締結した。当時は労働組合がなく包括的労働協約はない。
三 編集職場に平成六年八月三十一日まで在籍しており、勤務地が東京であったこと以外を争う。
四 昭和六一年一二月二三日つけ労働協約(甲第二号証)には、人事異動にあたり、発令の七日前以上にその理由を本人と組合あて告げることが義務となっている。
五 平成六年八月二三日つけで内藤易男から、人事室厚生部(当時)勤務の労働契約条件変更の申し込みがあったが、平成六年八月二五日つけ確定日付で、平成九年九月
一日を承諾期間とする契約変更の申し込みに承諾しない意思表示を内容証明にて代表取締役に対し実施した(甲第三号証)。被告の答弁に争う。
六 平成一一年二月二五日つけ譴責処分は、福利厚生部の勤務に同意していなことから、使用者の就業規則による懲戒機能は、懲戒理由を判断するまでもなく無効である。
人事部あて自己申告は平成六年以降毎年記入していない。毎年一回提出するのが例となっており、同意していない意思が継続している。表彰は辞令をだしておらず合理性に欠いている。
七 その余の被告の答弁についてはすべて争う。
第四 被告の主張の反論
なんら答弁書には重要な証拠の写しはなく、被告が今後立証することは時期に遅れた防御で却下を求める。
一 職種限定とは主張していない。職種指定契約である。東京高裁判例のとおり、本人の明示または黙示の合意がない場合は、原則として職種を変更できないのであり、最高裁東亜ペイント事件の判例のとおり、配置転換が業務上の必要性がなく不当な動機があり受忍限度を超えた不利益がある場合は無効であるとの判例を援用しているのである。甲第三号証では記者実績があることを述べており、厚生部は増員であり、原告を必要とする合理的理由がなく、自主的に退社を促す不当な動機があり、打ち切り手当て減額による平均賃金減少の不利益があるのである。
二 職種指定契約の条件の変更にあたり、合理的理由がなく本人の同意がないことから、本件個別労働契約上の確認の利益があるのである。他の事例は適用できない。
三 募集方式は職種別に実施し、総合職としての募集でないことは認める。現在は、編集、営業、共通などの三種類にわけているが、平成六年までは編集、広告、販売、共通の四種類にわけて募集していた。平成六年八月現在では、編集職種のみに打ち切り手当てが支給され、広告職種のみに外交手当てが支給され、労働条件にも違いがあったのである。
四 原告が日経エレクトロニクスの募集広告をみて、職種が編集記者、勤務地は東京、給与等は日本経済新聞と同等などとした採用条件に応募し、筆記試験、面接試験、役員面接を経て、代表取締役社長から採用時の概算年収と雇用条件を口頭で示され、就業規則を渡されて労働契約を締結したことは認めるが、その余は争う。なお、昭和五八年二月一四日付けで、誓約保証書を提出したことは認めるが、同書類は身元保証書のみの法的効力をもち、三年経過後に身元保証契約は終了した。本人と労働契約に随伴するものではない。
平成一一年ワ第四五二六号
原告 熊木俊明
被告 株式会社日経ビーピーほか1名
平成一一年四月一一日
右原告 熊木俊明
東京地方裁判所民事一九部は係御中
証拠説明書
甲第一号証 日経エレクトロニクスに掲載された自社広告
編集記者募集、勤務地は東京、日経新聞に準じる労働条件と明示
甲第二号証 労働組合結成後締結した労働協約。人事条項あり。
甲第三号証 平成六年八月二五日つけで通知した労働契約条件不承諾通知。
および、平成六年八月二三日つけ人事異動申し込みの理由通知。
甲第四号証 平成一一年二月二五日つけ譴責処分辞令
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職務執行停止を求める仮処分申立書
東京都墨田区東向島二丁目三四番七―一〇四号
債権者 熊木俊明 自宅電話〇三―五二四七―七〇三一
日中電話〇三―五二一〇―八六一〇
東京都千代田区平河町二丁目七番六号
債務者 株式会社日経ビーピー
右代表者 代表取締役 吉村久夫
神奈川県川崎市麻生区百合丘三丁目三番一二号
債務者 高田寛司郎
埼玉県川口市幸町三丁目一〇番二九号川口幸町パークホームズ一〇〇二号
利害関係人 伊藤保彦
保全命令申立の趣旨
一 債務者高田寛司郎は、本案事件確定まで債務者株式会社日経ビーピー福利厚生部長としての職務の代行を債務者伊藤保彦にさせてはならない。
二 利害関係人伊藤保彦は債務者株式会社日経日経ビーピー福利厚生部の伝票を決裁してはならない。
三 債務者高田寛司郎の債務者株式会社日経ビーピー福利厚生部長としての職務執行は、本案事件確定まで停止する。
四 債務者高田寛司郎の職務代行として弁護士原田進安を選任する
東京都千代田区有楽町一―八―一日比谷パークビル五二三区
弁護士 原田進安
申立の理由
一 東京地方裁判所平成一一年ワ第四五二六号地位確認等請求本案裁判とおり保全すべき左記権利関係等が債権者と債務者日経ビーピー間では存在する。
1 平成六年八月二三日つけ内示で同年九月一日つけで発令された配置転換命令の無効確認。予備的には九月一日つけ辞令取り消し。
2 債務者高田寛司郎の業務命令にはしたがう義務のないことの確認
二 そうすると、債務者高田寛司郎からの業務命令に従う義務はない。
なお、就業日報の決裁は所属長印と局長印のみ必要であり訴外伊藤保彦の決裁は必要ない(甲一)。
三 いままでは、福利厚生部の業務に影響を与えない限り、必要最低限の業務を遂行していた。訴外伊藤次長印の決済なく伝票をまわして業務は遂行できた。
四 福利厚生部会欠席は、本案裁判の請求の趣旨である異動を追認しない意思表示である。人事自己申告拒否と人事写真撮影拒否も同様に追認しない意思の表示である。
五 債権者は従業員向け住宅ローンの担当である。五月の起票伝票写しの一部(甲二ないし四)。
六 ところが債務者高田寛司郎は平成一一年六月三〇日つけの警告書(甲五)で、部会出席命令ならびに伝票を訴外伊藤保彦の決裁を事前にうけるようにとの命令をした。七月五日の部会通知(甲六)、伝票決裁通知(甲七)を電子メールで通知した。
七 六月三〇日の部会では、債務者高田は、いままで伝票(甲二ないし四、八)を訴外伊藤の決裁なく決裁してきたが、今後は訴外伊藤の決裁印のない伝票はつっかえすと述べ、それによる損害は債権者の責任になるとのべた。
八 七月一五日を過ぎても伝票を回付しない場合、会社保証住宅ローンの銀行への
支払いが滞り、新規融資もできない。報告日に伝票起票するスケジュールであるためである(甲九)。
九 そうすると、従業員のみならず、債務者日経ビーピーに損害を与えることにな る。平成一一年七月の銀行への支払いは賞与返済額があり多大な金額である。
十 よって、保全命令を発すべき急迫な事情があり、保全の必要性がある。 なお、「地位保全仮処分では本案訴訟の原告または被告以外の第3者に対しても仮処分命令をなしえる(大判大一三・九・二六民集三−四七〇)。このため、訴外伊藤保彦に対する保全命令は適法である。
平成一一年七月四日
右債権者 熊木俊明
東京地方裁判所御中(民事一一部労働保全受付御中)
東京都労働委員会御中
住所 131−0032 東京都墨田区東向島2−34−7−104
氏名 熊木俊明
自宅ファクシミリ 03−5247−7030
日中連絡先電話 03−5210−8610
所属組合名 日経BP労働組合(上部団体は出版労連)
(申立人勤務先には日本経済新聞社労働組合員が数名在籍、
上部団体は新聞労連)
不当労働行為救済申立書
申立人 131−0032 東京都墨田区東向島2−34−7−104
氏名 熊木俊明
被申立人 102−8620東京都千代田区平河町2−7−6
名称 株式会社日経ビーピー
右代表者 代表取締役 吉村久夫
連絡責任者 常務取締役人事総務担当 白石紘一
電話 03−5210−8402
連絡責任者 人事部長 木瀬裕次
電話 03−5210−8013(人事部)
従業員数 東京本社に約一〇〇〇名、海外に数名
業種 出版
被申立人 100−8066東京都大手町1−9−5
名称 株式会社日本経済新聞社
右代表者 代表取締役 鶴田卓彦
電話 03−3270−0251(大代表)
連絡先 常務取締役総務人事担当 牧久
人事部長または労務部長名は不明
従業員数 約四〇〇〇名(全体)
業種 新聞
1 平成11年2月24日付けと同6月24日付け譴責処分を取り消す。
2 平成11年9月2日付け減給処分を取消し、減給相当額を支払うこと。
3 平成11年11月10日付け出勤停止処分を取消し、賞与を含む賃金相当額を支払うこと。および年次有給休暇計算の出勤しない日数に数えてはならない命令。
4 平成6年9月1日付け配転命令を取消し、申立人を現職に復帰させること。
との救済命令。
5 株式会社日経ビーピーはhttp://www.nikkeibp.co.jp、株式会社日本経済新聞社はhttp://www.nikkei.co.jp、各ホームページにおいて、申立人を不当労働行為をしたことを謝罪し、今後は同様の行為をしない旨の声明を代表者名にて実施することを命じる。
7 申立人の基準内賃金として参事補としての給与の支払いを格差是正のため命じる
8 4項を認容しない場合は予備的請求として、東京地方裁判所平成11年ワ第4526号事件が確定するまで、福利厚生部会欠席と伝票を部長に直接提出することを理由として懲戒処分をしてはならない。
1 当事者
(1) 被申立人株式会社日経ビーピーは、東京都千代田区に本社を置き、東京に事業所を有し、米国に支局を有し、昭和44年4月5日に日本経済新聞社と米国マグロウヒル・インクとの合弁により日経マグロウヒル株式会社との商号で設立され、現在は合弁を解消し商号を変更し日本経済新聞社のみが株主の資本金4億円の出版社であり、現在従業員は約1000名である。
(2) 被申立人株式会社日本経済新聞社は、東京都千代田区に本社を置き、東京の他全国各地と海外に事業所と支局などを有し、1876年12月に中外物価新報の名称で新聞を創刊し、1946年3月に現在の商号の日本経済新聞を発行する従業員約4000人で資本金20億円の新聞社である。
(3) 申立人は、昭和61年に日経マグロウヒル社労働組合の名称で結成され、現在は日経BP労働組合の名称の組合員であり、日経マグロウヒル社労働組合第2期の執行委員を務め、在任中に完全週休2日制導入のための労働協約を現株式会社日経ビーピーと締結した。なお、在任中には組合結成後初めて前組合員によるストライキを実施した。
2 本件不当労働行為に至る背景(経過)
(1) 申立人は、昭和58年4月1日に、職種は編集記者、勤務地は東京との雇用条件で現株式会社日経ビーピーに入社した。
(2) 入社時点では労働組合はなかった。
(3) 長時間労働の実態があり、従業員懇談会を通じて、労働基準法第36条による従業員代表との協定の有無を問い合わせたところ、存在せず、従業員代表渡部修一との間で初めての協定を締結した。
(4) 当時の人事責任者は斉藤進総務長であったが、安全衛生責任者の選定もせず法令違反の状態であった。
(5) また、時間外勤務における加算計算のための時給分母の算定が現実と比べ不利であることによる未払い賃金が存在した。親会社の日経新聞労組が不利な計算式による労働慣行が存在するという経過からであるが、日経新聞出向者は過半数を割っていた。
(6) 申立人が入社後4年目に、日経マグロウヒル社労働組合(当時の名称)結成通知が現株式会社日経ビーピーになされた。
(7) 昭和61年12月23日の労働協約において、人事異動にあたっては発令の7日前以上に理由を本人および組合に通知すること、出向の場合は本人の同意を得ること、組合3役の異動については在任中は組合の同意を得ることなどを記した期間の定めのない労働協約を締結した。
(8) 申立人は、昭和62年3月の定期異動をはじめとして、平成6年8月に至るまで毎年3月の定期異動により、様々な編集記者としての職種の部署を異動したが、期間は2年から3年半であり、昇格昇任はなかった。
(9) 申立人は、昭和62年7月から労働組合の執行委員として1年間従事した。昭和63年2月29日付け労働協約では完全週休2日制度導入を向けての2段階実施協定を組合と日経ビーピーは締結した。
(10) 昭和63年夏期一時金闘争では組合結成後初めて全組合員によるストライキを実施した。
(11) 被申立人株式会社日本経済新聞社は労働基準法改正に至るまで週休2日制導入にはいたらなかった。現在でも公休は日経ビーピーと比べて少ない。
(12) 平成6年第1四半期(1―3月)では、創業以来初めて日経ビーピーは赤字となった。
(11)平成6年8月23日付けで、取締役内藤易男(当時)は、同9月1日付けで厚生部への人事異動の内示をした。日経ビーピーの給与は、編集記者、広告営業、販売共通部門と異なっており、編集記者に支給される見なし時間外手当がなくなるという労働契約条件の変更の申し込みであった。異動の理由は、製造物責任法や政府予算の記事実績はあるが、技術重視の編集方針には向かないというものだった。
(12)平成6年8月25日付けで内容証明郵便により日経ビーピー代表取締役社長鈴木隆に対して人事異動の契約変更を承諾しない旨を確定日付により通知した。
(13)平成6年8月31日には地位保全仮処分命令申立を東京地方裁判所に請求した。
(14)東京地裁平成6年ヨ第211220号却下決定に対しては、東京高裁平成7年ラ第1015号即時抗告したが、平成10年3月31日付けで棄却決定となった。申立人の支給給与や賞与が世間水準と比べて高額であったため、保全権利があっても必要性がないと判断されたと思料している。
(15)前項の事件に対しては、許可抗告申立不許可決定に対する特別抗告は最高裁第3小法廷で棄却決定となった。
(16)前前項事件決定には審理に関与しない裁判官が決定に関与していたため、準再審申立をしたが棄却となり、これに対する特別抗告も棄却となった。
(17)東京地裁平成11年ヨ第21268号第2次保全訴訟を提起したが却下決定となった。
(18)前項の裁判は現在東京高裁平成11年ラ第717号抗告事件として審理中である。
3 本件不当労働行為に係る具体的事実
(1) 申立人が入社後労働組合が結成され、週休2日の労働協約を締結、全組合員参加のストライキを実施し、被申立人から嫌悪された。
(2) 景気循環により不況になるまで配置転換を繰り返し、昇格昇任を申立人にしなかった。
(3) 平成6年8月23日付けの人事異動は業績不振の年がくるのをまって、東亜ペイント事件判決の趣旨に違反して自主的に退社を促すねらいによる命令であり、合理的理由がなく受認限度を超える賃金減少となるものであり無効である。記者実績があるのであれば、職種変更の申し込みは不当な動機があると解すべきである。
(4) 第1次保全訴訟提起後、最高裁決定後の平成10年3月には代表取締役社長が交代し、同年3月の定期異動までに、申立人が執行委員をつとめた時の書記長など昇格差別をされたと思われる者にたいしての昇格差別は、集団訴訟をおそれたためか解消された。
(5) 労働組合は職種変更の協定がないため、うごけず申立人が孤立された状況になった。
(6) 2の(17)事件決定後の平成11年2月24日には、人事自己申告を提出しないことや業務ミスを理由に譴責処分の辞令を発令した。
(7) 前項の人事自己申告や人事登録写真撮影、健康診断は平成6年9月以降一環して拒否しており、この時期の処分発令には妥当性がない。
(8) 平成11年6月24日には再度の譴責処分、同9月2日には減給処分、同11月10日には11月15日から7日の出勤禁止処分を発令した。(6)と併せてこの処分は白石紘一常務取締役が経営会議にかけて了承され、経営幹部の局次長会で発表した。
(9) (6)の発令直後には本案事件としての地位確認請求事件を民法の取消請求の時効となる5年より前の東京地裁平成11年ワ第4526号として提起し、(8)の処分を無効とする請求を追加して審理中である。
(10) 業務ミスや業務命令違反の指摘は平成11年になってからであり、保全訴訟が最高裁までいって確定したといって、本案訴訟が提起されていない以上既判力はなく、被申立人は自主的な退社を促す不当な動機により、損害のないミスや実害のない業務命令違反を理由として、始末書の提出を要件とした懲戒処分を始末書の提出なく、申立人の弁明を聞くことなく一方的に発令している。
(11) 平成6年8月23日の異動理由では仕事が向かないとしているのに対し、平成6年9月以降5年以上も勤務する部署から他の勤務地に配置転換しないのは、理由には矛盾があり、平成6年8月23日の配置転換命令や、平成11年以降の業務ミスによる懲戒処分はいずれも、不当な動機で自主的に退社を促すことを目的としたもので、平等性や妥当性や法的手続きが合法であっても不当なものであり、救済されるべき理由がある。
上記3で申し立てている事実は労組法第7条第1号に違反しているのは明らかであり、昭和52年7月19日広島地裁決定昭和52年(行ク)第9号(労働委員会関係裁判例集15集588ページ)の原決定である昭和52年4月13日広労委昭和50年(不)第3号の趣旨と同様の命令発令には理由がある。3の(11)のとおり、懲戒処分取消と本件紛争前の現職復帰には理由がある。なお、不当労働行為の申立は行為日から1年以内という定めがあるが、労働組合結成後の昭和六二年三月の定期異動以来昇格のない異動命令を最長三年半の在籍期間で繰り返し、平成六年八月二三日の職種変更内示では記者実績はあるが不向きという理由にもかかわらず、五年以上勤務後にもミスがあるのであれば配置転換しないのは自主的な退職を促す不当な動機が現在まで継続し、不当労働行為は終了していないため、請求には利益がある。
申立人 熊木俊明
被申立人 株式会社日経ビーピー
被申立人 株式会社日本経済新聞社
1 徳島地昭62年(ヨ)第48号事件昭62年7月14日決定(判タ664−86)、大阪地裁昭53年(ヨ)第4719号昭57年7月30日決定(判タ479−162)、最昭49年(行ツ)第94号判決昭51年5月6日(判タ337−181)、仙地昭42年(モ)第66号決定昭45年3月26日(判タ247−139)、仙地昭42年(ヨ)第405号決定昭45年3月26日(判タ247−127)の判例(最高裁判例を含む)の趣旨によれば、労働契約の締結先以外に対して不当労働行為の救済命令を発令することは是認できるのは明らかである。
2 株式会社日経ビーピーは1988年5月に米マグロウヒル社の持ち株全額
を日本経済新聞社が取得し完全子会社となった。なお、日経ビーピーは1988ね6月以前、日経マグロウヒル株式会社という商号であった。社名変更の際の定款変更では従前では定数があった役員数を3名以上と改正した。
3 1987年7月から1988年7月まで申立人は労働組合執行委員に従事した。
4 1988年2月29日には週休2日制度の2段階導入の労働協約を締結した。
5 1988年3月の申立人に対しての定期異動では武田昌三は「いろいろな勤務地で仕事をしてもらう」と理由を述べた。その後の異動では昇任はなく繰り返された。
6 1988年当時、日経ビーピーの役員は日本経済新聞社出身者だけで選任されていた。その後取締役として日本経済新聞社大阪代表の鈴木隆が役員に着任した。鈴木隆は副社長をへて社長に就任した。鈴木隆が社長に就任後の平成6年8月23日付けで9月1日に申立人を厚生部に異動させる内示をした。これは最判昭61年7月14日(判時1198−149)東亜ペイント事件の趣旨により、申立人を厚生部で必要な合理的理由がなく(増員であり自主退社しても業務には支障がない)、申立人を1988年以来昇任なく異動を繰り返して自主的に退社を促す不当な動機があり(労組活動歴でみせしめのため株主からにらまれたと思われる)、平均賃金の3分の1現収になる受忍限度を超える不利益となり、配転は違法であるのは明らかである。
7 なお、1999年現在、日経ビーピーの役員には日経ビーピー採用(日経新聞出身以外)からも途用されているが役員数の約4分の1であり、経営権は日本経済新聞社が事実上握っている。
1 京地判昭49年2月7日労判196−37,東高判昭61年5月29日労民集37−2‥3−257,最判平6年12月20日民集48−8−1496の拡販例によると、使用者の懲戒権は使用者固有の権利でなく、労働組合との労働協約または労働者との個別同意を得て就業規則で定めて効力を生じる。本件では、懲戒に関する労働協約はなく、平成6ね9月以降厚生部の勤務に同意していないとして、人事記録になる自己申告を拒否していることから申立人の個別同意もないことから懲戒機能を有しない。
2 最判平6年12月20日民集48−8−1496では、形式的には就業規則で定める業務命令違反の行為があっても、業務運営に妨害を与えていない場合は業務命令違反と解すべきでないとある。本件でも、業務遂行は平和的になされており、懲戒は不適当である。なお、本件手続きは本来始末書をとるべきであるが、いっさいその提出がなく、手続きに瑕疵がある。懲戒は辞令が発令するが表彰は辞令発令せず合理性に欠ける手続きである。また、1997年8月には岡部力や出版局長名で著作権者に許可なく出版してしまったことの謝罪声明が日経BPのホームページからなされているが、この実務担当者と責任者が懲戒されたことはなく、本件懲戒と比較考量すると妥当性を欠き違法無効であるのは明らかである。
書証目録
甲1号 日経BP概要
甲2号 日経BP経歴
甲3号 申立人が応募した募集広告
甲4号 1986年12月23日付け労働協約
甲5号 1994年8月25日付け確定火付けの配転不同意通知
甲6号 日経BP就業規則(1999年2月現在有効)
甲7号 本件処分のうち譴責処分と減給処分辞令
甲8号 1999年10月14日付け表彰
甲9号 甲8号と同時に了承された辞令
甲10号 定期異動手続き
甲11号 1997年8月22日付け無許可出版謝罪社告
上記のほか、下記最高裁判例(判例タイムズ983・170)における抗告人は熊木俊明です。
判例 平成一〇年(ク)第三七九号平成一〇年七月一三日第三小法廷決定
要旨:
許可抗告制度は憲法三一条、三二条に違反しない
内容:
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件名 |
抗告不許可決定に対する特別抗告事件(最高裁判所平成一〇年(ク)第三七九号平成一〇年七月一三日第三小法廷決定、棄却) |
原審 |
東京高等裁判所 |
主 文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理 由
抗告人の抗告理由について
民訴法三三七条に規定する許可抗告制度は、法令解釈の統一を図ることを目的として、高等裁判所の決定及び命令のうち一定のものに対し、右裁判に最高裁判所の判例と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項が含まれる場合に、高等裁判所の許可決定により、最高裁判所に特に抗告をすることができることとしたものである。
論旨は、その一部において、同法三三七条が抗告許可申立ての対象とされる裁判に法令の解釈に関する重要な事項が含まれるか否かの判断を高等裁判所にさせることとしているのは、憲法三二条に違反し、ひいては三一条にも違反すると主張する。しかしながら、下級裁判所のした裁判に対して最高裁判所に抗告をすることを許すか否かは、審級制度の問題であって、憲法が八一条の規定するところを除いてはこれをすべて立法の適宜に定めるところにゆだねていると解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和二二年(れ)第四三号同二三年三月一〇日大法廷判決・刑集二巻三号一七五頁、最高裁昭和二四年(ク)第一五号同年七月二二日大法廷決定・裁判集民事二号四六七頁、最高裁昭和二七年(テ)第六号同二九年一〇月一三日大法廷判決・民集八巻一〇号一八四六頁)。その趣旨に徴すると、民訴法三三七条が憲法三一条、三二条に違反するものでないことは明らかである。右論旨は採用することができない。
その余の論旨は、違憲をいう部分もあるが、その実質は、立法の当否をいうか、又は原決定の単なる法令違背を主張するものにすぎない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 千種秀夫 裁判官 園部逸夫 裁判官 尾崎行信 裁判官 元原利文 裁判官 金谷利廣)
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