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 久々のプロットは、ヴォイスドラマ用に企画したもののひとつです。
 理由はよくわかりませんが、難しいということでボツになりました。
 自分は医療に明るいので、特に得意な循環器についてストーリーにおりこんでみました。まあ、話的には今ありがちな医療物ですね。
 医療青春物ってやつ。
 医師の監修なしによく書けたな〜と自分では思ってます。

 

 

循環器内科・佐久間久輝

 都立杉並総合病院。
 各科をそろえた、都内でも有数の施設をもつ総合病院である。
 夜間、心筋梗塞を起こした老人・榊 栄太郎(68)がCCUに運び込まれる。たまたま当直だった、研修医を終えたばかりの新人循環器内科医師・佐久間久輝(30)は、研修医時代を思い出しながら、内科部長の大田清三(48)の指示どおり、冠状動脈にカテーテルを通し、狭窄部を風船でふくらますPTCAを行うべく、大腿部の動脈からカテーテルを挿入するが、緊張してうまく操作できない。つきそう看護士・神部美也子(25)、井上時子(19)、佐々木涼子(22)らに緊張がはしる。思わず怒鳴る大田。ようやく狭窄部にカテーテルを届かせた佐久間は、風船を膨らまし、血流を再開させる。榊はかろうじて一命をとりとめる。
 「研修医と同じならお前なんかいらなんだぞ」と大田に皮肉たっぷりに叱責される佐久間。佐久間を慰める美也子ら看護士達。
「大田先生のいじめにまけないでね」苦笑いするしかない佐久間。
 翌日。
 心臓弁膜症の老人の手術中。心臓血管外科研修医の飯澤美穂(24)は初めての執刀で冠状動脈に傷をつけてしまう。前立ちの外科部長・木ノ内良太(46)が迅速に対応し、事なきを得たが、美穂はそれ以来メスを持てなくなってしまう。以後、院内の心療内科に通院する美穂。そんな美穂を気遣う佐久間と、美穂付の看護士・野中 愛(20)。
 佐久間は、担当の子供・島田 悟(5)を診察していた。先天性心臓弁膜症だが、エコーの結果では進行はしていない。近い将来手術が必要であることは明白だったが、とりあえず様子を見ることにする。
 そんなこんなで慌しい日々を送っていたある日、大田が通勤途中に突然胸の激痛に襲われ倒れる。診察にあたった一般内科医・原田良美(35)によると、狭心症だという。佐久間は担当医を買って出る。患者として接した大田は、弱々しく感じた。医者の不養生とはよく言うが、自分が病人になるとは思っていなかったという。そんな大田に急速に親近感を覚える佐久間。カルシウム拮抗剤と亜硝酸剤(ニトロ)の投与という佐久間の治療方針に反対しない大田。
「おまえを信頼しているよ」そんな大田の言葉が佐久間に医師としての自信を与える。
 美穂と会う佐久間。大分元気になっていたが、まだメスを持つ自信はないという美穂。 そんな折、悟が急患で運ばれてくる。心不全を起こしている。一刻の猶予もない。佐久間は木ノ内に執刀を依頼し、助手に自分と美穂をつかせるよう説得する。美穂はためらうが、佐久間の必死の説得に引き受ける。手術が始まってしばらくしてから、また急患が運び込まれる。代議士でやはり急性心不全だった。木ノ内はそちらに行かなければならなくなる。佐久間は、美穂に執刀を代わるよう説得する。取り乱す美穂。だが、自分がやらなければ、心臓血管外科医はほかにいない。目の前の悟を見つめる美穂。そして決心する。 メスを握った美穂は慎重に手術を進めていく。前立ちになった佐久間は美穂を勇気付ける。なんども手が震えるが、美穂はなんとか手術を終える。悟は一命を取りとめ、CCUに運ばれる。
 看護士達のはからいで、打ち上げパーティーとなる。
 佐久間と美穂は、ともに戦地を乗り越えた戦友として、固い絆で結ばれる。

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