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 これは、アキバ系ネットドラマの企画として出したんだけど、未だになしのつぶてということで、ボツプロットとして、この度ここに掲載することにした。

 舞台が秋葉原なので、キーワードはやはり「萌え」ということで、図らずも少女に萌えてしまう刑事の話をコミカルタッチに描こうと思った。

 あと、ドリフの洋館ホラー寸劇も頭にあったな。

 

 

「デカ、萌える!」

万世橋署の捜査一課の落ちこぼれデカ・小林 肇(26)は、自他ともに認めるロリコン。
ある事件での些細な失態で、一課でもお荷物あつかい。
一課では、現在少女誘拐連続殺人事件を捜査中だった。だが、肇はもちろん聞き込みにも参加させてもらえず、事務仕事をしている毎日だった。
ある日、また少女が誘拐される。
この事件の特徴は、営利誘拐だったが、金を奪ったあと、必ず被害者の遺体が遺棄されてるということだった。つまり、金の受け渡しの瞬間での逮捕以外に被害者を救う方法はない。
今回誘拐された少女・岡田志乃(14)と犯人は、受け渡し場所の公園に姿を現したが、一課の失態で犯人らを取り逃がしてしまう。だが、身代金だけは渡さずに済んだ。
犯人から再度受け渡しの指定がある。
一課の面は犯人に割れている可能性が高い。
そこで、一課は肇を救出要員に抜擢した。
当日、志乃を連れて現れた犯人。肇は犯人逮捕に駆け出した…かにみえたが、犯人をつきとばし、志乃を連れて逃走する。
肇は志乃に一目惚れしていたのである。
もうデカという立場はすっかり忘れていた。
かくして、肇は一課と誘拐犯に追われることになる。
志乃の情報から、犯人に監禁されていた洋館を知り、とりあえずそこに逃げ込むことにする肇。志乃はいやがったが、肇には他に思い当たる場所がなかった+志乃とよく話がしたかった。
洋館は、今時あり得ないほど荒れていて、まるでホラー映画に出てくる舞台みたいだった。
そこで肇は、志乃に自分の気持ちを告白する。
「はあ〜?」
志乃はピンとこないが、好意を抱かれていることは理解する。
肇は、おじさんだが、恐怖感はない。
志乃は、なんとか自分を家に帰してほしい、と肇に訴える。
肇もそうしたかったが、それが今生の別れになってしまうことを考えると、悩ましかった。
そこに天井からギシッギシッという音が。
志乃によれば、洋館には誰もいないはずである。
二人は恐る恐る二階にあがってみる。懐中電灯で、二階の大広間を照らすと、そこには血まみれの長い髪の少女の霊Aが立っていた。
「助けて…」
「ぎゃー」
と叫び逃げ出す二人、廊下に飛び出すと、壁から次々と女の手が出てきて二人をつかもうとする。
一階に逃げた二人は、食堂へ。そこでは天井から、やはり血まみれの別の少女の霊Bが降ってくる。
「ぎゃー」
再び一階広間へ逃げる二人、そこに玄関から誘拐犯達の声が聞こえてくる。
二人は慌ててトイレに隠れる。
便器から少女の霊Cが顔を出す。
声を立てずに驚く二人。
Cは、二人に誘拐犯達に復讐するから、二人は手を出さないでほしいと告げる。

「ここに逃げるしかねぇだろう」
誘拐犯3人の内のAが言った。
そこは誘拐犯達にとってもあまり入りたくない洋館だった。
少女達を監禁し、殺した現場である。
台所に水を探しにいった誘拐犯Aがもどってこない。
恐る恐る台所にいった誘拐犯B、Cは、壮絶な表情で事切れているAを発見、叫び声を挙げて逃げる。二階にあがったBとCは、自分達が殺した少女Bが後ろから鬼のような形相で追いかけてくるのに気づき、逃げる。部屋に逃げ込んだBは、自分が助かりたいあまりCを外に閉め出してしまう。
恐怖におびえるC。少女Bはどんどん近づいてくる。廊下の奥には窓がある。Cは窓をつきやぶって外に逃げるが、落ちた場所に木の杭があり、それに突き刺さって死ぬ。
部屋に鍵をかけ、一安心するBだったが、天井から少女Aが降ってきてBの前に立つ。
叫び声を上げる間もなく、鉈で首をはねられるB。

トイレの便器から再び少女Cが現れ、肇と志乃に「もう終わったよ。 帰ったほうがいいよ」と告げ、消える。

洋館の前に多数のパトカー。
志乃がパトカーに乗せられていく。
切ない表情で見送る肇。その肇の携帯がなる。携帯を見ると志乃からメールが届いていた。「おじさん、タイプ。また会おうね」
肇は、6ヶ月減俸にもめげず、萌えた。


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