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 これも、やっぱりアキバ系ネットドラマの企画として出したんだけど、やはり未だになしのつぶてということで、ボツプロットとして、この度ここに掲載することにした。

 この話は、ちょっとしたブラックなホラーにしようと、ラーメン屋台ではよくあるネタを使わせていただきました。

 実は屋台でラーメン食ったこともないんだ、俺…。

 

 

「ラーメンの味」

会社帰りの沢村直久(30)と三沢 愛(27)は、秋葉原の屋台ラーメンに寄った。
そこで痴話げんかをおこす直久と愛。
店の親父は、そんな二人を仲裁するようにラーメンを2杯出す。
喧嘩のことなどすっかり忘れてラーメンを貪り食べる二人。
そのラーメンは絶品だった。
親父は、二人に過去を語り始める。

その昔、親父は歌舞伎町を拠点にしていた広域指定暴力団に所属していた。
ゆすりにたかり、みかじめ料のとりたて、親父はなんでもやった。
その親父には愛人がいた。
由利。女の名前はそれしか知らなかった。
彼女もわけありの女だった。
同棲をはじめて2年、ある日突然由利は姿を消した。
親父は、必死になって探した。
組関係の情報網から、女が神田のクラブで働いていることを知った。
親父は、由利が店から出てきたところを狙って姿を見せた。
由利の顔は恐怖に引きつり、逃げ出した。

逃げた先、由利のアパートで親父は、由利が姿を消した原因を知った。
そこには若い男がいたのだ。
咄嗟に親父は包丁を握りしめた。

その続きを聞きたがる直久と愛。
だが、親父はため息をつくと、疲れたと屋台を少し離れた。
その瞬間、鍋の中から何かが見つめていることに愛が気づく。
恐る恐る、鍋をかきまぜる直久、中から頭蓋骨と直久たちをみつめる目玉が出てきた。
「由利のダシは最高さ」
二人の後ろに親父が立っていた。
二人の悲鳴は、すぐに何者かにかき消された。

秋葉原のラーメン屋台。
酔っぱらいのサラリーマン達が、酔い覚ましにラーメンを注文する。
「はいよ!」
親父は威勢よく返事すると、鍋をかきまぜる。
そのそこには驚愕の表情で何かを見つめている直久の生首が見え隠れする。


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