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 このボツプロットは、まだボツなのかどうかわからないんだけど、去年末に提出して、今までなしのつぶてってことはボツでしょう、ということで、今回掲載にふみきりました。

 これはねぇ、すっごく懐かしい話なんだよね。
 城南高校映画部時代に、本田さんから頼まれた企画でプロット書いてもってったら気に入ってくれて、「撮ろう!」ってなったんだけど、別企画「ファイナル・ジャーニー」に邪魔されて企画倒れに終わったもの。雰囲気はアニメ「うる星やつら」を狙ったもの。

 俺は、今でも結構気に入ってます。

 

 

時を越えて

 21世紀中盤。人類はタイムトリップを可能にした。
 時の総理大臣・小滝 寛(46)は世界に先駆け、タイムトリップの規制に乗り出していた。だが、その動きには抵抗も多く、特に急進派の国際テログループ「青い旅団」は、日本政府に対するテロを計画していた。
 そんな最中、小滝首相の娘・ゆかり(16)は父親とのすれ違いの生活に悩んでいた。母を早くに失ってからというもの、父子家庭で育ってきたが、総理になってからの寛とは数年言葉もろくに交わしていなかった。そんな折、たまたま見つけた写真に写っていた自分と同世代の、昔の寛を見たゆかりは、何故か無性にその寛に会いたくなり、タイムトリップを決意、実行してしまう。テログループのボス、ジェイド・クラン(40)が彼女の誘拐を計画しているとも知らずに…。
 現代にタイムトリップしたゆかりは、高校生の寛の前に現れる。何が起こったかわからない寛(17)。ゆかりは、自分が未来から来たこと、自分は未来の寛の娘であることを率直に告げるが、寛にはもちろん理解できない。現実に目の当たりにした、若い寛はゆかりの理想の男性だった。まさに一目ぼれというやつだった。その後、ゆかりはことあるごとに寛に付きまとう。とりあえず両親には、友人の妹と苦しい説明をするが、恋人の相川めぐみ(18)には完全に誤解され、嫉妬されてしまう。ゆかりは小悪魔的なところがあり、寛の恋人と知るや、わざとベタベタしてめぐみの嫉妬心をあおるのだった。もう完全に三角関係の三人。
 さらに悪いことに、ゆかりは寛の学校にまで付いてくる。しかも、美少女のゆかりは、学園のアイドルになってしまった。めぐみとの確執はいっそう深まっていく。寛の悪友三人組の大田 元(17)、山崎太郎(17)、船田恵一(17)はファンクラブを結成し、積極的に活動を始める。(この辺りで学園生活ネタに本筋が各話並行する形で)
 そんなこんなで、寛の学園生活はゆかりを中心に回り始める。
 そんな間にもジェイドたちのテロ計画は進行していた。ゆかりが現代にタイムトリップしたことを知ったジェイドは、その地域を割り出し、信頼できる仲間とともにゆかりを追ってタイムトリップしたのだった。
 そのジェイドを追っていた時空警察・特殊班の高崎浩介(34)も、ジェイドの目的を知り、後を追って現代にタイムトリップする。
 高崎が出現地点に選んだ場所は、寛の部屋の押入れだった。押入れから飛び出してきた重武装の高崎に怖気づく寛。そんな寛に、高崎は事情を説明する。
 いつものように学校に遊びに行ったゆかりは、途中でまんまとジェイドに拉致される。そしてジェイドが作り出した時空牢に入れられる。そこは、現実がアベコベに存在する狂乱の世界だった。しつこく付きまとうオカマの大田たちを振り切ったゆかりは、出口を探してさまよう。
 現代から、未来の政府を脅迫することにしたジェイドは、寛の学校近くに拠点を構える。
 寛は、ゆかりが誘拐されたことを知り、いても立ってもいられなくなり、高崎とともに探し始める。
 高崎らは、ゆかりの残した磁気からジェイドの隠れ家を見つける。対テロ特殊部隊を呼び、隠れ家を包囲する高崎。寛は、時空牢へと向かっていた。
 激しい銃撃戦の末、ジェイドは高崎に逮捕される。
 その頃、寛はゆかりを探して、狂乱世界をさまよっていた。男のめぐみに一目ぼれされ、つきまとわれながらもなんとかゆかりを発見する。
 ゆかりは、思わず寛に抱きつく。そのゆかりを優しく抱きしめる寛。
 寛は、意を決してゆかりに、未来に帰るように説得する。案の定、ゆかりは拒む。あの父とこれ以上一緒に暮らせない、帰るならグレてやるとまで言うゆかりに、寛は自分なら、きっと今頃心配してるはずだ、とゆかり言って聞かせる。決してもう未来の寛はゆかりを無視したりしないと約束する。一生懸命の説得に、ゆかりも渋々未来への帰還を承諾する。
 高崎によると、「時間旅行規制法」が成立すれば、もう二度とゆかりに会うことはできないという。愁嘆場を演じるファンクラブの皆。だが、寛は「それでもいい」といい、ゆかりと見詰め合う。うなずきあう二人。きっと寛は覚えている。そう信じるゆかりは、皆にお別れを言うと、高崎たちとともに未来に帰っていった。
 未来では、寛のいったとおり、首相となった寛が心配していた。「よかった、よかった」と泣き出す寛にゆかりもいっきに心を開き、泣き出す。
 「これからは、おまえを大事にする。俺にはお前しかいないんだ」そういった寛は、過去の寛からの手紙をゆかりに見せる。そこにはゆかりのことをよろしく頼むという過去の寛の願いと、ゆかりのような娘が持てることを知ることができて、希望をもって生きていける」という内容が書いてあった。その手紙をゆかりは一生の宝にしようと決めた。
 現代。時空警察の処置により、もう寛たちはゆかりたちのことは覚えていない。だが、寛は、なんとなく未来に希望を持てる自分を発見していた。きっと自分は子供に恵まれるだろう、そして幸せな家庭を築けるだろう、と。


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