「The Man with a Movie Script」

脚本・監督 Naoki Murata

1995年Syracuse University Film Department作品

 「終章」で「これが最新作」と書いたけど、それは日本での話しで、本当の意味での最新作というか最後の作品がこれ。
 最初にして、おそらく最後の16mmモノクロ作品。
 内容は、前出の「Over the Dream」、これから語られるであろう「DREAMER」のリメイク的内容で、アメリカの昔のインディペンデント映画に「The Man with a Movie Camera」というくだらない作品があって、これはタイトルだけをそこからいただいたもの。自分の書いた脚本に踊らされる男の幻想を描いた短編で、完成度は以外と高かった。
 これには現在おそらく日本でライターとして活躍しているであろう中村 烈君に主演してもらって、正味3日くらいで撮ったんだけど、撮影当初は同じ映画学科のエリオット・ゴールドスティンに勝手に仕切られちゃって大変だった。で、彼をさけるようにしてこっそり撮影しなおしたんだ。でも、それが功を奏したらしく、映画学科では学期の終わりに教授陣にかならず作品を見せてボコボコにされるしきたりがあったんだけど、この作品はほぼみんな絶賛。サウンドトラックに「覇王別姫」とか使ったのがよかったんだろうけど、「Sound track works very well」とか「Nice image!」とか「Direction is good」とか、自分でも怖くなるくらいほめられたな。中村君の作品は攻撃されまくってたので、内心「俺じゃなくてよかった」と…(カメラマンとして手伝ってたんだけどね。あれも結構撮影は面白かった)。

 来年の春くらいには、逐次自分の作品をとりこんで、このサイトで上映していこうと思うんだけど、この作品だけは出来ない。
 理由は簡単。アメリカに置いてきたから。もうとっくに灰になってるだろう。
 春学期が終わって、まだシラキュースに戻ってくるつもりでいたから、このフィルムはむこうに置いてきたんだ。まさか、我が家が財政難にあえいでいるとは思ってなかったからね。今思えば、この作品製作したのは秋学期だったから、すぐにビデオにして持ってきとけばよかった。

 そういう意味では悔いがのこる作品。