エンターテインメント・レビュー

第四十一弾

日本映画

踊る大捜査線2 〜レインボーブリッジを封鎖せよ

本広克行監督作品

日本映画史上近年稀に見る大ヒットとなった前作を超える超ヒットをとばした本作。

皆さんもご承知の通り、TVドラマの映画化である。

本作の魅力は、キャリアと現場の意識の対立とか、独特のキャラクターによるコミュニケーションの妙とか、リアルな警察の描写とか様々あるが、問題なのは前作同様、映画の中にそれを活かせるか、である。

前作でもふれたが、映画はテーマが一本に絞られていなければならない。
また、起こる事件も多発していては、話が散漫になってしまう。

本作の場合、前作にくらべれば話の散漫さは改善されていたが、あいかわらずテーマがぼけている。
元々12本のTVシリーズを通して語られたテーマなので、1本の映画に集約するのは難しい。

猟奇事件にもリアリティがない。
今回見て驚いたのは、殺人事件なのに、重々しさがまるでない。非常に軽い扱いなのだ。
それよりも、事件を率いる管理官の軽率さの描写に重点がおかれている。
映画としては、あまりにも人命を軽く描きすぎている。
それでいてレギュラーの生死をめぐる攻防については繊細に描かれている。

つまり、「生きている人間」が、レギュラーだけなのだ。

これは、映画としては説得力に欠ける。

また、深津絵里演じる恩田刑事が撃たれ重体になるくだりも、ありがちで緊張感にかける。

やはり、このシリーズは映画には向かないのではないか、と思ってしまう。
映画として作るなら、お約束のテーマや設定の面白さよりも、単純にストーリーの斬新さ、面白さに絞って製作したほうがいいような気がするが…。

映画ファンは、この作品をどうとらえたであろうか?