第15回 「”創作VS会社組織”論」

 

前回が、やたら中身のない論だったので、今回はグッとお堅い話。

自分はWeb業界という、はたから見ればクリエイティブな創作的業界に入って7年以上になるけど、会社で働いてて「俺はものつくってるぞー!充実してるぞー!」と思ったことはほとんどない。
まぁ、まったくなかったわけではないけど、大体自分が考えて作るものではなかったし、上から押し付けられて、その中でやりがいがあった仕事もなかったわけではない、ということ。まあ、この辺は一緒にやるメンバーにもよるよね。
仕事の大半がロンリーな仕事だった自分にとって、やりがいのある仕事はほとんどなかった。

自分が「創作してる」って感じたことは皆無といっても過言じゃない。

創作っていうものは、その企画段階において自分が納得していて、納得いくメンバーであれこれワイワイやりながら作っていくものだと思う。ま、小説のような個人ベースのものもあるけど、あれだって編集者がいて、初めてなりたつ創作業だから。
だから、企画段階ではつまはじきで、全然納得いかないメンバーでほとんどつかみあわんばかりの状態でものをつくっていくっていうのは、自分から言わせれば創作ではない。

と、今まで創作のことばかり語ってきたけど、会社についても語らなきゃね。
会社=企業組織というのは、なによりもまず利益優先でなければならないし、そのためにはシステマチックでなければならない。目にみえない「創作の企画」なんて企業にとってこれくらい業務にしにくいものはないよ。みんな仕事してくれなければ困るわけだから、夢や趣味を語りながら企画を煮詰めていくなんて企業の業務にはなりえないと思うね。ゲーム業界だって昔はそれで成り立ってたけど、今はもっと「アレが売れたからアレみたいなやつ」という上からのお達しがあって企画を練るわけだから、あまり創作的とはいえない。Webなんかもっとだね。

もともと会社で社員になってクリエイティブなことをしよう、というのが間違っているような気がするな。
だって、法的に乗り越えなきゃならない壁があるし、雇用関係でものを作っていく芸術的な作業はできないね。

他の業界をみると、映画でも音楽でも社員が創作している例はまずないね。
大体契約を交わして、プロジェクトごとに金もらってやってる。
そういうやり方が、「ものを創作する」ということでお金もうけをするには一番いいやり方なんだと思う。

これから、「俺はいいものが作りたい!だから俺の会社を作るんだ!!」と勢い込んでる人がいるとしたら、その情熱は会社設立に回すよりも、純粋にものづくりにかけたほうがいいね。いいものができたら売り込むなりWebで公開するなり、方法はいくらでもあるんだからさ。

会社作ったら、クリエーターは終わりよ。経営者になるんだから。

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