第16回 「”ネオコンと時代の振り子”論」

 

今回は、何か論文みたいなタイトルだねぇ。
ま、論文みたいなもんだから、しかたないか。

ネオコンについて説明しなくても大丈夫だよね?ダメ?
じゃ、軽く。
いわゆる右翼なんだけど、別に帝国主義でも、日本でいえば天皇尊重主義でもない、いわゆる軍事マニア的「なんでも軍事作戦で解決だ!」という人たちのことを最近ではネオコンと呼んでます。「新しい保守」という捉え方もあるだろうけど、それは保守派の人にとって少し失礼。ネオコンはもっと単純で単細胞。

イラク戦争を始めたのもネオコン。
ちなみにブッシュはネオコンではないんじゃないかな?彼はネオコン達の操り人形でしょう。
小泉首相はネオコンだねぇ。いや、ネオコンぶってるといったほうが正確かな。
「テロには屈しない」とか、「国益のため自衛隊を派遣する」って聞こえがいいでしょ?

「テロに屈しない」というのは、屈しないかわりにテロに対して有効な手段を持っている国がはじめて言えること。
日本の場合はどうだろう?
今回の人質殺害事件に、人質への非難と政府への擁護論が根強い昨今のネオコン日本だが、例えば在イラクの大使館関係者とか、自衛隊員とかが人質になった場合はどうする?
日本には、現在海外でテロを武力制圧できる対テロ特殊部隊は存在しないし、法整備も整っていない。
例えば、ドイツの場合はGSG9という対テロ特殊部隊が海外のテロ事件にも対応するが、日本にはそういった部隊は存在しないし、したとしても憲法9条のしばりで武力解決はできない。
イラクに限らず海外でハイジャックや大使館占拠、誘拐などが起こった場合、それに対して「屈しない」有効な手段を、ネオコン日本はいまだに持っていないのだ。

単にネオコンなだけの日本と、手段をもっている他国とは決定的に違うのだ。
考え方はネオコンになったが、法整備などの現状は30年前となんらかわりない。
ダッカで日本赤軍がハイジャック事件を起こした時、当時の福田首相は「人一人の命は地球よりも重い」と赤軍の要求を全面的に受け入れ、収容犯の身柄と身代金を赤軍に渡した。当時は、海外では大ブーイングだったが、国内では好意的に受け入れられていた。今なら袋叩きなんだろうな。
その福田さんの弟子にあたる小泉首相は、正反対の対応をし、地球よりも重いはずの命をひとつ犠牲にした。

時代の振り子とは、何十年前には左だったものが大きく右に揺れることの例えだ。
例えば、今は女性の権利が保障されつつあり、セクハラなどでは丁重に対応される場合が多い(警察を除く)。が、このセクハラ、法律上では女性限定であり、男性はセクハラを受けても法的には守られない。これも一時期不公平だった男女の法律上の立場を、大きく女性側にふった結果なのだ。
これも時代の振り子。

今は、何事においても極端な時代。
イラク問題では、誰もが極右の立場で語り、左寄りの人間は徹底的に排除する(例:2ch)、そんな時代に生きている。

日本も、いつか本当の意味で普通の、右でも左でもない国家になることを祈りつつ、アメリカの大統領がどっちになるのか気になる今日この頃である。

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