第四回 「”武術指導”論」

 

今回はちょっとマジメな論。
いや、いつもマジメだけどね。ネタが自分にとってこれからのテーマのひとつだから。

最近、香港のアクション監督の活躍はめざましい。
「MATRIX」3部作&「キル・ビル」の振付をしたユエン・ウーピンはもちろんのこと、「チャーリーズ エンジェル」シリーズのユエン・チョンヤン、「スパイダーマン」「HERO」のチン・シウトン、「ブレード2」のドニー・イェンなど数え上げたらきりがない。

アジアの文化のひとつである中国武術とワイヤースタントがハリウッドで認められたのは確かにすばらしいことだ。

でもね。
ちょっと待ってね。
アジア映画でアクションをやってるのは、何も香港や中国だけではないのだよ。

さて、ここで日本に目を移そう。
日本映画(TVも)も御多分にもれず、最近ワイヤーや中国武術を連用している。
日本古来の殺陣はというと、すっかりなりをひそめている。もはやTVの時代劇でしかお目にかかれないのが現状だ。
じゃあ、日本のマーシャルアーツは中国に比べて劣っているのだろうか?
皆さんは時代劇のクライマックスシーンでバッサバッサと主役達が素早い殺陣で悪役を斬り捨てていくシーンをみて胸躍ったことはないだろうか?
アレもマーシャルアーツだし、日本が誇れる映画文化だとは思いません?

じゃあ、なぜハリウッドは目を向けてくれないのだろ?
少なくとも日本を舞台にした「キル・ビル」などは日本の殺陣師が活躍できたはずの映画だと思う。でも、タランティーノは敢えて香港からユエン・ウーピンを呼んだ。

日本の殺陣=マーシャルアーツは中国のそれに比べて実用的でかっこいいのだが、残念ながら「見栄え」を重要視するハリウッド映画界にとっては地味すぎるのだ。

大体ここ何十年、殺陣というものが日本映画に登場してからこのかた、「新しい殺陣」というものが研究されなかったのが大きな原因なのではないだろうか?

僕は、今の日本の若いアクション監督やぺーぺーの殺陣アシスタントの若手にはもっと新しい、これからの殺陣を研究してもらいたいのです。

香港やアメリカの一番いいところは、他の国にいいものがあったら即座に自分のものにしてしまうこと。
日本も積極的にワイヤーやCGを取り入れつつも、どうやったら古来の殺陣とそれらが融合して、新しい殺陣ができあがるかをそろそろ研究する時期に来てるんじゃないかなーとか思う。

「MATRIX」公開以来、今は特にマーシャルアーツアクション映画のブーム。
日本も日本独自のマーシャルアーツアクションを生み出しましょうよ。

ああ、若くて金があったら自分も東映剣友会にでも入って日本の殺陣を学びつつ、香港のワイヤーアクションも勉強して、新しいアクション映画を創りたかった…。

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