第九回 「”俳優”論」

 

映画監督をめざす者にとって、映像とともに興味がつきないのが「俳優」という存在だと思う。やはり映画を観ていて演技とともに、その俳優の存在感に圧倒されてしまうことも多々ある。

今回は、俳優のパターンについて論じてみようと思う。
まず個性を売りにする個性派型。これは万国共通そのキャラクターで存在感をアピールするタイプで、前に論で扱った女優で言えば池脇千鶴や広末涼子がこのタイプにあたる。
そして演技力を売りにする演技派型だが、このタイプは結構難しい。論で挙げた女優でいえば前田 愛がこのタイプに属するが、やはりこのタイプは演技はうまいのだが、どの役をやっても存在感を示せる個性派型と違って、ある型にはめないととても平凡な女優になってしまう。前田 愛の場合は最近子役で培った「明朗快活元気印」のイメージを払拭するかのように様々な役に挑戦しているようだが、個性に欠けるため存在感がない。
例えばテレビで売春婦の役をやっていたが、これを池脇千鶴が演じていればある程度インパクトのある助演だっただろう。彼女にはそれだけの存在感がある。広末涼子にしても同じだろう。

個性派俳優は海外に多い。
例えばジム・キャリーなんかはその典型的な例だろう。
彼の強烈なキャラクターは、その映画の成功、失敗を左右するほどだ。
こういう個性派俳優は、大体においてトークショーや、日本でいえばバラエティ番組などでそのキャラクターを確立していく。
これに対して演技派俳優は徹底的にドラマや映画、舞台でその演技力を培う。存在感はその努力の末結果としてでてくるものなので、このタイプは非常に成功するのに時間がかかる。
国内外問わず、若手の俳優は圧倒的に前者を目指す傾向が強い。
やはり個性派俳優は早く成功をおさめやすいし、努力によっては、あるいは運(作品選び)によっては長続きする。
演技派俳優は大体が大器晩成型が多く、成功するのも1部の人たちだけだ。その代わり、一度成功すれば、作品に関わらずまず間違いなく長続きする。

前出「前田 愛」はお気に入りの女優さんだが、最近は演技の幅を広げようとしているため、その分個性が弱まっている。元々ネームバリューに弱点があるので、成功を狙うなら今は演技の幅を広げるよりも自分のステータスを確立する方がいい。
彼女の場合、例えば「機動警察パトレイバー」の泉 野明役なんか子役でないに関わらず「明朗快活元気印」なキャラなので、存在感や個性を確立するのにぴったりだと思っていたのだが、それとはむしろ逆なイメージの役を選んでいるようなので、残念だなぁと思う今日この頃である。

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