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文左右衛門「おやめなさい!」

   突然、村民達の背後から文左右衛門の

   怒号が飛ぶ。

   それまでネルと長老に釘付けだった村

   民の目が、文左右衛門に向く。

文左右衛門「殺生は神の教えに背く行為です」

長老「ヨハネどの、村には村の掟があります

 で」

文左右衛門「いいえ。あなたは私に約束したは

 ずだ。基本的な教えには従うと」

長老「...」

   辺りが静まりかえる。

   息を飲み、事態を伺うネル。

   本田、意を決してネルの前に出、ネル

   を縛っていた縄をほどく。

長老「おまえは何やつ!?」

文左右衛門「私の連れです」

長老「わかった。今回はあなたの言うことを聞

 こう。だがな、我々は今までずっと村の掟を

 守ってきた。女どもは確かに反乱を起こした

 が、集団が生きていくには掟が必要だ。あな

 た達が神の教えを信じているようにな」

本田「だからって、彼女らの権利を束縛してい

 いって事にはならないだろう!?」

   粋がる本田をネルが制す。

ネル「もういい、ジョースター。私達は彼らに

 負けたんだ。だから彼らの掟に従うのは当

 たり前。村から逃げ出した者は処刑されるの

 が決まりなの。だから...」

長老「処刑は取りやめじゃ。しばらくおまえに

 は房に入ってもらう。トトはその間我々が面

 倒を見る。それで良いな?」

ネル「長老...」

長老「ヨハネどの、これでよろしいな?」

文左右衛門「いいでしょう」

長老「傷ついた村人を救ってくれたヨハネどの

 の頼みを聞かぬわけにはいかんが、しかし

 これ以上掟をないがしろにするわけにもい

 かん。これからのことはこの村の人間で決め

 させてもらう。あなた達には即刻出ていって

 もらいたい」

文左右衛門「私は構いませんが」

   と言いながら、本田の方を見るヨハネ。

   ネルの顔を間近で見つめる本田。fj11-1.JPG (6578 バイト)

   ネル、悲しそうに本田を身、頷く。

本田「彼女を助けるんだな?」

長老「彼女の処分は先程言ったとおりだ。処刑

 はせん」

本田「わかった。君の命が助かるなら...」

   悲しい表情で本田ネルを見る本田。

   その唇にネルはそっと口づけをする。

ネル「わすれない」

   本田、ギュッとネルを抱きしめ、暫し抱

   き合った後、立ち上がって文左右衛門

   の隣まで歩いていく。

文左右衛門「大丈夫か?ジョースター」

本田「さ、行こう。俺達にはここに来た目的が

 あったはずだ」

文左右衛門「そうか...」

   村の外に向かって歩き出す本田と文左

   右衛門。

   ネル、縄を解かれ、長老の後ろで去っ

   ていく本田達を見つめる。

   本田は振り返らなかった。

 

○川の畔 (夕)

   川辺に並んで座る本田と文左右衛門。

   かなり疲れた様子である。

文左右衛門「おなか、すきましたねぇ」

本田「ああ...でももう何も食うものは持ってな

 いし...」

文左右衛門「ジョースター」

本田「ん?」

文左右衛門「これを食べなさい」

   本田にヤシの実を差し出す文左右衛

   門。

本田「え、でもこれは君の...」

文左右衛門「私は神につかえる身。それにSAS

 時代にサバイバル訓練を受けてますからこ

 の程度の空腹感はなんて事ありません。い

 ろいろあって、あなたの体は衰弱しているは

 ずだ。さぁ」

本田「ヨハネ...」

   本田の目に涙がうかんでくる。

本田「ありがとう....」

   泣きながらヤシの実にかぶりつく本田。

 

○湖畔

   畔で水をかけ合いじゃれる本田と文左fj11-2.JPG (3931 バイト)

   右衛門。

   そして離れた二人は見つめ合う。

本田「ヨハネー!」

文左右衛門「ジョースター!」

   二人は駆け寄り、そして抱き合う。

   その二人の頭上では、太陽が燦々と照

   り輝いていた...。

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次回へつづく


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