GigaHit

○滝

本田、滝が雪崩堕ちる崖を必死に登っ
ている。
途中、足を踏み外し、足場だった岩が
落下していく。
その様を、恐怖に引きつりながら見、
再び上を目指して登り始める本田。
そのやや下方に文左右衛門が、やはり
岩肌に張り付いている。
本田、文左右衛門を見る。

本田「ヨハネ!下を見るんじゃない!上を向

いてひたすら登るんだ!」

文左右衛門「わ、私に構わず行ってくださ

い!」

死にそうな表情の文左右衛門。

本田「バカヤロー!貴様、それでも牧師か!

人がそんなに簡単に命をあきらめていいの

か!?」

無言で本田を見つめる文左右衛門。

本田「力をふりしぼって登るんだ!さぁ」

文左右衛門、登り始める。
本田、ため息をつき、再び登り始める。


○洞窟内

本田と文左右衛門、向き合って座り、
くつろいでいる。

文左右衛門「ジョスター、さっきはありがと

う。あのままあきらめてたら、私はもう死 ん

でいたよ」

本田「これからはもっときつくなるからね。

あれしきの事で根をあげていてはダメだよヨハネ」

文左右衛門「まったくだ」

微笑む二人。

文左右衛門「ここはどこらへんなんだろう?」

本田「まだ入口付近さ。その証拠に、僕らは

まだ動物にほとんど会っていない」

文左右衛門「そうか」

少し落胆する文左右衛門。


○洞窟前

何かが洞窟に近づいていく。


○洞窟内

本田、ごそごそとリュックから何かを
取り出す。

文左右衛門「どうしたんだい?」

本田「そろそろ腹へってきたろ?メシにしよ

うと思ってさ」

本田がビーフジャーキーを取り出した
その時、入口から木の槍が飛んできて、
ビーフジャーキーの袋に命中する。
本田と文左右衛門、恐れおののき、一
斉に飛び退く。

文左右衛門「何ですかぁ!」

本田「ひぃ〜」

小柄な人影が一人、洞窟に入ってくる。
恐怖に思わず抱き合う本田と文左右衛
門。
入ってきたのは色黒で上半身裸の、腰
みのをつけたいかにもって感じの原住

民の少年だった。

本田「い、命だけは」

文左右衛門「私、ただの牧師ですから」

べそをかきながら、口々に命乞いをす
る本田と文左右衛門。

少年「☆◎&$¢⇔∫‰!!」

少年、本田らの側に落ちているビーフ
ジャーキーを指さし、何か叫く。

本田「は?」

恐怖に震えながら、少年に真意を確か
める本田。

少年「》〃々〜▲£◎⊃!!」

再び叫び、ビーフジャーキーの方に駆
け寄る少年。
本田と文左右衛門、飛び上がって驚く。

少年、ビーフジャーキーを拾い上げ、
本田達に詰め寄る。

少年「♪¶∬◯⊥@♂♀◎!」

文左右衛門「何?それが欲しいのかい?」

少年、警戒したような表情でビーフジ
ャーキーを抱きしめる。
絶対返すもんか、といった態度である。

文左右衛門「わかったよ。ほら、持っていき

なさい」

ゼスチャーを交え、少年と交流する文
左右衛門。
本田「何言ってんだよ、俺達の少ない食料な

んだぞ!」

本田、文左右衛門の片を捕まえ、抗議
する。

文左右衛門「子供が腹をすかせているの放っ

ておけますか?」

本田「僕は子供よりも自分の腹の方が大切だ

よ!」

と言って少年からビーフジャーキーを
取り上げようとする。
少年は飛び退き、蛮刀を振り上げた。
 
次回へ続く。