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   岩影から、前に本田達を脅した少年が

   顔を出す。

   驚く本田と文左右衛門。

本田「あ、おまえ!」

   少年、怯える。

文左右衛門「ジョスター、おやめなさい」

   文左右衛門、本田を遮り、牢屋の格子

   に近づく。

   おどおどと文左右衛門を見つめる少年。

文左右衛門「おいで」

   と言いつつ手招きする。

   少年、恐る恐る文左右衛門に近づいて

   いく。

   文左右衛門、ニコリと微笑み、懐から

   レーズンを取り出す。

文左右衛門「さ、お食べなさい」

   差し出されたレーズンを興味深げに見

   つめ、それに手を伸ばす少年。

   レーズンを摘んだ文左右衛門の指がゆ

   っくりと少年の唇に伸び、その口にレ

   ーズンをそっと入れる。

   ゆっくりとレーズンをそしゃくする少年。

文左右衛門「あなたに神の祝福のあらん事を」

   十字をきる文左右衛門。

   少年、笑顔を浮かべ、文左右衛門を見

   つめる。

少年「☆〒◎♀⊆∇」

   乗り出す本田。

本田「何だって?」

文左右衛門「わかりませんが、好意を持ってく

 れた事は確かです」

   少年、おもむろにナイフを取り出し、格

   子を切り始める。

本田「おっ、偉いぞ少年!」

文左右衛門「善行は自らを救うのです」

 

○アーの村・裏手の茂み

   洞穴の様な所から、本田、文左右衛門、

   少年の三人が出てくる。

本田「なんとか抜け出せたね」

文左右衛門「この子のおかげです」

本田「サンキューな、ぼうず」

   少年の頭をなでる本田。

   本田を嬉しそうに見上げる少年。

少年「⊂∫ρG島」

本田「おお、そうか。なんかよくわからんけど、

 いいヤツだなおまえ」

   突然、三人の後方に人影が立つ。

   思わず身構える本田と文左右衛門。

   そこには弓矢を背負い、槍で武装した

   ネルが立っている。

   慌てて逃げようとする本田と文左右衛

   門。

   少年、嬉々としてネルに駆け寄る。

   本田と文左右衛門、逃げるのをやめ、

   ネルと少年を見る。

   優しい表情で少年を抱きとめるネル。

   呆然とその光景を見つめる本田と文左

   右衛門。

本田「もしかして、親子?」

文左右衛門「しかし、ここでは男と女が対立し

 ているはず」

   ネル、本田と文左右衛門を見、近づい

   てくる。

ネル「あなた達にはトトが世話になった」

本田「あら、英語が話せるんだ」

   微笑むネル。

ネル「早くここから立ち去って」

文左右衛門「ありがとう」

   文左右衛門、微笑み返し、立ち去ろう

   とするが、本田が動かない。

本田「この前はすまなかったね。ただ...」

   優しそうに目を細めるネル。

ネル「気にしてない。それより早く」

   見つめ合う本田とネル。

文左右衛門の声「ジョスター!」

   本田、名残惜しそうにネルから離れ、

   文左右衛門の方に駆け出していく。

   二人を少年とともにネルが見送る。

   その目は遠く離れていく本田をいつま

   でも見つめていた。

 

つづく