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○ジャングル・広場 (夜)

   本田と文左右衛門、たき火を囲んで座

   っている。

本田「彼女、大丈夫かなぁ...」

文左右衛門「さぁ。捕虜を逃がしたわけです

 から、バレたらただじゃ済まないでしょう

 ね」

   俯き、黙り込む本田。

   文左右衛門、ふいに顔を上げ、辺りを

   見回す。

本田「どうしたの?」

文左右衛門「何か聞こえませんか?太鼓を打

 つような」

本田「えっ?」

   辺りの様子をうかがう本田。

   太鼓の音が、かすかに聞こえてくる。

   文左右衛門、慌ててたき火の火を消す。

本田「な、何?どうしたの?」

文左右衛門「相手に気づかれるとまずいでし

 ょう。これはおそらく原住民達ですよ」

本田「そ、そうか」

   本田と文左右衛門、暗闇の中を静かに

   動き、音の方へと近づく。

   茂みからそっと向こうをのぞき込む二

   人。

文左右衛門「これは...!?」

   茂みの向こうの広い道を、塗料を顔中

   に塗りたくり、武器を手にした男達が

   行進している。

   時折気勢を上げる男達。

本田「何をしてんだろ?」

文左右衛門「もしかすると彼らはアーの村に

 向かっているのでは」

本田「何だって!?つまり襲撃って事?」

   無言で頷く文左右衛門。

本田「大変だ。助けに行かなきゃ!」

文左右衛門「無理ですよ!たった二人で何が

 出来るっていうんです?」

本田「でも、このままじゃぁ...」

文左右衛門「とにかく、ここを離れましょう。

 我々もここにいては危険ですから」

   暗闇に消える文左右衛門。

   その後を、釈然としない顔の本田が続

   く。

 

○アーの村 (朝)

   辺り一帯焼け野原と化した村。

   本田と文左右衛門、呆然とその真ん中

   に立っている。

文左右衛門「全滅か...」

本田「ひどすぎるよ。こんな事って」

   本田、何かに取り憑かれたように歩き

   出す。

   文左右衛門もその後を追い歩き出す。

   辺りを見渡しながら歩く二人。

   辺りには焼けただれた建物が散乱し、

   燻っている。

文左右衛門「でも、死体が一つも内って事は

 彼女らは無事なのかもしれない」

本田「ネル−!」

   本田、叫びながら辺りをさまよい歩く。

文左右衛門「無駄ですよ。彼らに連れ去られ

 たんだ」

   と文左右衛門、本田の肩を掴む。

本田「ネル!いないのか!」

   本田、文左右衛門を振り切り、尚もネ

   ルを探し求める。

   辺りには人影などなく、ただ静まり返

   っている。

   悲しい表情の本田。

文左右衛門「ジョスター、もう行きましょう」

   鬼のような形相になり、振り向く本田。

本田「ヨハネ、助けに行こう!」

文左右衛門「何を言うんです。無茶ですよ」

本田「無茶だろうがなんだろうが行くんだ!

 君は軍人だったんだろう!」

文左右衛門「だからこそ無理だと言ってるん

 です!多勢に無勢ですよ」

本田「もういい!!」

   本田、吐き捨てるように言い、走り出

   す。

文左右衛門「ジョスター!」

   困惑の表情で本田を呼ぶ文左右衛門。

   本田の後ろ姿は森へと消えていく。

 

つづく