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あとがき

 これは自分がアメリカの大学の映画製作の授業で書いた脚本を日本語に訳したもので、内容はそのままです。これは同じ授業でパートナーだった中村 烈君が「漫画で、背中を見られると死ぬ男の話があって、それを元ネタにしたい」と言ったので、それに沿って書いたものだ。これを書いた次の学期の授業で、これを実際に製作したんだけど。これはもう滅茶苦茶だった。

 女優を演劇学科その他から募集して、ケイト&ローラ役とも結構いい感じの人で決まったんだど、いざ撮影に入ってみると、必ずどっちかが来ない。別に仲が悪かったわけじゃないんだけど。だってこの二人はまったく会った事がないんだから。結局二人揃わなければ撮影が出来ず、デッドラインぎりぎりまでがんばったんだけど、二人をクビにせざるをえなくなった。

 さて、代わりをどうするか。演出はほとんど中村君がやっていたので、彼と相談し、考えあぐねたあげく、スタッフとして参加していた同じ映画専攻のマークとマットに頼んだ。「マークとマットって二つとも男の名前じゃないの」だって?その通り。つまりケイトとローラを男に変え、ストーリーを変更したわけだ。科白はまったく使えないので、二人に「こんな感じのことをふたりで語ってくれ」と無茶な演技指導をしたが、結果的にドキュメンタリーみたいな一種異様な雰囲気がでたので、その点は成功といえるかもしれない。

 タイトルの「NEVER SHOWN」は「不可視」とか「決して見ることの出来ない」という意味で使ったのだが、その変更により、意味自体は変わらないものの、ニュアンスがえらく変わってしまった。

 以下変更されたストーリーの大まかな設定と、ラストシーンを載せる。

 マーク=ケイトは同じ大学の学生マット=ローラと同居することになる。マットは気さくないい奴だが、何故か背中を隠している(ローラのようなオーバーリアクションは一切ないのだが、さりげなく背中を隠す)。ある日鬱気味のマークは、マットに誘われ飲みに行く。そして泥酔状態で帰ってくる二人。水をマットに飲ませようとしたマークは、誤って水をマットのシャツにこぼしてしまう。慌てて拭こうとしてマークは考える。「背中を見るなら今がチャンスだ」と。

シャツをめくるマークの手。

マットの背中が徐々に見え始める。

マークの顔に緊張が走る。

マットの背中が見えかける。

そこで画面暗転。

タイトル「見せないよ〜ん(NEVER SHOWN)」

END

 

 タイトルがオチになってしまったのである。ま、あっちでは大爆笑だったけどね。

 どっちの方がよかったか、未だによくわからない作者である。


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