On the Way

晃はアメリカ・NY州をドライブしていた。大学の休暇で、いつも彼はバンドの仲間と行動をともにしていたが、今回はひとりのんびりと旅を楽しもうというのだ。
 夜。砂漠以外なにもないフリーウェイを走っていると、前方にアジア人の女性の姿が浮かび上がる。右手をあげ、ヒッチハイクをしているようなので、晃は車を止め、その女を見た。暗くてよくわからないが、青白い美形の、高校生くらいの女だった。晃の目的地はバッファロー、彼女の目的地も途中のシラキュースだったので、晃は彼女を乗せることにした。

 彼女は自分をエミコと名乗った。シラキュース市の高校に通う日本人留学生だという。同じ留学生である晃は、エミコに共感をおぼえた。
 夜通し走ってシラキュースまで行くこともできるが、長いドライブだったため、晃はかなり疲れている。晃がモーテルで一泊することを提案すると、エミコはなんのたじろぎもなく
OKした。早速二人は近くのモーテルに車をすべらせた。

 

正直、この宿泊には晃の下心があった。
 道で拾った女子高生、しかもここはアメリカだ。レイプはまずいが、日本人女性はここでは以外に解放的になる。
 彼女がシャワーを浴びているとき、晃の下心はついに彼を行動へと移させた。
 息を呑んでゆっくりとシャワールームを開ける晃。
 そこに立っていたのは、晃の登場に驚くこともなくシャワーを浴びている弾痕だらけの身体のエミコだった。
 息をのむ晃。
 「見たわね」

 バスローブで身を包みながら近づいてくるエミコ。

 「あたしがシラキュースに行くにはわけがあるの。あたしを殺した男を捜しているんだよ。そして復讐してやる。」

 エミコは、かつて恋人だったジャンキーの黒人・デビッドに惨殺されたのだった。彼女の思念が残り、ゾンビとして彼女を蘇らせた。彼女の身体が持つのはわずか数日。その間にデビッドを探し出さなければならない。エミコは晃に協力するよう言う。
 晃は何も言えず、ただ自分を見つめるエミコを見るだけだった。
 エミコは晃の下心を察していた。そして条件をつけた。
 協力するなら今晩は自分を抱かせてやる、そうでなければ呪い殺すというのだ。
 相手がゾンビでは喜びは半減以上だが、殺されるよりはまし、と晃は協力を約束した。

 こうして、男・晃とゾンビ女・エミコの犯罪者捜しは始まった。