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   人 物
 鳩中友子(19)大学二年生
 木村由紀江(18)友子の同居人
 苗場利宏(18)由紀江の同級生
 小田 香(19)友子の親友
 上原 治(20)香の彼氏
 志村 清(20)上原の友人
 西田健三(46)由紀江の叔父
   栄子(44)由紀江の叔母
 吉田刑事(45)
 細井刑事(31)
 少女の由紀江(8)(9)
 医師(35) 
 友子の父
     兄

〇(回想イメージ)路上
   少女の由紀江(8)の手を引いて歩く由
   紀江の母。
   じっとその横顔を見つめる由紀江。

〇(回想イメージ)公園
   砂場で砂遊びをする少女の由紀江と母。
   その母の美しく、優しそうな横顔。
由紀江「お母さん」
母「うん?」
由紀江「お母さんの横顔、キレイ」
   と母の頬をなでる。
母「ありがと」
   頬を触る由紀江の手を撫で、砂に目を
   戻す母。
   まぶしそうに母を見つめ続ける由紀江。
   母の姿が光とともに消えていきーー

〇メインタイトル
   「横顔」
〇小型トラック車中
   運転席と助手席の間に鳩中友子(19)
   が座り、助手席に友子の父、運転席に
   兄がそれぞれ座っている。
友子「ああ、そこ右に入って」

〇アパート前 
   小型トラックが走ってきて小奇麗でモ
   ダンな感じのアパートの前で止まり、
   中から友子、父、兄の三人が降りてく
   る。
父「なかなか良さそうじゃないか、大学の斡
 旋にしちゃあ」
友子「まあね。ルームメイトとのシェアだか
 ら家賃も安くすむし」
   友子と兄、トラックからダンボール箱
   を降ろし始める。
兄「重いな、これ」
友子「本だからね、中身。...ちょっとお
 父さんも手伝ってよ」
父「おぉ」
   父、友子からダンボール箱を受けとる。
   友子、トラック前部の座席に行き、大
   きなバッグを二つ取り出し、ドアを閉
   める。
   三人ともアパートの中に入っていく。

〇アパート・301号室
   友子、鍵を開け、部屋の中に入ってく
   る。父と兄が続く。
   間取りは2DKで、居間とキッチン及
   び玄関は一続きになっていて、家具等
   は置かれていない。二つの部屋へは居
   間から入れるようになっている。
   友子達、居間に荷物を降ろす。
父「2DKか」
友子「結構、広いでしょ」
兄「おい、まだ荷物、うんざりするほどある
 ぞ」
友子「兄さん、お願いね」
兄「まったく、もう」
   居間に面した二つの部屋の内の一つの
   ドアが開く。
   友子達、一斉にその部屋の方を見る。
   友子のルームメイトとなる、おとなし
   そうな感じの女−木村由紀江(18)、
   キョトンと三人を見つめている。pfl1.jpg (8838 バイト)
友子「あっ、えっと木村さん...?」
由紀江「...はい」
友子「どうもはじめまして。私、鳩中友
 子です。これからいろいろお世話に
 なります。よろしく」
由紀江「...木村由紀江です。よろし
 くお願いします」
友子「(笑顔で)あ、父と兄です」
兄「どうも...」
父「友子の父です。娘がお世話になり
 ます」
   由紀江、ペコリと頭を下げる。
友子「ハイ、お父さん達は荷物お願い」
兄「父さん、行くよ」
父「おう」
   友子の父と兄、愛想笑いを浮かべ、部
   屋を出ていく。
   友子、ダンボール箱を一つ持ち上げ、
   由紀江が出てきたのとは別の部屋に運
   ぼうとする。
   その友子の左横顔をジッと見つめる由
   紀江。
   由紀江の視線に気付く友子。
友子「何か?」
由紀江「いえ、別に」
   友子、自分の部屋となる部屋に入って
   いく。
   友子の横顔を目で追う由紀江。

〇同 (夜)
   ダンボール等で雑然とした居間の中央
   にテーブルと、椅子が二つ置かれ、友
   子と由紀江が座っている。
   二人、コンビニの弁当を食べ終わる。
   友子の顔を見つめている由紀江。
   由紀江の視線を意識する友子。
友子「...えーっと、富士美の新入生なん
 だよね」
由紀江「うん」
友子「専攻は?」
由紀江「デッサン」
友子「へぇ。私は油絵なの」
由紀江「二年生なんですよね」
友子「うん。去年は実家から通ってたんだけ
 ど、ちょっと遠いし、家から出てみたかっ
 たのよ」
由紀江「(友子の顔を眺め)...」
友子「...あのさ、私の顔、何かついてる?」
由紀江「お母さんに似てる...」    
友子「由紀江さんの?面白いもんね。自分の
 母親には全然似てないのに」
由紀江「...」
   会話中ずっと友子の顔を眺めている由
   紀江。
友子「...由紀江さんはお母さん似?」
由紀江「あまり...。お母さん、私が8歳
 の時死んじゃったんだ」
友子「あ...。ごめんなさい」
由紀江「ううん。何かお母さんが目の前にい
 るみたい...」
   由紀江の視線。
   居心地の悪そうな表情の友子。
友子「...さて、片さないと」
   友子、立ち上がり、二人の弁当のゴミ
   をゴミ袋に捨てに行く。
由紀江「特に横顔が似てる」
   弁当を捨て、いっぱいになったゴミ袋
   を縛る友子。困ったようにチラチラと
   由紀江の方に目をやる。
   くいいる様に友子の横顔を見つめる由
   紀江。

〇富士美術大学・正門前 
   表札「富士美術大学」
   たくさんの学生達が正門の辺りを行き
   来している。

〇同・美術室
   数人の男女生徒がイーゼルの前に座り、
   彫刻のデッサン画を描いている。
   由紀江、その中でスケッチブックに友
   子に似た女性の左横顔を描いている。
   由紀江の隣に座っている男−苗場利博
   (18)、由紀江の絵を覗き込む。
   由紀江、苗場の視線に気付き、苗場を
   見る。
   苗場、慌てて自分の絵に戻る。
   由紀江、いぶかしげに苗場を見、再び
   自分のデッサン画に戻る。

〇同・広場
   晴天の下、友子と、親友のボーイッシ
   ュな女−小田 香(19)、芝生の上
   に座り、くつろいでいる。二人の脇に
   は画材道具。
香「はぁ、つまんねぇの。早く夏休みになん
 ないかなぁ」
友子「まだ学校始まったばっかじゃない」
香「そりゃ、そうなんだけどさ」
友子「上原君とだって毎日会えるでしょ」
香「まあねぇ。あいつ、バイトばっかだった
 もんね、この間まで」
友子「どう?うまくいってるの?彼とは」
香「まあまあってとこかな。週末なんかは結
 構会ってんだけど」
友子「いいじゃない。ちょくちょく会ってる
 んだから」
香「贅沢なのかな、あたし」
友子「そうよ。バチあたるわよ、そんな事言
 ってると」
香「そりゃそうと、どう?ルームメイトは」
友子「ああ、良さそうな子よ。でもね...」
香「どうしたの?」
友子「うーん、何かね。あの子、私の事ジー
 ッと見つめんのよ」
香「友子の顔が変だからじゃない?」
友子「私は真面目に話してるの!」
香「ヘヘッ。ゴメンゴメン」
友子「私がその子のお母さんに似てるらしい
 んだけどね」
香「ひょっとしてマザコン?」
友子「っていうか、その子のお母さん死んじ
 ゃっててさ。可哀想っていえば可哀想よね」
香「フーン。結構その子、友子に気があった
 りして」
友子「やめてよ、気持ち悪い」
香「なら早く彼氏ゲットしなよ」
友子「そうねぇ。私もそうは思ってるんだけ
 ど、ゲットしたくてもなかなかそういう出
 会いがなくって」
香「彼女はもう出来そうだけど」
友子「やめてって言ったでしょ!」
   友子、香に組みつき、押し倒す。二人、
   キャッキャと声を上げながらジャレ合
   う。

次回につづく


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