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〇アパート・由紀江の自室 (夕)
   小奇麗に整頓され、カーテンは閉めき 
   られている。
   由紀江、部屋の中央に座り、イーゼル 
   の上のスケッチブックに横顔の絵の続 
   きを描いている。
   デッサン画、ますます友子に似てきて 
   いる。
   由紀江の背後のドアが開き、友子がそ 
   こから顔を出す。
友子「何してるの?」
   由紀江、驚き、スケッチブックをたた 
   んで胸に抱え込む。
友子「絵、描いてたんだ」
由紀江「...うん」
友子「もう7時だし、そろそろご飯食べよう」
由紀江「...わかった」
   友子、ドアを閉める。
   由紀江、スケッチブックを閉じたまま 
   イーゼルに戻し、部屋を出ていく。

〇同・キッチン (夜)
   皿を洗う友子。
   友子の左横で食器を拭く由紀江、友子 
   を横目で見ている。
   照れくさそうに由紀江を横目で見る友 
   子。
友子「なぁに?」
由紀江「ピアス、きれいね」
友子「そう?」
沈黙。食器のぶつかりあう音。
由紀江「だぁ!」
   由紀江、突然友子に抱きつく。
友子「な、何」
由紀江「ウフフフ」
   ジャレつく由紀江、そのまま離れ、笑 
   いながら自室へと去る。
   唖然とした表情で由紀江を見送る友子。
〇富士美大・カフェテリア 
   モダンな感じのセルフサービス式食堂。
   たくさんの学生達が席をうめつくし、 
   食事をしている。
   友子と香、香のボーイフレンド−上原 
   治(20)、上原の男友達−志村 清  
   (20)の四人、食後の会話を楽しんで 
   いる。
上原「(笑いながら)ったく冗談じゃねぇっつん
 だよ。大体テメエの描いてるモンのどこが芸術
 なんだよなぁ」
香「ホント、サイテーだよねー、あの先生。課題
 は多いし評価もわけわかんないしぃ。(教授
 の言い方を真似て)君達にはポリシーとい
 うものがないのか、だって」
上原「ま、確かにアイツにゃ、ポリシーあるけど
 な。エログロだけど」
   一同笑う。
友子「でも私には結構良くしてくれるけどな、
 あの先生」
香「友子に色目使ってんだよ。いいトシこいてや
 らしぃ!」
友子「やめてよ、気持ち悪い」
香「そういや、友子に色目使ってんのは他に 
 もいたっけ」
友子「ちょっと香、いいかげんにしてよ」
香「おっと口がすべった。ゴメンゴメン」
上原「何、ねぇ何それ?聞かせろよ、おい」
友子「何でもないわよ」
香「そ。あたし達二人だけの秘密だもんねー」 
  由紀江、カフェテリアに入ってくる。   
  由紀江に気付かず、話している友子。
由紀江「友子さーん!」
   友子達、一斉に由紀江の方を向く。
   由紀江、四人のテーブルの所まで来て、
   友子の隣に座る。
友子「由紀江さん...。どう?ここには慣れ
 た?」
由紀江「うん。授業も面白いし、友子さんにもこ
 うして会えるし」
   由紀江、友子に寄り添うようにして座 
   っている。
   由紀江を観察する香。
友子「あ、みんなに紹介しなきゃ。あの、この子
 が私のルームメイトの木村由紀江さん」
上原「どーも。俺、上原です。ヨロシク」
香「あたし小田 香。カオリって呼んでね」
志村「あ、俺、志村といいます。どうぞよろし
 く」
   由紀江、三人の自己紹介を笑顔で聞く。
由紀江「よろしくお願いします」
友子「あ、志村さんっていうんだ。私、名前知ら
 なかった」
上原「あ、そうだよな。まだ俺こいつの事友子に
 紹介してなかったんだ」
志村「いまさら遅いよ。(友子に)よろしく」
友子「こちらこそ」
   由紀江、友子と志村を交互に見る。
香「そうだ。ね、今度の日曜さ、みんなでどっか
 遊び行こうよ」
上原「おお、いいね。新顔も増えた事だしな。 
 遊園地なんてどお?」
友子「私はいいわよ。テーマパークなんて久しく
 行ってないし」
香「ジョイポリス行ってみたいなあ、あたし。 
 誰かさんは連れてってくれないし」     
   知らん顔をする上原。
上原「(志村に)な、行こうぜ。いいだろ?」
志村「俺は別に構わないけど」
友子「由紀江さん、どうする?」
由紀江「友子さんが行くなら私も行く」
香「モテるね、友子」
   友子、声に出さずに香を咎める。
上原「決まりだな。じゃ今週の日曜日っつう事
 で」
香「OK。あ、もう講義始まる時間だ」
友子「あ、本当だ。早く行かなきゃ」
上原「まあ諸君、慌てない。ちょっとくらい遅刻
 したって大丈夫だって」
香「そりゃ、あんただけだって」
由紀江「じゃ、私失礼します」
上原「おう、日曜日な」
   由紀江、そそくさと席を立ち、カフェ  
   テリアを出ていく。
   残りの四人、席を立ち、出口目指して pfl2.jpg (11328 バイト)
   歩き出す。
香「ねぇ、友子」
友子「うん?」
香「(耳打ち)あの子さ。レズだよ、きっと」
友子「ええ!」
   友子、立ち止まる。
香「気をつけないと貞操奪われちゃうよ。じゃ
 っ」
   香、上原を追いかけて行く。
   困った表情の友子。

 

次回につづく


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