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〇富士美大近く・遊歩道(夜)
   由紀江、画材を持ち、一人歩いている。
香の声「由紀江ちゃーん!」
   振り向く由紀江。
   香、かけってくる。
香「久しぶり。元気?」
由紀江「はあ」
香「どしたの?うかない顔して」
由紀江「...別に」
香「さてはフラれたなァ」
由紀江「...」
香「...冗談だよ冗談。実はあたしこれか
 ら友子んとこ行くんだ」
由紀江「ウチに?」
香「うん。今日はね、お詫びにご飯作ってあ
 げようと思って」
由紀江「お詫び?」
香「友子、ほっぺたんとこケガしてるでしょ。
 アレ、あたしがやっちゃってさぁ。もうあ
 ん時はびっくりして頭真っ白んなっちゃっ
 たよ」
   香を睨む由紀江。
由紀江「あなただったんだ...」
香「そうなの。でもホント軽くてよかったぁ。
 ...(由紀江の形相に気付き)どうした
 の?」
   二人、立ち止まる。
由紀江「あなたがやったんだ」
   香に迫る由紀江。
香「え...何...?」香の恐怖
由紀江「あんなヒドイ事して...」
   鬼のような形相の由紀江。

〇喫茶店 (夜)
   友子と苗場、窓側の席で向かい合って
   座り、コーヒーを飲んでいる。
苗場「きのう、彼女とデートしたんですよ」
友子「デート?へぇ、全然知らなかった」
苗場「ええ。で、ちょっとその後が気になっ
 て」
友子「何かあったんですか?」
苗場「えーと...まあ。ちょっと怒らせち
 ゃったんですよ」
友子「どうして?」
苗場「えっ?いやぁ...その。彼女の気に
 さわる事しちゃって...」
友子「はぁ」
苗場「で、どうでした?何か俺の事言ってま
 した?」
友子「いえ。...ちょっとそういう雰囲気
 じゃないんですよね、今は...。私も彼
 女とはちょっとトラブッてるもんで」
苗場「ケンカしちゃったんですか?」
友子「うーん、っていうかちょっと気になる
 事があったんで、私あの子のおじさんの所
 に行ってきたんですよ。それがあの子にわ
 かっちゃって...。怒っちゃったんです
 由紀江。それがきのうの事だったんでちょ
 っとデートの事はわかんないな」
苗場「そうスか。...俺ちょっと早まっちゃ
 ったからなァ」
友子「ああ。なるほどね」
苗場「わかります?」
友子「なんとなく」
   ため息をつく苗場。
友子「...私も早まったかもねぇ」
苗場「ハァ...」
友子「苗場さん、 でしたよね」
苗場「はい」
友子「これからはお互い連絡取り合いましょ
 う。二人で協力しあえばなんとかなるかも
 しれない。私もこのままアパート出るって
 わけにもいなかいし」
苗場「そうですね。このままじゃ俺も落ち着
 かないし」
友子「私、今夜あの子とよく話し合ってみる。
 その上で、聞けたら苗場さんの事も聞いて
 みる」
苗場「お願いします」
友子「明日の夜9時頃に電話くれますか?」
苗場「わかりました」
友子「今何時だろ。(時計を見)えっもう7
 時半?やばい、早く帰んないと」
苗場「じゃ、出ましょう」
   二人、立ち上がる。

〇アパート近く・路上 (夜)
   友子、道を歩いてくる。
   パトカー、サイレンを鳴らしながら友
   子の前方から来て、通り過ぎて行く。
   友子、立ち止まってパトカーを目で追
   い、再び歩き出す。

 

次回につづく


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