○四階・タケルの部屋・居間 (夜)
   静かにドアが開き、タケルがソロリと
   入ってくる。

○同・寝室 (夜)
   タケル、居間から入ってきて、トボト
   ボとベッドの側まで歩いてくる。
タケル「(日)ふざけやがってぇ!」
   と、叫び、ベッドの足を思いっきり蹴
   り、その直後あまりの痛さに飛び上が
   る。
タケル「くっそ〜」
   悔しそうな表情のまま机に向き直り、
   座る。
   論文を見つめ、ペンを取る。
   そのまま何やら書き始めるが、すぐに
   手は止まり、頭を抱え出す。
   大きなため息をついて立ち上がり、ベ
   ッドに大の字に倒れ込むタケル。

○七階・ロブの部屋・居間 (夜)
   部屋は音楽に乗って踊る者、ひたすら
   コカインを吸引する者などでごった返
   している。
   ヨーコ、コカインを試し、ほどよくラ
   リッている。
   気持ちよさそうなため息をつき、辺り
   を見回す。
ヨーコ「(日)あれぇ?」
   と、言い、そのまま歩き出す。
ヨーコ「(日)たけるぅ?」
   まわりを見回しながら奥の部屋へと向
   かう。
   奥の部屋のドアが開き、クリスティン
   がズカズカと出てくる。
   ヨーコ、クリスティンに気づき、近づ
   いていく。
ヨーコ「あのー、タケル見ませんでした?」
   それまで憤然としていたクリスティン、
   少し驚き、ヨーコをまじまじと見る。
クリスティン「あー、たぶん自分の部屋に戻
 ったと思うけど?」
ヨーコ「そうなんだ。あのヤロー。あ、どう
 もありがとう」
   奥の部屋からロブが出てくる。
   クリスティン、ロブに気づき、再びム
   ッとした表情に戻る。
ロブ「おっ、君は確か」
   ヨーコに気づくロブ。
ヨーコ「あ、どうも。ヨーコです。タケルと
 一緒だった」
ロブ「あ、そうそう。ヨーコっていうのか」
   と言いながらクリスティンを一瞥する。
ロブ「俺、ロブってんだ。よろしく」
ヨーコ「こちらこそ」
   ヨーコとロブ、握手する。
ロブ「あっちの部屋で盛り上がってんだけど
 ヨーコも来ないか?」
ヨーコ「本当?喜んで」
   嬉しそうに微笑むヨーコ。
クリスティン「ロブ、私帰るから」
   と言い捨て、出ていこうとする。
ロブ「待てよ、おい」
   ロブ、クリスティンを追いかけようと
   する。
   クリスティン、ロブを無視し、部屋か
   ら出ていってしまう。

○八階・ジェフの部屋前 (夜)
   腕時計を見るボビー。
ボビー「もう始まってる頃だ」
サム「にしちゃあ、静かだな」
ジェイ「ごたごた言ってねぇで踏み込もうぜ
 」
   ボビーら三人、一斉に銃を構え、ドア
   の両脇に隠れる。
   他の二人にうなずくボビー。
          
○四階・タケルの部屋・寝室 (夜)
   憤然とした表情でベッドに横たわり、
   天井を眺めているタケル。
   ハッとなり、起きあがる。
タケル「(日)ヨーコ」
   タケル、ベッドから下り、居間に向か
   おうとしたところで突然明かりが消え
   る。
   驚くタケル。

○同・裏階段ホール (夜)
   裏階段の五階ホールに下りたところで
   停電にあったクリスティン、不安げに
   辺りを見回す。

○七階・ロブの部屋・居間 (夜)
   暗闇の中、客達がまごついている。
   その中にジェフらがいる。
ジェフ「(中)どうしたってんだ、一体?」
チャン「(中)わからねぇ。停電か?」
リー「(中)そういや、今日は十二時からしば
 らくの間停電だって、どっかに書いてあっ
 たぜ確か」
ジョー「(中)おう、俺も見たぜ。アパート入
 口の掲示板だったと思うけどよ。メンテだ
 って書いてあったぜ。明け方近くまで続く
 んじゃねぇの?」
ジェフ「(中)何てこった。住んでる本人が知
 らないとはね」
   自嘲気味に笑うジェフ。
   ロブが困惑した表情で近づいてくる。
ロブ「ジェフ」
ジェフ「何だ?」
ロブ「どうしよう?停電だ」
ジェフ「外に場所を変えるしかねぇな」
ロブ「OK。でもその前にクリスティンを探
 さなきゃならないんだ」
ジェフ「何だと?」
ロブ「いなくなっちまったんだよ」
ジェフ「ほっとけよ。女なんか」
ロブ「でも」
   ヨーコが近づいてくる。
ヨーコ「ロブ、どうすんの、これから?」
ロブ「え、ああ、ちょっと待っててくれ。そ
 れどころじゃないんだ」
ジェフ「何だよ、代わりがいるじゃねぇか」
   ロブ、あらためてヨーコを見る。
   訳が分からず呆然としているヨーコ。
ロブ「まぁ、そうなんだが」
ジェフ「決まりだな。おまえは客に場所替え
 を知らせろよ」
   と言い、チャン、ジョー、リーととも
   にテーブルに出されたマリファナの試
   供品の整理にかかる。
   ロブ、ジェフが離れていくのを確認し、
   そばにあったマリファナの箱の中から
   一掴みを失敬する。

○八階・ジェフの部屋・居間 (夜)
   ボビーとサム、ジェイ、家捜ししてい
   る。
ボビー「パーティーじゃなかったのか?」
サム「ひょっとしたら別の部屋かも」
   ボビー、立ち止まる。
ボビー「くそ。引き上げだ」
   ボビーら、部屋を出ていく。

○四階・エレベーターホール (夜)
   懐中電灯の明かりに照らし出されたエ
   レベーターの呼び出しボタンを押すタ
   ケルの指。
   ボタンは光らない。
タケル「(日・独り言)そうか。停電だった」
タケル、廊下の方に引き返す。

○同・廊下 (夜)
   自分の部屋に向かって手探りで歩いて
   いるクリスティン、前方の明かりに気
   づき、凝視する。
   その先では、懐中電灯の明かりに照ら
   されたタケルが自分の部屋の鍵を開け
   ようとしている。
クリスティン「タケル!」
   驚き、クリスティンの方を向くタケル。
タケル「クリスティン!」
   タケルとクリスティン、互いにに駆け
   寄る。
タケル「パーティーは終わったのかい?」
クリスティン「ううん。抜け出してきたの。
 さっきはゴメンね。最近、何か変なのよ、
 ロブ」
タケル「ああ、気にしてないよ。言葉がまず
 いのは事実だし」
クリスティン「そんな事ないわ。色んな留学
 生知ってるけど、あなたの英語が一番自然
 よ」
タケル「ありがとう」
   会話がなくなり、見つめ合うタケルと
   クリスティン。
クリスティン「突然明かりが消えるからびっ
 くりしちゃった。私、階段下りてたから、
 結構怖かったわ」
タケル「でも、何で今頃の時間に停電になる
 んだろ?」
クリスティン「ねぇ、原因を調べてみない?」
タケル「どうやって?」
クリスティン「地下に配電盤があるでしょ?
 見に行ってみるの」
タケル「なるほど。面白そうだね」
クリスティン「じゃ、早速行ってみましょ」
   クリスティン、タケルを促し、彼の背
   中に密着する。
   タケルとクリスティン、クリスティン
   が来た階段の方に歩き出す。


次回につづく


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