○七階・ロブの部屋・居間 (夜)
   暗闇のパーティー会場。
   銃撃戦から逃げてきた客達が部屋の隅
   で怯えている。
   ドアの両脇をジェフ、ジョーとチャン、
   リーが固めている。
   ロブ、ジョーの後ろで怯えている。
   誰かがドアをノックする。
   ジェフに緊張が走る。
   恐る恐るピープホールから外を覗くチ
   ャン。
   ピープホールの先にいるのはヨーコで
   ある。
チャン「女だ」
   ロブが反応する。
ロブ「どの?」
チャン「日本人の方だよ」
ロブ「あ、ああ。あの」
   多少落胆するロブ。
ヨーコの声「誰かいませんかぁ?(日)やっぱ
 どっか行っちゃったんだ…」
   ドアの向こうからヨーコの独り言が聞
   こえてくる。
ジェフ「(中)開けてやんな」
   チャン、頷いてドアを開ける。
   ヨーコ、少し驚いた表情でチャンを見、
   恐る恐る入ってくる。
   チャン、再びドアを閉める。
   ロブ、大げさにヨーコを歓迎する。
ロブ「よぉ、戻ってきたのかい?」
ヨーコ「うん」
ロブ「どこ行ってたんだよ?寂しかったぜ」
ヨーコ「ちょっとタケルを探しに」
ロブ「見つかったのか?」
   不機嫌になり、ロブを見るヨーコ。
ヨーコ「クリスティンと一緒だった」
ロブ「何?」   
   ロブの表情がこわばる。
ヨーコ「四階で手握ってイチャついてた」
ロブ「…」
   険しい表情のまま黙り込むロブ。
   チャンらと何やら話していたジェフ、
   ロブの肩をたたく。
ジェフ「おい、俺の部屋で続きを始めねぇか。
 これだけ待って来ねぇって事はもう追って
 はこねぇって事だよ」
   ロブ、ジェフを見るが言葉はない。
ジェフ「何だよ、どうした?」
ロブ「クリスティンを連れ戻す」
ジェフ「何?」
   ロブ、ジェフを無視し、出ていこうと
   する。
ジェフ「おい、待てよ!」
   追いすがるジェフを振りほどき、ロブ
   は部屋を出ていってしまう。

○四階・クリスティンの部屋・居間 (夜)
   タケルとクリスティン、激しく抱き合
   う。
   クリスティンが喘ぎ、タケルがその首
   筋に舌を這わせる。
   タケル、更に自分のズボンを片手で半
   分下ろす。
   クリスティン、タケルから離れようと
   する。
   タケル、クリスティンを引き寄せ、覆
   い被さるようにキスをする。
クリスティン「だめ…」
   タケル、クリスティンの言葉を完全に
   無視し、彼女の股を広げ、自分の腰を
   ねじ入れようとする。
クリスティン「やめて、私達友達なのよ」
   必死で抵抗しだすクリスティン。
   タケル、かまわずクリスティンのパン
   ティーを剥ぎ取ろうとする。
   喘ぐしかないクリスティン。
   突然ドアが開く音がする。
   タケルとクリスティン、一斉にドアの
   方を見、驚く。
   ロブ、憤怒の形相で部屋に入ってきて
   タケルを殴り飛ばす。
タケル「ぎゃっ」
   タケル、一メートルほど飛び、床にカ
   エルのようにベチャッと倒れる。
ロブ「このヤロー!俺の女に手ぇ出しやがっ
 て!」
   ロブ、罵声を浴びせながら、更にタケ
   ルを無茶苦茶に蹴飛ばす。
   タケル、泣きながら縮こまる。
タケル「やめてくれ、悪かったよォ!」
   ロブ、そのタケルの顔面を何度も蹴る。
   タケルの顔面が血に染まる。
   クリスティン、後ろからロブを止めよ
   うとする。
クリスティン「ロブ!やめて、お願い!」
   ロブ、クリスティンを突き飛ばし、タ
   ケルの髪をつかんでその顔面を机に何
   度もたたきつける。
   もはやタケルは抵抗する様子もなく、
   なすがままである。
ロブ「イエローモンキーめ!殺してやる!」
   クリスティン、尚もロブの背中につか
   みかかり、止めようとする。
クリスティン「ロブ!やめて、死んじゃうじ
 ゃない!」
   ロブ、クリスティンに羽交い締めにさ
   れ、引き離される。
   ぐったりとしているタケル。
ロブ「そんなにこの日本人がいいのか!?」
クリスティン「もういや!たくさんよ!」
   と言い捨て、クリスティンは部屋を飛
   び出す。

○四階・廊下 (夜)
   ドアを開け、クリスティンが泣きなが
   ら出てくる。
   その直後にロブが続き、クリスティン
   の肩を掴む。
ロブ「待てよ」
クリスティン「放して!」
   ロブの手を振りほどくクリスティン。
   ロブ、その彼女を後ろから包み込むよ
   うにして抱きしめる。
ロブ「愛してるんだ。誰にもおまえを渡した
 くないんだよ」
   クリスティン、涙に濡れた目でロブを
   見つめる。
クリスティン「なら私の気持ちもわかってよ。
 私はまともな暮らしがしたいの」
ロブ「クリスティン…」
クリスティン「でも今のあなたは滅茶苦茶よ。
 あなたとの将来なんか考えられないわ」
ロブ「アイツと一緒になろうってのか?」
クリスティン「違う。違うわよ。あれはただ
 雰囲気にながされてて…確かにタケル
  はいい人だけど、でもあなたと一緒には考
 えられないわ」
ロブ「クリスティン、聞いてくれ」
   ロブを見つめるクリスティン。
ロブ「ここを出よう」
クリスティン「ここを?」
ロブ「そうだ。この街を出て、どっか遠くで
 二人で暮らそう。な」
   クリスティン、驚く。
   真剣な眼差しでクリスティンを見つめ
   るロブ。
   感動と不安が入りまじった表情のクリ
   スティン。
ロブ「行こう」
   ロブ、呆然と立つクリスティンの手を
   取り、裏階段の方へと向かう。

○同・裏階段・ホール (夜)
   ドアが開き、ロブとクリスティンが駆
   け込むように入ってくる。
クリスティン「待って、ロブ」
   クリスティン、立ち止まる。
ロブ「どうした?」
クリスティン「本気なの?」
   ロブ、ため息をつき、壁に寄りかかる。
ロブ「ああ、もちろんだとも。見ろよ」
   と言って、ポケットやシャツ、ズボン
   の中から大量のマリファナを取り出す。
ロブ「こいつをさばいて金を稼ぐんだ。大し
 た量じゃないが、それなりに稼げるぜ」
   大きなため息をついて頭を押さえるク
   リスティン。
クリスティン「やっぱりそういう事なのね。
 悲しくなってきたわ」
ロブ「何でだよ」
クリスティン「真面目に働こうとか、考えら
 れないの?そんなの売ったって一生暮らせ
 るだけのお金になると思う?」
ロブ「そん時はまたどっかで手に入れて 」
クリスティン「そんな事繰り返すの?冗談じ
 ゃないわ!」
   怒り心頭に達し、泣き出すクリスティ
   ン。
ロブ「泣かないでくれよハニー。わかったよ。
 これ売ったらさ、そしたらちゃんと働くか
 ら。な?」
クリスティン「こんなのイヤなの!それ、ジ
 ェフから盗んできたんでしょ。お願い、返
 してきて」
ロブ「だめだ!今更返せるかよ」
チャンの声「女の言うとおりにした方がいい
 ぜ」
   クリスティンとロブ、突然の頭上から
   の声に驚き、振り向く。
   チャンとリー、銃を片手に上の階から
   下りてくる。
ロブ「おまえら」
チャン「ネコババはいけねぇなァ」
   チャン、ロブの腹に銃を突きつける。
   リー、クリスティンの後ろにまわり、
   銃で脅す。
ロブ「聞いてくれ。ネコババしようとしたわ
 けじゃないんだ」
リー「じゃぁ、何だって言うんだ?」
ロブ「俺にもさばかせて欲しかったんだよ。
 で、売り上げの五割、いや六割をあんたら
 に納めようと思って」
チャン「言い訳は後だ」
   チャンとリー、銃でクリスティンとロ
   ブを脅しながら、階段を上に上がって
   いく。

 

次回につづく


top.gif (1200 バイト)