海外移住情報


世界と日本の社会動態
〜国防・紛争・宗教〜




軍事費


世界一の予算を誇るのがアメリカの軍事費、突出した額の大きさとなっている。また長年2ケタの伸び
率を実現している中国。米国とロシアの冷戦を終えた現在では、世界共通の軍事的脅威は中国とい
われている。また、軍事費のGDP比世界平均は3.5%。日本の予算編成ではGDP比1%の軍事費が目
安なり、比率では世界平均を下回り軍事国としてのイメージが低いものの、予算では世界を代表する
軍事大国のひとつとなっている。尚、世界の警察を公言するアメリカの軍事展開は、裏を返せばアメリ
カによる世界支配となることから、反発を隠せない国も多い。このために超大国・米国へのテロも活発
化してきている。
■兵力
世界一の軍事予算を持つアメリカの兵力は海軍・空軍に比べて陸軍兵士の数が少ないのが特徴。
これは陸上戦による死傷者数を出さないという米国内世論に配慮した方針によるもの。
一方で兵力が最も多いのが中国。日本の陸軍兵力は14万人。最も多い中国は日本の約10倍以上、
国土の広いロシアやアメリカの2倍以上。海軍兵力の世界第1位はアメリカ、2位中国。空軍兵力では
中国とアメリカがほぼ同じとなっている。



核兵器


世界の安定は核兵器の配備によって大きく影響するのが現在の姿。戦略核弾頭の総数は約18000。
ロシアとアメリカの両国だけで93%を占め、次いで中国が多く保有している。核兵器の二大勢力である
米国とロシアでは核兵器削減条約によって段階的な削減を実施。核核拡散防止条約(NPT)によって、
核保有は制限化されているが、核の制限は核を持つ国の一方的な論理とも呼ばれている。
また、テロ支援国として米国と対立してきたリビアは核開発を断念。核を保有していた南アフリカは核
を廃棄。一方、パキスタン・インド・北朝鮮の核実験に刺激された反米国家のイランやベネズエラの核
保有動向などが注目されている。日本では非核三原則があるために核保有論議がタブーとされてきた
が、2006年の北朝鮮の核実験によって核保有論議を行う政治家も出現。日本は既に核兵器を作れる
技術を保持している。尚、米国による核実験の保障金で成り立っている太平洋の小さな島々もある。
■核保有、核開発を行う10ケ国
※核拡散防止条約(NPT)の核保有国定義は、核兵器などの核爆発装置を製造し、爆発させた国。
※核兵器の種類は長射程ミサイルへの搭載が容易なプルトニウム小型弾頭、ウラン型など。
◆米国、ロシア、英国、フランス、中国
五大核保有国。いずれも国連安全保障理事会の常任理事国。
◆インド、パキスタン
対立する2ケ国。インドは98年5月11日に3回、13日に2回、計5回の核実験を実施。対抗するパキスタ
ンは98年5月28日に5回、30日に1回、計6回の核実験を実施。
◆イスラエル
公式には認めていないものの核を保有。
◆北朝鮮
2006年核実験実施。北朝鮮の核開発にはパキスタンの技術が使用されている可能性が濃厚。
◆イラン
2002年に核開発疑惑が発覚。国連の警告活動が行われているものの、2009年には、北朝鮮の支援
を受けた核実験の可能性が浮上。



武器売買


世界の武器輸出総額は約240億ドル(2009年)。第1位アメリカと2位ロシアの両国合わせて約6割を
占めているのが特徴。武器輸入総額も輸出と同額の約240億ドル。第1位は中国、2位の国は中国
の半数以下となっているのが特徴。
■日本の武器製造
日本では三菱重工業、石川島播磨重工業が自衛隊との契約によって武器を製造。但し日本は武器
輸出を規制していることから生産量は多くない環境。また米国からの技術供与ライセンス料が高い
ために製造コストは高くなっている。ちなみに警察官などが使用している「ニューナンブM60」はミネビ
ア(株)が製造する日本で開発された国産拳銃。



対外情報機関


■日本の対外情報機関

軍事部門では在外公館に防衛武官が駐在。また統合幕僚会議付属の防衛情報本部、陸海空・自衛
隊幕僚本部内に調査2部という情報部門、情報担当官養成の調査学校が設置され、電波傍受をはじ
めとした軍事情報収集にあたっている。一方、政府内には内閣情報調査室、内閣安全保障・危機管
理室などが設置されているが、情報機関と呼べるものではない。国防のための本格的な情報機関の
設置が必要という声は強いものの、アメリカからの情報提供に頼っているのが現実の姿となっている。
尚、公安調査庁は国内を管轄し、対外情報活動は行っていない。
※内閣情報調査室は国際部、マスコミ分析などを行う国内部、経済部、海外報道を担当する内閣情
報収集センターなどがあり、マスコミ分析業務の一部などは民間委託されている。

■主要国の対外情報機関
・アメリカ/中央情報局CIA ・カナダ/情報安全保障局CSIS  ・イギリス/秘密情報庁MI6
・ロシア/連邦保安庁FSB、軍事情報総局GRU、対外情報庁SVRなど ・イスラエル/情報庁モサド
・中国/国家安全局MSS ・韓国/情報院NIS ・北朝鮮/総政治局敵工部
・フランス/対外保安総局DGSE ・イタリア/情報軍事保安庁SISMI ・ドイツ/連邦情報局BND



難民


先進国で構成されるG7加盟国で最も難民を受け入れているのが米国で、受け入れ割合は約30%、
20%を超えるのがドイツ、カナダ。以外でも10%を超えているのに対して、日本の受け入れ割合は1%
にも満たず、年間の受入数は約30人ほど。日本は難民の受け入れには消極的で、非難を受けること
も多い。この背景には「外国籍の人間を極力受け入れたくない」という単一民族思想が根底にあるとい
われているが、一方では日本に難民申請する人も少ない。難民自体が「経済大国ではあっても日本
での生活を希望しない」という背景もあり、難民の目からは、日本が国際的な国として見られていない
事実を表している。

■国連難民高等弁務官事務所 UNHCR
同事務所は難民全般業務を行い、中でも難民の保護が最重要任務。年間予算は約10億ドル。世界
120ケ国277ケ所に事務所を設置し、職員数は約5,200人、内4,400人が現地事務所に勤務。協力契
約しているNGOなどは473団体となっている。緒方貞子氏は元高等弁務官、外務大臣候補にもなった。
また現在の高等弁務官はアントニオ・グテーレス。
■難民条約
難民は、「人種、宗教、国籍、政治的意見や特定の社会集団に属することを理由に、自国にいると迫
害を受ける十分な恐れがあるために他国に逃れた人々」と定義され、戦争や内戦を理由に自国から
逃れた人々も難民と認定される。現在140ケ国が難民条約に加わっている。しかし、多くの国では危
機の発生直後に難民の一時的な受け入れには同意をしても、難民のために毎年恒常的に定住枠を
設けている国は10ケ国前後にすぎない。
■国内難民
通常の難民は国際難民とよばれるのに対して、国内での難民は国内難民と呼ばれている。その数
は年々急増し、推定総数は2,500万人におよび、コロンビアでは推定70万人以上の国内難民がいる
とされている。コロンビアの場合は、農地改革を主体とした社会主義国家を目指す「FARC コロンビア
革命軍」や「民族解放軍ELN」の支配から逃れるための国内難民が急増。営利誘拐の被害者は年間
3000件以上、世界最大の麻薬シンジケートとしても知られている。



地雷


地雷は国連条約で使用が禁止されているものの、使用され続けているのが現実の世界。世界の紛
争地域の多くで地雷が埋設され、毎年1〜2万人が地雷の犠牲となっている。
世界の対人地雷総数は約1億2000万個。最も多いのが約2割を占めるエジプト。日本人に知られる
カンボジアの埋設数は約1割を占める1000万個。
地雷による深刻な被害のひとつが足を失うケース。歩行には義足が必要となるが、日本の義足製作
の技術力は世界的に定評があり、地雷被害国で活かされている。カンボジアなどで活動する日本の
ボランティア団体の中には、地雷撤去支援のほかに、義足の提供や高い製作技術の指導や普及など
にあたっている場合も多い。また地雷発見測定器は国連の委託を受けた日本の中小メーカーが開発
したことで知られている。尚、地雷撤去作業の多くは手作業で行われているとともに、費用もかかり、
撤去作業が進まない大きな理由にもなっている。



紛争と紛争処理


世界が変貌したのがソビエト連邦の解体。東西冷戦の終結によって、大国の影響力が薄れ、世界の
紛争は民族問題、宗教問題、独立問題といった地域紛争、国内紛争に移行。国際政治の都合や軍
事制圧によって国境線が引かれてきたという経緯も関係している。
一方、世界では多くの地域が属領として存在。自治領、自治区、直轄管理など、その形態や自治権
利の許容範囲はさまざま。独立を希望している地域もあれば、属領の継続を求めている地域もある。
アジアでは、チベットやウイグル自治区の中国からの独立問題、インドネシアのアチェ自治州、フィリ
ピンのイスラム地域、ミャンマーやスリランカの少数民族地域でも独立を求める紛争が続いている。
アチェ自治州の紛争では、日本がイニシアティブを取って和平協議を開いたが物別れの結果に終わ
った。

■日本の国際紛争
日本では、日米安保条約の庇護の下、平和ボケと称されるほどに紛争に深く関わることはなかった
が、米国に関わる紛争参加が懸念されるようになってきている。また、日本の紛争には、ロシアとの
北方四島領有問題、中国との尖閣列島領有問題や東シナ海・天然ガス問題、韓国との竹島領有問
題、北朝鮮による拉致問題などが存在している。
■PKOとPKF
PKOとは国連平和維持活動の略称。国連による停戦合意の成立後、非武装の軍事監視団などによ
る停戦や軍の撤退の監視をはじめ、選挙・文民警察・人権・難民帰還支援・復興開発など多くの分野
で活動。一方PKFは国連平和維持軍の略称。PKOの一環として、治安の維持回復など武装部隊が必
要とされる時に、各国から提供された軍隊を国連平和維持軍として派遣駐留。武器の使用は原則的
に自衛の場合のみに限定されている。日本では、1992年に国際平和協力法が成立し、自衛隊を含む
本格的な参加が可能となっている。



宗教


世界人口の過半数を占めるのがキリスト教とイスラム教。そして仏教を加えたものが三大世界宗教と
呼ばれ、広範囲な異なる地域で信仰されている。三大宗教のほかには、特定の国や民族で信仰され
ている民族宗教があり、イスラエルのユダヤ教、インドのヒンドゥ教、日本の神道などがこれにあたる。
また異なる宗教間ばかりか宗派の対立もあり、確かな人生のための指標であるはずの宗教はしばし
ば戦争にまで発展している。また、新興宗教の台頭も現代の特徴。世界の各地では新興宗教グルー
プによるコミュニティの形成や集団自殺などが起こり、日本でも、さまざまなグループによる商行為が
問題化している。尚、最古の歴史を誇るのはユダヤ教とバラモン教。キリスト教はユダヤ教から派生。
ヒンドゥ教はバラモン教から姿を変え、仏教とイスラム教は独立した誕生となっている。

■キリスト教
救世主イエスを信仰。世界でもっとも信仰者が多く、主に3つの宗派に分かれている。53%を占めるカ
トリックはローマ教皇を頂点とし、洗礼やミサなどの教会儀式を重視。聖職者は独身男性の神父と決
められ、基本的に堕胎を禁じている。17%を占めるプロテスタントは、儀式や伝統より聖書を中心にし
た内的信仰を重視。聖職者は妻帯者や女性を認め、牧師とよばれる。
東方正教会は12%を占め、ロシア正教、ギリシャ正教、ルーマニア正教などというように民族ごとに
独立した組織と活動を行うのが特徴で、古カトリック教会の伝統を重んじている。
■イスラム教
世界人口の約2割を占めるイスラム教は、アッラーを唯一の絶対神とし、コーランとよばれる聖典に忠
実な生活をおくることを信条としている。飲酒や豚肉を食べることを禁じ、一日5回、聖地メッカの方角
に向かって礼拝することでも知られているが、同じイスラム国家であっても国によって戒律の厳しさは
異なっている。二大宗派の一つであるスンニー派は預言者ムハンマド(マホメット)の模範(スンナ)を
信仰の中心とし、シーア派はムハンマドの後継者は従兄弟アリーとその子孫のみと主張する諸分派
の総称。また、イスラム世界の西欧化を否定したイスラム復興主義をイスラム原理主義と呼び、過激
派テロ組織の精神的支柱。コーランの教えを忠実に守るための戦いは「ジハード」(聖戦)と呼ばれる。
■仏教
インドで釈迦によって創始され、真理を悟った者を仏陀と呼ぶ。日本では釈迦を仏陀としているものの、
インドなどでは釈迦独りが仏陀と規定されているわけではない。また、仏陀に近づくことを目標とし誰
の心にも仏が存在することを信条としている。日本の仏教は二大宗派の1つである大乗仏教。出家者
に加えて信仰心のある大衆を救おうとしている。もう1つの上座部仏教は悟りを得るための厳しい修行
と出家を伴うのが特徴。またチベット仏教はラマ教とも呼ばれ、生きている仏陀・ダライラマを崇拝し、
チベットを中心に信仰されている。現代のダライラマ14世はチベットの中国領有によってインドに逃れ、
亡命政府を作っている。