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バリ島
労働査証のない日本人店主たち






インドネシアのバリ島は、日本人リピーターが多い定番観光地。石を投げれば日本人に当たるのではと思
うぐらいに、何処に行っても日本人に出会う。そんな日本人需要を見込んで、この島でレストランやみやげ
もの店を開く日本人もまた多い。
ただインドネシアは、開業したり住んで生活するための査証取得が厳しく、またやたらと複雑でややこしい
国。もちろん、会社を作ったりして居住のための査証を取得するエージェントもあったりするが、日本人を食
い物にしようとする業者も珍しくない。

そんなことが背景にもなって、観光査証で入出国を繰り返しながら、現地で商売を始める人がとても多い環
境。特に、4・5年前に現地通貨が暴落し、ルピアの価値が5分の1になってからは、その数はうなぎのぼり。
小さなお店であれば、100万円以内のお金で気楽に開業できてしまう。

一方、日本人の開業事情を知っているバリ島の警察官。
日本人のお店をひたすら廻っては、ワイロの徴収に忙しい。仲間内で情報を交換したり、せびったワイロを山
分けしたり、すっかり日常業務になっているらしい。

日本人に最も人気のあるウブドゥで日本料理店を経営するAさん。観光査証のままで開業している一人。
日本でデザイナーをしていただけあって、時代劇に出てきそうな個性的な店構え。
店内はいつも日本人旅行者で賑わっているものの、警察官が覗きにくると、途端に厨房や店の片隅に隠れ
たり、お客になりすましたりと大変。
「正規の査証をいずれ取得しようとは思っていますよ。でも2ヶ月毎に日本を往復する生活に不便は感じて
いません。会社を作ったり、査証を取るにも、かなりの金額のワイロが必要らしいですし、そんなお金払うの
もばかばかしいですよ」

観光客で賑わうレギャン通りには、バリ好きの若い女性が開いたカフェがあった。カウンターだけの小さなお
店ながら、エアコンもあって、日本の喫茶店といった感じだ。
「なんとなくこの街が気にいった矢先に、前の日本人オーナーから、このお店を譲りたいという話があったん
ですよ。日本の感覚ではそんなに高い値段ではなかったので、気楽に買いました。でも後で知ったのですが、
家賃は完全に日本人料金。隣にあるバリ人のお店の何倍もするんですよ。しかも営業許可を取っていなか
ったので、警察官にワイロを要求されるし、ストレスいっぱい。このお店を買ってくれる人がいれば、手放した
い気分です。きっと前のオーナーは、私が買って大喜びしているんじゃないですか・・・」

また、クタビーチには、バリ人に運営をまかせている日本人オーナーの飲食店があった。
「このお店のオーナーは日本人の女性。でも日本で会社員をしているから、年に数えるぐらいしかバリ島に
は来ないんだ。だから俺たちの自由さ。赤字の時はオーナーの責任。黒字になれば利益を皆で山分けする
から、オーナーの利益なんてないよ。日本人がお金だけ出して儲けようなんてとんでもない話さ」

こんな言葉に対して、バリ島で長く商売している日本人は言う。
「バリ島でビジネスをしようと思ったら、きちんと正規の許可を取ることと、バリ島に住んで、仕事場に必ずい
ること。島を離れてしまうと、どんなトラブルに見舞われるか分かりません。何故って、ここはバリ人の島で
すから。彼らにとって日本人は一時的な訪問者でしかないのです・・・」