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インドの避暑地
ダージリンのイメージと現実






ネパールに滞在している日本人パッカーの多くは、インドを目指して移動する。
ルートは二つ。気温40度も珍しくないバナラシ(ベナレス)と、有名な避暑地でもある紅茶の産地・ダ
ージリン。どちらに行こうか迷ったものの、暑さを回避してダージリンを選んだ。
しかし茶畑が広がるのどかな光景をイメージして選択したものの、現実とのギャップは大きかった。

ダージリンの麓に位置する国境地点まで、カトマンズからバスで約17時間。
空いていた後部座席に移り、横に寝転びながらウトウトしていると、突然バスのスタッフに起こされた。

「ここに荷物を置くから、元の席に戻ってくれないか?」
そう言われて、しぶしぶ狭い座席に戻ると、次々とダンボール箱が運ばれ、後部座席に詰まれていっ
た。何が入っているのか、はじめは分からなかったものの、バスが動き出すとすぐに判明した。後ろの
座席から「ピヨピヨ……」というヒヨコの大合唱が始まったのだ。

ヒヨコの声が気になって朝まで一睡もできないまま、バスは国境に到着。出国手続きと入国手続きを
済ませると、ダージリンまでの乗合ジープが待ち構えていた。乗り合わせたのは、若い日本人夫婦と
イギリス人夫婦。空席を三つ残したまま、運転手は不満げな表情で出発した。空いている席の料金も
分担して払えと言っていたが全員から拒否された。

不届きな"インド人魂?"が影響してか、乗合ジープは山の中腹で故障。今度は乗客全員から「金返せ」
の大合唱となった。助け舟を出したのは付近の集落に暮らしているネパール系の人たちだった。
車を押したり、油まみれになりながら修理を試みたり、「せっかくだから、今日は家に泊っていったら」と
声をかけてくれる人たちもいた。

爽やかな光景にぶち当たり、ダージリン滞在にも期待が盛り上がったものの、いざダージリンに着いて
みるとイメージは一変した。
のどかな茶畑イメージとは反対に、街は商店で活気があふれ、インド各地から集まってきたお金持ち
のインド人に占拠されていた。おまけにインド人の商魂にも負けないほどのチベット商人も溢れている。
そう、ここは世界的に有名な紅茶の産地であると共に、インドの富裕層に人気の一大避暑地でもあっ
たのだ。

お金持ちインド人の金使いは荒く、街のあちこちで札束を惜しげもなくバラ巻いていた。
またインド人は外国人とあまりコミュニケーションを取りたくないのか、笑顔をお互いに交わすこともな
く、ダージリン滞在は無味乾燥としたものとなった。
気を取り直して、乗合ジープで3時間、日本人に似た顔と風習を持つ人々が暮らすという”カリンポン”
へ行こうかと思いたったものの、同じような動機でカリンポンへ行ってきた日本人の「イマイチ」という
言葉に、またもやへこんでしまった・・・。