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ハンガリー
ブダペストのゲストハウス模様






ハンガリーのユースホステルは盗難が多いという噂がある。泥棒が旅行者になりすまして宿泊し、隙
を見ては荷物を持ち去るという手口らしい。そんなこともあって、貧乏旅行者の多くはゲストハウスをめ
ざす。

ゲストハウスといっても公認宿と非公認宿があって、日本人に有名な「マリアGH」とか、「テレサGH」
は非公認宿。料金にうるさい日本人パッカーが多いために、公認最低料金の2,000フォリント(1,000円)
の半額近くで宿泊できることもある。
ただ非公認宿だけに看板が出せない。いずれもマンションの一室にあるために、駅で客引きに遭遇し
ない限り、たどり着くのが難しいという難点があったりもする。このため非公認宿のオーナーたちは、毎
日何回も鉄道駅に通って客引きに励んでいる。

そんな中、「バリハウス」というゲストハウスが最近名を上げてきた。
バリハウスは公認宿なものの、住宅街のマンションの一室というロケーション。じっと待っていてもお客
の確保など期待できない。オーナーのバリさんが毎日駅に出かけ、東洋人を見ると声をかけまくるため
に、ゲストハウスは韓国人と日本人、まれに中国人のチャンポン状態。そして、トレードマークの黄色い
服装と個性的なキャラクターのバリさんは、いつのまにか東洋人に有名になっていった。

ところでゲストハウスの収支は気になるところ。バリハウスの場合は4DKの内、3部屋をゲストに開放。
1部屋は2段ベットが並んだ男性用ドミトリー。残りの2部屋はツインルーム。女性のドミトリー用として
使われたり、個室希望者のために使われている。平均して毎日5人の宿泊があるから、一人1,200円と
して毎日6,000円の売上。月にすると18万円。マンションは500万円で買ったらしいので、単純に計算す
ると約2年半で元が取れてしまう。ハンガリー人の平均的月収に比べ2倍の収入だ。

「バリさんの部屋のすごいシアターテレビ見た? 儲かっているよね、ゲストハウスってそんなにいい商
売だったとは。毎日駅で客引きするのも苦にならないよね・・・」
ゲストたちの話題はいつもテレビに集中する。日本でもこんなに大きいシアターテレビを持っている人は
少ないからだ。ゲストの中にはストレートにバリさんに質問する人も少なくない。
「なに言っているのよ。私は旅行しないから、大きなテレビを買うことができるのよ。あなたたちも、旅行
資金を貯金すればすぐに買えるでしょ。テレビが欲しかったら、旅行するのを止めなさい」
そう言われると、誰もが納得。といっても旅行を止めて、テレビを買いたいという人は滞在中のゲストに
は一人もいなかった。

バリハウスには韓国人ゲストたちも泊っていた。持ち込んだハンガリーワインやビールをキッチンで飲み
ながら、韓国と日本について語り合う場面が毎日続く。そんな時は「あなたたち、早く寝なさい!」という
バリさんの怒鳴り声。
「なぜ? 楽しいのに」と大抗議する韓国人と、すぐにおとなしくなってしまう日本人がとても対照的。
ちなみにハンガリーは韓国の観光客が多く、この宿も日本人が増えるまでは韓国人宿として知られてい
たらしい。