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もう一つの生き方。日本を離れて。
パキスタン・ギルギット編






人気アニメ映画”風の谷のナウシカ”のモデル舞台として、一躍有名になったパキスタン北部の
桃源郷「フンザ」。イスラム教国パキスタンの中で、中央アジア系の民族が生活する平和な村。
女性も顔を出して歩き、バックパッカーには特に人気が高い。北に行くほど金髪で、青い目の住
人の姿に変わっていく。

このフンザに行くための基点の街・ギルギット(Gilgit)には、日本人ミドル女性Kさんが運営する
ゲストハウスがあった。もともと山が好きで、旅人としてこの地を何度も訪れていたKさんは、
いつしかパキスタン人の前オーナーから経営を引き継いだとか。

「日本の山とは全く違うでしょう。ごつごつした殺風景な岩山ばかりだけど、季節によっても表情
が変わるのよ。フンザに行ったら中心のカリマバードだけじゃなく、もっと北のグルミットやパスー
にも足をのばすのがいいわ。パスーには手軽に楽しめるトレッキングコースもあって本当の山の
素晴らしさがわかるから・・・」
こう話している間にも、時折Kさんの元に地元の観光業者やトレッキング・ガイドが訪ねてきては
何やら相談事。すっかりこの街に根付いているようだ。

また、ここに泊っていると山小屋にいるような感覚になったりもする。停電の多い場所柄、夜は
ほとんどランプを囲んでの夕食。
宿泊者が一堂に会し、大皿に盛られた料理を取り分けて食べる。
宿で飲食したものは自己申告制でノートに書き込み、帰る時に精算。ホットシャワーは停電時に
は使えないので、近所の理髪店に行ってお湯をバケツに入れてのバケツ風呂となる。

「最近はフンザに来る日本人が多くてびっくり。パッカーだけでなく、サラリーマンやOLの人が1
週間ほど休暇を取ってくる場合も多いのよ」
フンザに行くとすれ違う人がみんな笑顔で挨拶するので、挨拶疲れするほど。

フンザの住人は言った。
「日本人が何故この村に大勢やって来るのかよく分からない。私たちはお金や便利な文明社
会には関心がないし、ただ普通に助け合って暮らしているだけ。私たちにとっては、それが一番
の幸せ。日本人の幸せは違うのか?」

日本では味わえない純粋な人と人との触れ合いを求めて、日本人はやって来るのだろうか?
パキスタン西部の異教徒の村"カラッシュバレー"に話がおよぶと、Kさんの目がさらに輝いた。
カラッシュバレーは、伝統的な宗教や風習を重んじているために、パキスタン政府から特定地
域に指定されている。村に入るには入域許可証が必要で、金髪で青い目の民たちが自給自足
している。

「カラッシュバレーまで足をのばす日本人が、まだまだ少ないのがとても残念。フンザと同じで、
やさしい人々ばかり。フンザとはまた異なる別の世界が見られるわよ。山の風景も独特なものが
あるし…」

山と少数民族にこだわる、日本人のひとつの生き方がここにあった。