海外移住情報 旅コラム


今時の卒業旅行者たち







3月に海外に出ると、どこもかしこも大学生の卒業旅行者たちでいっぱい。新たな人生の門出を前にした
”世界を旅する儀式”は完全に定着したようだ。
もちろんどこの国に行くか、どういう滞在方法をするかは千差万別。

2002年3月に東欧へ旅した時も、安宿は卒業旅行者たちで占拠されていた。
「無難に勤めて、そこそこの給料もらって。社内で正論を言う気もないし、ひたすら長いものに巻かれろ主
義ですよ」
一流大学を卒業し、一流企業に就職が決まっいるエリートたちからは、同じような答えが返ってくる。
今、日本は良くも悪くも変わろうとしているものの、彼らたちと話していると日本の将来は暗い・・・。

一方、ひたすら客観的な学生もいた。
「就職なんかしたくないけど、食べていくにはしょうがないから一応就職しただけ。社会経験がないので、
とにかく2、3年勤めてみて、白紙でもう一度見つめ直すつもり。旅に出たのも、その時にいろんな判断が
できるように、世界の様々な価値観や社会観を知っていた方がいいのではと思ったから。ただヨーロッパ
は正直言って退屈。美術館や名所に興味はないし、生活も日本と大差ないような気もしますね。アジア
や中南米に行けばよかったと少し後悔しているんですよ」
こう話す彼は、西欧中心だった予定を急遽変更して、卒業旅行者があまり行かないボスニア、ユーゴス
ラビア方面に旅発った。

アジアを廻ってやってきた女の子の卒業旅行者は、「旅に出ると考える時間が山ほどあるのが何より」と
言い、色々と自分を見つめ直すこともできたようだ。
「日本にいると欧米志向が強いでしょ。でも旅に出て、アメリカ人の傲慢さも嫌というほど分ったし、ヨーロ
ッパにくると自分が日本人であること、アジア人であることを痛切に感じました。就職も親の言うがままに
したので猛反省。日本に帰ったら、就職を止めてアジアを本格的に旅しようかと考えているところです」
また、卒業旅行者たちの共通の思いは、おかしいまでに一致している。話をした学生たちからは一様に
同じ質問が飛んでくる。
「今度、自由な長い旅をしようと思ったら、会社を辞めたり、自由業に転身するしかないですよね。聞いて
いる話だと、休職制度があっても白い目で見られるらしいし、会社を辞めて旅に出ても、次に就職する時
の面接では"いやみ"を言われることも多いとか。何かいい方法ありますか?」

こんな質問をする彼らの目は意外なまでに真剣そのもの。
社会人の多くも、同じような悩みを持っている人が多い。旅に出たくても、会社を辞める勇気がない。
帰国した後のことを考えると二の足を踏んでしまうといった感じだ。

しかし考えてみると、会社を辞めて旅に出るということは"自分の生き方"を証明することでもあり、旅を
きっかけに新たな自分を創造することという見方もできる。もちろん破壊がなければ創造もない。
ある雑誌のアンケートでは、会社を辞めて旅に出た90%の人たちは後悔していないといい、帰国後の障
壁にも立ち向かっている。そんな話をすると卒業旅行者たちの目が輝いてくる。

今度彼らはいつ長い旅にでるのだろうか? 
いずれにしても、人生の節目になることだけは間違いないようだ。