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モロッコの女性たち







スペインからフェリーで気軽に行けるアフリカのモロッコ。
アジアレベルの物価の安さと冒険ロマンをかきたてるような不思議なイメージのためか、ヨーロッパ
をはじめ世界各国からの観光客で溢れかえっている。

しかし、船が到着する港町タンジェ(Tanger)では、船の到着と共に始まる客引きの凄まじさに嫌気
がさして、そのままUターンして戻ってしまう人もいる。港での客引きは、観光客の減少という結果を
もたらすほど悪名高かった。

そんな状況を放置できなくなったためか、政府によって客引き行為が禁止された。
最近では、以前に比べるとだいぶ静かになったそうだ。 と言っても、街に入れば、相変わらず客引
き行為は凄まじい。

また、イスラム国であるモロッコは戒律が厳しい男社会だ。
街を歩く女性たちは、一様にチャドル(頭からすっぽり被るベール)で包まれ、そのエキゾチックな顔
立ちを見る機会は多くない。
ただモロッコの場合は、同じように戒律が厳しい中東アラブ諸国と比べて大きな違いがあった。

地方に行って街や村をぶらぶら歩いていると、チャドルに包まれた女性たちから声をかけられる場
面がたびたびあるのだ。
周りに人がいないのを確認すると、顔を隠しているチャドルを外し、にこやかな笑顔を現わしてくる。

「こんにちは、どこから来たの」
「日本から…。ところで、チャドルを外して外国人と話しても大丈夫なの?」
「人に見られなければ大丈夫よ。モロッコの女の子たちは、みんな外国人と友達になりたがってい
るの。もちろん私もそうよ」
「でも、何故…」
「そうねぇ、この国は男社会だから、若い女性の多くはこの国を出たがっているのよ。それには外国
人と知り合いになるのが一番だし、みんな本音では外国人との結婚を望んでいるのよ。だから英語
やフランス語を勉強している子も多いわ」

「日本人の人気はどうなの」
「一番の人気はスペイン人かな。なんといっても言葉が通じるでしょ。日本人はお金持ちで、電気製
品や車が有名。でもモロッコにはあまり日本人は多くないから、ポピュラーではないわね。でも私は
日本に興味あるわ。よかったら今から家に遊びに来ない。家では外と違って自由なの」

そう誘われて、お宅にお邪魔すると、両親や兄弟たちが歓迎してくれた。家に入ると、この女の子は
チャドルを外し、自分の部屋へ戻ると、ジーパンとTシャツ姿で現れた。
その変りようにびっくりしていると、お母さんが説明してくれた。
「モロッコは西洋化が進んでいるのよ。特に家の中ではね。外ではイスラムの戒律を守っているわ」

それから数年、突然モロッコの女の子から便りが届いた。モロッコを訪れていたイギリス人と結婚し
たので、もしイギリスに来るときには立ち寄って欲しいという内容が、そこには書かれていた。