ほすとの世界・序 〜二つの世界〜

あなたは信じますか?
とっても落ち込んだとき・・・
とっても悲しいとき・・・
誰かがいつの間にか側にいて・・・
そっと手を貸してくれる事があることを・・・
それはきっと、あなたに”天使”が舞い降りた瞬間かもしれません。
あなたは今日も思います、”天使”の舞い降りる瞬間を・・・

=めいどの世界=

今日もここはいつか再会する”ご主人様”の為にいろいろな修行に精を出す、未来の守護天使たちがいました。
指導をするのはムササビの”ムサ婆や”。もちろんメガミ様も一緒です。
今日の指導を終えたメガミ様、自分の部屋に戻って、床にはめ込まれた水晶製の玉の中を眺めています。
現世でご主人様にご奉仕している守護天使たちの様子を見るためです。

「頑張ってるみたいですね。あの子達。」

今、現世で頑張っているのは12人。かつてご主人様にご恩を受けた者たちです。
金魚の”らん”
インコの”つばさ”
ハムスターの”くるみ”
カエルの”るる”
サルの”もも”
キツネの”あかね”
ウサギの”みか”
ヘビの”ゆき”
イヌの”なな”
ネコの”たまみ”
タヌキの”みどり”
カメの”あゆみ”

みんな明るく、元気にお勤めをしているみんなの姿を見て、メガミ様は満足そうに微笑んでいます。

でも、いつもやさしいメガミ様にも、たった一つ、気がかりな事がありました。

「お兄様・・・。いつになったらまたお会いできるのでしょう。立派な守護天使を育てればその望みはかなうとは、神様はおっしゃったけれど・・・。」

窓から遠い星空を眺めては時折呟くメガミ様なのでした。

そのはるか彼方の世界では・・・・

=ほすとの世界=

ここほすとの世界では、現世での様々な持ち主達の思いを乗せたまま忘れ去られたモノたちが、いつか持ち主達の思いを後押ししたいと、ヒトの姿に自らの姿を変え、日夜厳しい訓練に明け暮れていました。
その姿はなぜかみんな男の子。
そう、彼らは守護天使候補生。そう呼ばれています。
教官は杖の『ジョー(情)』。その上官にはこの世界の一番偉い人(?)、『オガミ様』がいます。
料理や洗濯、掃除に買い物、耳掃除から爪切り、果てはマッサージまで、人間世界のあらゆる事柄を叩き込まれます。当然女性の心を掴む技は必須科目です。そうそう、ルックスを磨くのも忘れてはいません。

今日は候補生の中から、現世へ転生するためのメンバーを選出する最終試験日。最終科目は、”思いの強さ”です。この場にいる候補生たちは、幾多の関門をクリアし、選び抜かれた50名。
ジャ●ー●事務所とジュ○○ボーイズも腰を抜かすほどのいずれ劣らぬ美少年ぞろい。
さすがの彼らも今日はいつに無く緊張している様子です。

「さあ!気合入れて頑張るのじゃぞ!よいか!始めい!」

ジョーの一声で、候補生たちは一斉に机に肘を突き、祈りの態勢に入ります。教壇の上にあるオガミ様の全身像に向かって。

そして、全身像の裏にあるオガミ様の部屋では、威厳のある豊かな口ひげが自慢のオガミ様が錫杖を片手に、机の上の半透明の水晶球の中を覗いていました。

「待っておれ、メガミ。きっとお前の許へと参ろうぞ。今こそその第一歩を踏み出すのだ。私の願いをかなえてくれる少女は・・・これだ、この少女の瞳の輝きだ。よし、現世へ参ろう。」

候補生達の中の何名かの思いが一つになり、水晶球の中に一人の少女の姿を映し出しました。その少女の姿を確認したオガミ様は現世への扉を開きました。

(作者あとがき)
さてさて、序章がやっとアップです。
大変お待たせしました。
これから始まる物語、はてさてどうなりますやら。
次回はいよいよ本格的に物語がスタートします。
次回をお楽しみに。