すり鉢上のドームの中心部に向かって、一筋の光が射しこみ、うっすらと人の形の影を作っている。 よく見るとそれは人ではなく、なにか別のものだ。
その者は屈強な体に闘志を潜ませ、今は静かにその場に佇んでいた。
「我らの名誉を汚す者には、死をもって贖ってもらう」
どこからともなく重々しい声が響く。
「殺せ! 殺せ! 裏切り者には死を!」
その声に反応するかのように、あちらこちらから怒号が湧き起こり、やがてシュプレヒコールと
なってドーム全体を包む。
「殺せ! 殺せ!」
稲妻の閃光がその者を照らし出した。
体は人の形をしていたが、首から上は龍そのものだった。
龍種族の中でも最強の戦士と称えられた者だ。龍種族から尊敬と畏怖の対象とし、生きながら伝説と
なった戦士。
しかし、そんな戦士のその眼には悲しみの色が漂っていた。
戦士は何かを振り払うかのように手に斧を持ち、すくっと立ち上がった。
稲妻が走り、その戦士のシルエットを作る。
戦士は目を見開き、何かを決心したかのようにはるか遠くのもの見ていた。
そこは稲妻は荒れ狂い、この世の終わりを思わせるほど暗雲がたれ込めていた。
