読書履歴2001年3月
新刊38冊+古本0冊 = 合計38冊
- 38[3/31]榊一郎/struggle field 鏡の中の戦魔(ファミ通文庫)
- いかにもファンタジーらしい世界設定に痛々しいお話.
ストーリー演出に関しては破綻もなく佳作といえると思うが願わくば設定に名称一つにしてももうちょっと独自の色を出せるとぱっと想像の世界の範囲が広がりそうな気がするが.
- 37[3/31]岡本賢一/Virgin Crisis それゆけ薔薇姫さま!(ファミ通文庫)
- 吹っ飛んでます. もーれつに痛そう(わたしゃそっち系の趣味は皆無).
話の構成は単純至極.
- 36[3/30]山之口洋/0番目の男(祥伝社文庫)
- 倫理というやつも時代とともに変わるものだろうからね.
エピローグの落とし所がうまく話を転換していていいかなと.
- 35[3/29]麻生俊平/ミュートスノート戦記 天に響け戦神の歌(富士見ファンタジア)
- 話の展開としては当初のイレギュラーな人間兵器としての話から最後は急激に「カリスマ黒幕の思し召し」に展開してしまった訳だが,
結局ここのところのトリマキの見方が, 自分自身のものでないというのがクライマックスとしてはネックになってしまったように思う.
自分の夢でもあるようにいいながら,
結局心酔して流された結果のラスボス(?)ではやはりちょっともったいないような気が.
やっぱり夢は持ちたいね. 等身大でいいから自分ひとりのを.
せっかくここまでみんな高校生としては一筋縄ではいかないような命題に一生懸命悩んで立ち向かってきたのに「夢の大きさで価値を判断」では話のスケール感が一気に縮んでしまったような感じでもったいないような気がした.
それはともかくお疲れさま. 読み応えはありました.
- 34[3/27]あざの耕平/Dクラッカーズ 接触-touch-(富士見ミステリー文庫)
- 創刊の売りを見るとどうも中身がミステリーでなくてもミステリー文庫らしいのだが,
これもどこがミステリーなんだろう? ミステリー読者を取り入れたいなら全然意味無いし,
本格ミステリーへの架け橋にしてもカケラが無いのでは意味ないし,
逆にファンタジア読者にミステリーの面白味を理解して欲しいという構成でもないし,
正直どういう意図でこのレーベルを立ち上げたのか見えてこない.
まあともかくとして, 推理と称して推測に推測を重ねて話を組み立てた挙げ句,
それがあっているというのはどんなもんかな.
- 33[3/26]神野オキナ/鬼姫斬魔行(ハルキ文庫)
- 設定イメージがかなり前作(闇色の戦天使)とダブる感じ. こういうのがお好み?
- 32[3/26]浅田次郎/霞町物語(講談社文庫)
- 70年代都立進学校の青春か. なんか別世界のような(苦笑).
- 31[3/25]乃南アサ/紫蘭の花嫁(文春文庫)
- 秀逸な心理描写がドキドキ感を煽って素晴らしい読後感…になればよかったのだが,
主人公の女性の心理が実は話途中ではほとんど明かされていなくて,
最後に一気に書かれてもなんか微妙にすっきりしなかった感も.
- 30[3/25]A.マクナブ/ブラヴォーツーゼロ(ハヤカワ文庫NF)
- …すごい. 話にはいくらでも出てきそうだけど実際となると….
- 29[3/23]新木伸/星くず英雄伝 8.鏡像宇宙の人形姫(電撃文庫)
- ぽんぽん出てくるSF的アイディアは面白いし漫才みたいな掛け合いも楽しいのだが,
で, ストーリーはというと, なんかストーリーが書きたくて本になったっていうより本を出すためにこのストーリーが出来ました, みたいな印象がちらっと覗く気がして….
作者がどう思っていたかは分からないけど.
各エピソードのテンポ感は前回よりだいぶいいので, 厚くても退屈せずに読めた.
- 28[3/22]中村恵里加/ダブルブリッドV(電撃文庫)
- 人間とアヤカシの関係の話…にしては外野なキャラがうるさいような気がする.
- 27[3/21]中村恵里加/ダブルブリッドIV(電撃文庫)
- ついにラスボス登場か?
いままでどうも「主」などといわれて隠れているのが気に食わなかったが,
自ら主と名乗る傲慢(?)なキャラということが分かったのでそれはいいことにしよう.
まあメインキャラが一本気やろーにすれたお嬢ちゃん(?)じゃ書きようがないのかもしれないけど,
もっと繊細に心情描写されると結構痛そうなのにな, と思った.
ちょっと粗目じゃないかなと.
- 26[3/21]深沢美潮/デュアン・サーク(電撃文庫)
- 前作の後日譚がたらたらと.アサッシン殺しなんてまるっきりどっかで聞いたような.
まあギルドの話なんてあまり変わりようがないかもしれないけど後半は是非独自色を.
- 25[3/21]三雲岳斗/レベリオン 弑殺校庭園(電撃文庫)
- イラストがなかなか素晴らしいので相乗効果で話を盛り上げていると思う.
ところでサンダーヘッドもプラズマシャフトも人間業より4〜7桁くらい電流や磁場が大きい/強いような気がするんだけど(違ったらごめん),
機能はいいとしても操る方がいくらレベリオンでも大丈夫なのかなっていうのは余計な心配?
- 24[3/20]後池田真也/リスキー・ダイヴ 2(角川スニーカー文庫)
- 今一つ描かれている世界の全体像(敵味方の構図という意味ではない)が見えてこないのが不満.
YA作品でネットワーク構造をデフォルメして描くことはやむをえないと思うので,
それに関してあまり突っ込んだコメントをする気はないが,
とはいえデフォルメされた結果の例えば「層」といったものがどう組まれているか等はやっぱりイメージだけでなくてもうちょっとでいいから踏み込んで欲しい気はした.
- 23[3/20]後池田真也/リスキー・ダイヴ 1(角川スニーカー文庫)
- トラブルてりぶるハッカーズから時間軸上は続きらしいのだが, こちらは未読.
五感のネットリンクとか現実世界に戻れないとか敵秘密結社(?)やカルト宗教など,
このあたりにはもはや目新しさはない.
だから是非作者なりのオリジナルな未来社会の問題点を主人公たちにぶつけていって欲しい.
スピード狂としてのスピード感がまずまずあってその点では好感.
- 22[3/19]椎葉周/閃光のガンブレイヴ ゼロから始めよ(角川スニーカー文庫)
- 伝説的なガンブレイヴでもキャラが等身大なのが魅力.
まあ女性に弱いとか政治的駆け引きが苦手とかいうあたりはお約束だろうが,
いじめられっ子との交流とか長官の本の一覧とか, 適度に織り交ぜられた場面が話に抑揚をつけていていいのではないかと思う.
人間同士の命のやり取りはルナティックカーニバルにも共通するネタだが,
こちらではやり取りするのが保安官,ガンブレイヴと盗賊だけということもあり,
一般人との対比がうっすらと感じられる分だけ効果が出ているように思えた.
その気になればシリーズとして続きが出せない結末ではないと思うが終わらせ方の余韻はうまくでていると思うので,
できればこれで完結にした方がよいのではないかと思う.
- 21[3/18]三田誠/精獣戦争 狼は惑わす(角川スニーカー文庫)
- もしかして6精獣がそろうまで延々こんなの読まされるの?
確かにイマドキのキャラは淡白でもいいのかもしれないけど,
それの上っ面だけをなぞっても魅力的なキャラにならないのでは?
素材に大きな問題がある訳でもないと思うので, やはりこれは作者の腕でしょう.
- 20[3/18]三田誠/精獣戦争 龍は喰らう(角川スニーカー文庫)
- グループSNEの新ファンタジーシリーズもの.
やはりシリーズものだとしても一作目は「さわり」でなくて「つかみ」にして欲しい.
謎,疑問を次作以降に引き継ぐことによって興味をつなぎとめるのは勿論ありだろうけど,
それには話自体の魅力がないと当然駄目.
これ一冊に出てくる限りでは描写が全体に淡白に感じられて私にとってはあまり魅力が….
- 19[3/17]秋葉千景/ルナティック・カーニバル 月の墜ちる夜(角川スニーカー文庫)
- マンハッタンから軌道エレベーターとか真夜中過ぎに傾き始める半月とか,
とっても気になるんですけど(苦笑).
なんか一歩間違えると相棒を「信頼」じゃなくて相棒に「甘えている」感じもしますね.
まあ相棒がいいといっているならそれはそれでいいのだけど,
その辺の事情を全然明かさないで終わってしまっているから釈然としない.
シリーズ物にするにしても(もう次作の予定も出ているようだが),
デビュー作は図抜けておもしろくかつ話として完結しなくても十分な魅力を持っているものでないのなら, やっぱりできる限りストーリーを書ききって欲しい.
- 17,18[3/16]O.S.カード/エンダーズ・シャドウ(上下)(ハヤカワ文庫SF)
- 序文でなんと書こうとも, やっぱりこれはエンダーのゲームを読んでないと分からないと思う. 既に出ている話に関してはかなり飛ばして書かれている印象があった.
年下のビーンから見た話のせいか, 妙にエンダーがお兄さんっぽい.
これに限らず全体として子供も大人も年齢不詳の中途半端な書かれ方が多くて,
それほど年齢なりの特徴を生かして, という記述は多くない気がするんだよな.
ビーンも年齢というよりはチビという方が効いているように読めるし.
- 16[3/13]榊一郎/スクラップド・プリンセス 7.通りすがりの子守歌(富士見ファンタジア)
- 先へのつなぎだろうけど今回の事件と全く繋がりのない話が進行していて,
これが最後まで噛み合わずに終わるのが違和感大.
いくら長編の中の一編とはいえあからさまに繋がらないのはちょっと芸がないような.
今回は赤ちゃんというか母子の関係のような話だったが,
いつも核となるパシフィカの悩み具合(?)がイマイチで, 最後のオチに効果的に繋がらなかったような気がする.
- 15[3/12]榊一郎/スクラップド・プリンセス 6.つかの間の歌劇曲(富士見ファンタジア)
- 今回はやや本筋から脱線したような話でほとんどシリアスさはない.
そういう状況でどたばたコメディとハートフルを両立させるのは結構難しいのかも.
どたばたに芝居を使うというのは本来の脚本からの脱線具合などがスリル(?)を誘っておもしろいことはおもしろいのだが, 話全体が芝居っぽく感じられるきらいもなくはないかと思った. でも全体としては適宜緩急が効いていていつもらしいほのぼの部分とリリカル部分とうまく共存させているのではないでしょうか.
- 14[3/12]高橋紳吾(監修)/図解洗脳撃退マニュアル(同文新書)
- 一度この手の勧誘を論破してみたいんだけどなぁ,
なんて書いてわれこそはとか来られるといやだから多分いつも通り無視するでしょう.(^^;
それはともかく話の7割方を占める洗脳方法などは別に目新しくないが,
最後の章の撃退法はうまく生かせないかなぁ.
- 13[3/11]笹本祐一/星のパイロット 4.ブルー・プラネット(ソノラマ文庫)
- 日本の業界の9割はオタクなんですか?
オチをもう少し劇的に書けると最後までぐっと楽しめたかなと.
ちょっと展開も安易な気も. ページ数的に展開が見えてしまってちょっと惜しい.
「次のゴールを」というのはよく分かったけど.
- 12[3/10]秋山完/ファイアストーム-火の星の花嫁-(ソノラマ文庫)
- これくらいしっかりとホラを吹き通してくれると鮮やかでいいと思う.
非常にビジュアルイメージが湧きやすく読みやすかった.
回顧部分が基本的に一人称による記録というのが(それなりにはやはりなっているのだけど)秋山さんらしい詩情豊かな記述にはあまり貢献していないような気もするが, どんなもんかな.
- 11[3/10]大塚英志/冬の教室(デュアル文庫)
- 締切破りという点では人後に落ちない大塚英志だが,
今回は鶴田謙二の表紙イラストにつられて書いたそうな. どうりで1ヵ月遅れで出た訳で.
まあともかく, またえげつない世界やねえ. 書かれている世界は置いておくとしても,
ちょっと病的な精神を持つ人間を斜に構えて書かせたらやっぱりうまいのであって,
ちっとも世界構造が見えてこないからといって途中で捨てたくなることはない.
- 10[3/10]吉田直/トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 嘆きの星(スニーカー文庫)
- (HELLSING+D)/2の世界で(D+トライガン)/2なキャラが(トライガン+HELLSING)/2のような活躍を…, ってそれじゃまるでオリジナリティなさそうに見えてしまうね.(^^;
イラストにもトライガン色が強いのでイメージが引っ張られるが,
理屈の書き込み等はそれなりに出来ていて, 小説なりの世界は構築できていると思う.
ただちょっと飛んでもいない首が飛ぶも〜そ〜がはげし過ぎてどうかなと.
しかも数行に渡って何度も書かれると, しまいには今度のピンチは誰が救ったって?
と読みながら思ってしまう始末. ちょっともったいない.
- 9[3/10]大原まり子/銀河郵便は"愛"を運ぶ(デュアル文庫)
- あー, JUNEじゃなくてよかった.(^^; 男の読者からすると, キャラ的にはちと….
連作短編集なのだが, 後ろに行くとなんかあまりSF的にアイディアがおもしろいというような感じではなくなってくるので惜しいな.
- 8[3/8]秋田禎信/エンジェル・ハウリング 1.獅子序章from the aspect of MIZU(富士見ファンタジア)
- まあ「序章」だからしょうがないのかもしれないが話が動かない.
せめて魅力ある舞台であることをもう少しアピールして欲しいなと思うのだけど?
というか舞台背景を単純に並べすぎてどれが重要なのかよく分かりにくいという気もする.
- 7[3/7]竹河聖/風の大陸 第十九部 こころとこころ(富士見ファンタジア)
- そろそろ話も動きますかねぇ. まあのんびりやってるのも悪くはないけど.
って, 最近毎回おんなじ感想じゃぁ?
- 6[3/7]小林光恵/十二人の不安な患者たち(集英社文庫)
- ふっと笑えるネタがちょいちょいちりばめられていて楽しめた.
しかしウチの病院の掃除のオジサン, なんかあまりやる気ありそうに見えないんだけど.
病棟に来るおばさんはそれなりにきちんとやっていくけど.
ところでこれフィクション? いつものエッセイより少し話がクサイ気がするが.
- 5[3/6]浅田次郎/天国までの百マイル(朝日文庫)
- 説明を見る限り確かに重症なんだが, 困ったことにぼろワゴンにのって移動できてあまつ昼飯のために歩けてしゃべるのにも不自由ないとなると,
それほど重症に見えないんだよなぁ. そういう問題ではないんだろうけど.
今まで読んだ話に比べると超能力話ではない分リアル度が高く,
逆にほんまにこんなうまく行くんかいなという気はしてしまわなくもないが.
そう状況こその「浅田人情節」なのかなとも思えるし,
素直に読めば十分感動できるのかなとも感じた.
- 4[3/5]酒見賢一/聖母の部隊(ハルキ文庫)
- アイディア的にはごった煮という印象で,
にぎやか(?)でぐいぐい引っ張られいいのだが, なにげに話がエグイ.
ついでにあとがきでエロゲー話をマジメにしている所がナイス?
- 3[3/4]川上稔/機甲都市伯林3 パンツァーポリス1942(電撃文庫)
- 政治側が見えてこないので権力構造がわかりにくい, かな?
史実とは全く別物と思ってこれだけだと思っておけばいいのだろう, とは思うが.
独逸側キャラも入念に書かれていて悪役とは程遠いのでつい思い入れるとツライ点も.
- 2[3/4]川上稔/機甲都市伯林2 パンツァーポリス1939(電撃文庫)
- ベルガーお疲れ.
- 1[3/2]星野亮/ザ・サード 惑いの空の凶天使(富士見ファンタジア)
- このシリーズはかなり主人公の存在感の大きいので,
前半まったく登場がないとなかなか雰囲気がしっくりこないというか.
完全に脇役話ならいいのだけど, 結局後半あれだけ活躍するのなら最初から出た方がすっきりしたのかも, なんて思った.
話の展開はまあいつも通り.