読書履歴2001年5月
新刊20冊+古本13冊 = 合計33冊
- 20[5/30]R.K.レスラー/FBI心理分析官(ハヤカワ文庫NF)
- まず結構類型があるのに驚いた. これが日本とは結構違いそうな雰囲気.
取り扱っているものが惨殺といっていいものばかりだが文章であることと科学技術的に抑えた描写であるため, あまりぐろくなっていなくて読みやすい.
しかし死刑にしないで懲役にしつつ話を聞いて犯罪心理の研究にという主張はユニークかな?
- 19[5/28]安井健太郎/ラグナロク EX.COLD BLOOD(角川スニーカー文庫)
- リロイくんこうしてぐれていったのね.
しかしこの国この後どうなったかと思うとねえ. なんかあっさり侵略されてたり?
- 17,18[5/27]瀬名秀明/BRAIN VALLEY(上下)(角川文庫)
- 話の前半分はちょっと変な研究風景という感じで, なんかちょっと….
主人公回りのNMDAR3とシミュレーション関係と猿の認知関係と親子関係とマスコミ関係とお光様関係と, いくつかの筋が9/29に向かって収束していく…ハズなのだが,
ちょっとバランスが偏り気味のような感じがして収まりがあと一歩だった印象が残った.
- 16[5/15]的川泰宣/月をめざした二人の科学者 アポロとスプートニクの軌跡(中公新書)
- やっぱりこれも「ドラマ」だよね.
- 15[5/14]田中芳樹/風よ、万里を翔けよ(中公文庫)
- 作者の中国傾倒第一長編(?)だが,
史実に基づくあまり史実の説明がいかにも説明調になっているのがちょっともったいない感じ.
史実をふまえた上で読まないとあまり面白くないというのはあるが,
元は劇に使われるようなキャラクターのようだし,
フィクションならもうちょっと劇的に描き出してみた方が楽しめたかなと思った.
- 13,14[5/13]A.C.クラーク&S.バクスター/過ぎ去りし日々の光(上下)(ハヤカワ文庫SF)
- こんな機械できて過去が暴かれてしまったら俺生きていけないよ(苦笑).
そんな世界を鮮やかに描写していて非常に読みやすいが, 特定の人物の描写となるとちょっと不満.
SFの場合しばしばサイエンス, テクノロジー, それに基づいた社会などの描写に力点が入るあまり,
人物描写が物足りない場合があるが, これもそのクチかなと感じた.
例えば弟の生い立ちは「あんな」だったというのにちっとも盛り上がらないとか.
そういうのが必ずしも不満だという訳ではないけどこの話ではちょっと気になった.
- 12[5/9]岡本賢一/傭兵グランド アンデッド・レディ(ソノラマ文庫)
- もうちょっとクライマックスが盛り上がると最後の落ちも決まったんじゃないかと思うんだけど, あっけなさ過ぎて見当がついてしまったのがちょっと残念.
- 11[5/8]G.イーガン/祈りの海(ハヤカワ文庫SF)
- 科学が自分の存在自体を根底から変えていくような, そんな感じの作品が並ぶ短編集.
結構読んでいて頭がくらくら来るので, 時間がある時に落ち着いて読むとよかったと思った.
- 10[5/6]軍事アナリスツ・プロジェクト/図解都市破壊型兵器マニュアル(同文新書)
- 図解って, あの中途半端にリアルな絵, なんとかならんかね.
この新書シリーズはかなり入門者対象みたいで,
多少なりとも知っているものに関してはほとんど目新しいが事ない感じ.
- 9[5/5]市川丈夫/ダーク・フロンティア・ブルース(富士見ファンタジア文庫)
- 美少年主役というのはちょっとめずらし目かもしれないが,
どこまでも前向きな姿勢が徹底して書かれているところに好影響を与えている感じがした.
単に年端が行かないゆえの純真さとか経験不足とかとして書かれていないところも好感.
邪神その他の設定の違和感とか悪役側の迫力不足とか気になる点も各所に見られるのだけど,
うまく生かしていければそれなりに楽しめる作品になるかも.
ただ最後のあとがきの命名に関するネタばれは余計.
本筋と関係無いのは少なくとも同じ本の中でほいほい明かすものではないと僕は思う.
- 8[5/5]貴志祐介/天使の囀り(角川ホラー文庫)
- とにかく畳み掛けてくる感じがいい. 博覧強記なのか徹底して取材しているのか,
広い分野に渡って密度の高い書き込みが情景をだすのにうまく生きていると思う.
マジメに想像するとかなり気持ち悪そうなので一部パスしたいが(苦笑).
- 7[5/4]神坂一/スレイヤーズすぺしゃる 16.スクランブル・グリル(富士見ファンタジア文庫)
- さすがに前後半に分けるの止めたか, 呪術士の森. 後はまあ特に印象なし.
ヒゲももう少しうまく使えばインパクトありそうなんだけど.
- 6[5/3]秋口ぎぐる/粛正プラトニック 少女と嘘とボストンバッグ(富士見ファンタジア文庫)
- 突拍子もないというより行き当たりばったりという印象の方が強いのですが….
- 5[5/3]平賀英一郎/吸血鬼伝承 「生ける死体」の民俗学(中公新書)
- 一種キワモノ的な吸血鬼の伝承をマジメに論じていく辺り結構興味深い.
ところであと一つ, コウモリとの関連は?
- 4[5/3]早見裕司/夏の鬼その他の鬼(EX novels)
- 3部作の10年ごしの最後の作品だと思っていたら, 一作目分からの書き直しのようですね.
作者自身が言うような微妙に幻想的な雰囲気が好きなのだが,
音楽の使い方が微妙.分かる曲がうまい場面ではまってくると勝手にBGMみたいで効果的なのだけど,
だからといって登場人物のはまったアーティストや曲をずらずらと書かれてもちょっとしつこいなぁと思った.
- 3[5/2]都築由浩/レディ・スクウォッター(電撃文庫)
- アイディアも展開もなかなか面白いです. が,
ヒロインが難破船に戻った理由とか最後の解決(?)方法とか,
もうちょっと効果的な書き方があるような気がするんだけどなぁ.
- 1,2[5/2]スティーヴン・キング/デスペレーション(上下)(新潮文庫)
- 最初はホラーって感じだったんだけど, だんだん宗教チックになっていく辺りが微妙かなぁ.
単にやりきれなさ系展開のモダンホラーとしてだけでなく登場人物の過去とあわせて踏み込んでいく描写に緻密さは十分感じられるのだけど.