読書履歴2002年1月

新刊18冊+古本2冊 = 合計20冊

18[1/31] 神坂一/トラブルシューターシェリフスターズSS mission02(角川スニーカー文庫)
無料キャンペーン中のトラブルシューター, シューティングスター組. お子様メニィにお目付け役レティシアの2人組の今回のお仕事は…. 軽快スペオペ…だがなかなか宇宙に出ませんね?
ここ最近の―多用の間の悪さはそれほどでもなく, 今回はやり取りも軽快でなかなかいい感じではあったのだが, やっぱり話の本筋のねたがまだイマイチ. もうちょっとピリッとしたねた出ませんかね?
15-17[1/30] 岩本隆雄/ミドリノツキ(上中下)(ソノラマ文庫)
ある日空から人類の創造物とは思えないような輝きを放つ銀色の棒が降ってきて, 力任せに抜こうとしても抜けない. しかしこの棒の夢を見た人々がいた. これが発端で世界を巻き込んだ騒ぎに. 岩本的SF三部作.
筋自体は練れていると思うし過去の作品同様ジュブナイル的にはメッセージ性をもちつつも読みやすい作品にはなっていると思う. ただしリアリティ, SF的にはマスコミの使い方とか実際に「物事」が起こった場合の影響とか, いろいろもうちょっと細かいところで問題になりそうなところが多そうだという印象が残った.
14[1/25] R.M.ミュレイン/宇宙からオーロラは見えるの?(ハヤカワ文庫NF)
NASAの宇宙飛行士が答えたシャトルや宇宙生活の実際に関するQ&A集.
単純に宇宙空間に関する事実関係から, やはり実際にすごして見ないと良く分からなそうな生活実体験まで, 面白いものもいろいろと. 宇宙に興味がある人にはいいかも.
13[1/24] 神坂一/スレイヤーズすぺしゃる 17.小さな濃いメロディ(富士見ファンタジア文庫)
噂に名高い(?)魔道師リナ=インバース. 旅の途中で出くわし, リナを歌いたいと言い出した吟遊詩人はごつくて濃い顔立ちのオッサンだった. リナが旅先で起こす騒動の数々(?)をコミカルに描く短編第17弾.
小さな濃いメロディはなかなか濃いキャラで面白かった. 歌のほかの行動は実はリナの影に隠れてしまったが, うまくひきだせば更にインパクトのある話になったと思うが. 仁義なき場所取りはあまり面白くなかったが昔のキャラが名前だけ出てきて懐かしかった. 巨大生物の山はミニ文庫からの再録だが, ミニ文庫作品にしては面白いほう. 出てくるキャラ(?)がキャラだけにイラストをきちっと生かしたい. まあ当初のインパクトには及ぶべくもないが, ここしばらく低調気味だった中にしてはいいほうかも.
12[1/23] 清水文化/ヘッポコあんてぃ〜く 2.下心のケーキ大作戦(富士見ファンタジア文庫)
骨董品屋の店長を祖父から任されている雪兎はそれに取り憑く憑物神や精霊,妖精などが見える. その雪兎になついて(?)しまったちょっと変わった彼女らとのどたばたファンタジー.
こちらはドラゴンマガジン連載分だが, うーん. 実もフタもないことを書いてしまえば中身がない. もともとアイディア一発の系統だと思うが, 今回はそれもぱっとしなくなってしまい, 結局どたばた日常ばかりが残ってしまったという感じ. 連載としてはある意味全然頭も使わなくて軽く読めるが, これでは読後の印象もあまり残らないんじゃないかなぁと思うんだけど.
11[1/22] 浅田次郎/プリズンホテル 4.春(集英社文庫)
文壇最高の「日本文芸大賞」にノミネートされた孝之介だったが, それにあわせて育ての親富江が姿を消してしまう. 行方に思い当たる所のない孝之介は選考を待ちつつもプリズンホテルへ. シリーズ完結.
3巻までが命張っていたのと比べると, この巻はまとめということで, かどちらかというと自分を見つめなおしていく方へ比重が移っている感じ. そのせいか若干リズムが今までと違う. 悪くはないけど. そのあたりも含めて話のお終いとしてはまあ不満のある部分だって残らなくはないが, 総じて楽しい作品であった.
10[1/18] 浅田次郎/プリズンホテル 3.冬(集英社文庫)
救命救急センターの看護婦長が休暇に向かった「静かな山奥の宿」はプリズンホテルだった. ちょうどそこにはいつもの孝之介とお清のほか医師に冬山登山家に自殺志願の少年, そしてリストラ寸前の編集者と勢ぞろい. そしてオーナーの仲蔵も? 命を賭けた人々の命の話.
これもキャラの立った話でしかも癖のある登場人物が極端な行動や言い回しをするものだからある意味演出だよなあという雰囲気を漂わせつつ一方で非常に読みやすい. 今回は特に医療関係者に文学関係者に山関係者だから話が非常に個人的にフィットしたのもあるだろうが.
ところで日本人のグランドジョラス北壁冬季登攀というと小西さんだけど, あれって第2登だったか3登だったか. しかもグランドジョラスで遭難寸前になってエベレストには行き損ねたんだよな. 両方行ったのはあの植村直巳. せっかくだから事実に興味ある人は小西政継「グランドジョラス北壁」(中公文庫). 読みましたとも, 昔.
9[1/16] 鏡貴也/武官弁護士エル・ウィン 検事官はお年ごろ(富士見ファンタジア文庫)
ある森で一人を除いて全員が死亡するという事件が起き, その一人が殺人犯として拘束された. しかし彼は12歳の少年. エル・ウィンは彼の弁護につく. ところが法廷で対峙した検事官は若い女性で….
法律ものとこれをいっていいのか分からないが, そういう見方をするとどうしても捜査からの状況把握といろいろな可能性に対する考察が甘く感じるのだよな. 若年層対象作としては法律うんぬんはともかくとしても, もう少し推理過程くらいは緻密に練って欲しいような.
8[1/15] 鏡貴也/武官弁護士エル・ウィン ハタ迷惑な代理人(富士見ファンタジア文庫)
いきなり町でナンパしてきた彼も武官弁護士であった. しかもその秘書は自分より年下の秘書養成校主席だった. 軽〜い雰囲気の彼も実は凄腕. 実際に対決することに.
相変わらずおとめちっくな妄想暴走してるけど, なんか妄想している間に話が終わっているというか. 話の盛り上げ方, というか場面転換の使い方がやはりイマイチな感じなのと, 弁護士といいつつ自分で裁いてしまう無理な設定がどうしてもちょっと足を引っ張るかなぁ.
7[1/13] 村山由佳/おいしいコーヒーのいれ方 III.彼女の朝(集英社文庫)
周りには秘密の恋でもありなかなか進展しない二人の関係だが, 日帰りデートできた鴨川で外房線が不通に. かれんのひとことで初めて2人だけで夜を過ごすことになった.
相変わらずゆっくりのんびり. 甘〜い話をゆっくり展開されるから200pでも満腹でございます.
6[1/12] 浅田次郎/プリズンホテル 2 秋(集英社文庫)
その日, プリズンホテルでは手違いで警視庁青山署の慰安旅行と大曾根一家の壮行会がダブってしまった. 孝之介も同時に叔父と元スター歌手の関係を探るべくやってきたのだが.
今どきとはもう別世界のような, そんなんあってたまるかというような昔の(?)義理人情の世界だが, 個性豊かなキャラクターのメリハリの利いた動きがこの巻もなかなか楽しめる.
5[1/7] 浅田次郎/プリズンホテル 1 夏(集英社文庫)
作家孝之介は極道小説で売れっ子になったのだが, ヤクザの親分である叔父がなんと温泉リゾートホテルのオーナーになり, そこに招待されてしまった. 出かけていってみるとそのホテルは任侠団体専用といえるような人々ばかりが泊まるホテルであった.
浅田次郎お得意らしいヤクザものの一作だが, こちら系を読んだのは初めて. 非常に癖の強い人々のやりとりが絶妙で結構面白い. 義理と人情お涙頂戴系といっても話のキレがいいので割とさくさく読めてグッド.
4[1/5] 対馬正治/サンプル・ジェミニ 天翔ける戦乙女(ファミ通文庫)
すぐ失神するような気の弱い女子高生だが普通の暮らしをしていた宙美のもとに, ある日自分の妹と名乗る他人からは見えない幽霊のような少女が現れる. その日以来彼女は謎の組織に狙われ, 同時に巨大な影が海から彼女の町へと迫ってくる.
どうも話の展開がかなり粗っぽい印象. キャラクターがどうもきちんと描写し切れていない印象とか設定がやや甘い印象とか, 話にどうも入り込みにくい感じ. 気の弱いという部分と頑張り屋という部分を都合よく使っているだけで内面で両立している印象があまりしないあたりが引っかかるのかな. 他もキャラ数の割に書き込み不足の印象で敵役もその他もどうも深みにかける感じがした. 異性人による審判というありがちなパターンの設定も割に味付に独自色も不足していて, この作品だからいいというのが見えてこない.
3[1/3] 川上稔/都市シリーズ 機甲都市伯林5 パンツァーポリス1943 Erste-Ende(電撃文庫)
いよいよ予言の転輪の日が迫る中, もっとも人を傷つけないないように, ヘイゼルの選んだ道は.
実際にはよくあることだとしてもお話的には先の話でお亡くなりになくなった面子をその後の話の展開にもっと鮮やかに生かせるとぐっと盛り上がった結末になったのではないかと思ったが. 時間ものとして話そのものはちゃんと閉じてまずまずの出来ではあると思うが, 巴里に比べると長くなった分を十分生かしきれていない感が残らなくもない.
2[1/2] 川上稔/都市シリーズ 機甲都市伯林4 パンツァーポリス1943(電撃文庫)
いよいよG機関の計画の全貌が明らかになる. それに対し救世者ヘイゼルは.
それで飛んでいるわけではないとわかっていてもやっぱり数十トン人型兵器の飛行を背中の翼の羽ばたきで制御しているような印象は違和感が大.
1[1/1]小林光恵/ナースがまま ぽろっと本音編(幻冬舎文庫)
ナース一年目のドジ看護婦の喜怒哀楽交じりの奮闘を描く.
いつも通りわかるわかると言いたくなるような平易な内容で楽しめた.