読書履歴2002年9月


新刊17冊+古本3冊 = 合計20冊

18[9/29] 岩佐まもる/ブルースター・ロマンス 2.かりそめの花嫁(角川スニーカー文庫)
うーん. パターン的にはこういうのならもっと主人公がドツボにはまっていきながら悩みまくるのかなぁと思うのだが, 純真というのは強いなで終わってしまうような気も….
17[9/23] 岩佐まもる/ブルースター・ロマンス 宙からの求婚者(角川スニーカー文庫)
これは発売的には新刊ではないが, うちの掲示板で紹介していただいたもの. 背表紙のあとがきだけチラッと読むと一瞬女神さまっ?とか思ってしまうが, もちろん全然違う. で, 主人公はしゃべれないが心優しい男の子. 明るくて豪快な姉代わりに母代わり, 心で話せ, 優しさを向けてくれるが, 内実事情を抱える神様. 素朴だけどポジティブで明るい生活と, 非日常な現実. ひたむきな主人公の心には動かされるものがあるが, 惜しむらくは各キャラの事情説明で手一杯な部分があり, ちょっと内面の苦悩や葛藤を十分に書ききれていないような印象が残ったこと. 翔竜伝説の方では比較的動きのある動作描写がうまく心情描写の補完をしていたような気がするが, こちらではちょっと物足りない気がする. 丁寧には書けているのだがもうちょっと踏み込めるとより密度の濃い話になったのではという気もするのだが.
16[9/22] 茅田砂胡/スカーレット・ウィザード 外伝(C novels fantasia)
外伝というか, 後日談? なんかどいつも中途半端に無謀な人生を選んでいるような気が….
15[9/21] 日下部匡俊/四操兵の記 3.制魔の輝く剣(ソノラマ文庫)
精神支配というやつは敵が使うとゲテモノだよな. まあこれはこれでいいかと.
14[9/16] 日下部匡俊/四操兵の記 2.魔道師の誇り(ソノラマ文庫)
権力を受けるものとしてどんなにしても上へ上がれないのを嫌う気持ちは分かるが, それまでの安全な生活のいわばバックアップであった絶大な軍事力を削ったとき, どういうビジョンで政治運営していくつもりなのかとか, 大事なことが見えてこないのがちょっと惜しい.
13[9/14] 乃南アサ/ボクの町(新潮文庫)
おっちゃんに続く乃南さんの警察もの. 今回は新人のまだ研修をしている若者. いつものサイコなすごみはないけれど, こちらはとてもテンポ良く, 現実を斜めに見ている若者の気持ちを細やかに書いていて共感しやすい.
12[9/13] 三雲岳斗/ワイヤレスハートチャイルド(デュアル文庫)
相手の心を思うことに関する悩み, すれ違い, 大学生の主人公に中学生の女の子の心が, 話題の割に深刻になりすぎずにさらりと書いてある流れはいいと思うのだが, その分あまり深く踏み込めてない辺り, 今風ではあると思うが話的にはちょっと物足りない. 一応ミステリー的な設定で話が進むが, ミステリーとしてはたいしたことない分, かえって話の興をそいでしまった部分があるような気がした.
11[9/13] 火浦功/俺に撃たせろ!(デュアル文庫)
SFアドベンチャー連載作品がようやく文庫に. 確かに一般文庫にはちょっと短すぎるので, 中編シリーズくらいでないと出せなかったというのはありそうだ. 全体的にそれほどひねりのある話ではないが, 火浦さんの1冊目らしく, 適度にウィットが効いていてまずまず楽しめる.
10[9/12] 秋田禎信/魔術士オーフェン 無謀編12.そのまま穴でも掘っていろ!(富士見ファンタジア文庫)
オーフェンの連載版12段. 連載終了目前で, さすがにもう当初のキレは見る影もないかなと.
9[9/8] 神坂一/クロスカディア 2.影メグル地ノ邂逅者タチ(富士見ファンタジア文庫)
偶然が面白いところもあるのだけど, 偶然に頼りすぎの部分もあるような. ちょっと難しい. まだ評価は保留.
8[9/8] 神坂一/クロスカディア 月メグル地ノ来訪者タチ(富士見ファンタジア文庫)
スレイヤーズ終了を受けた神坂一の富士見ファンタジア新シリーズ. 今度も変わらず傍若無人な女の子主人公.スレイヤーズ的な時々吹き出してしまうようなギャグのキレはほとんどなし. だがシリアスかというと?
7[9/8] 長野まゆみ/碧空(集英社文庫)
印象は前巻と同じだが, もうひとりホモ相手が. 世の中そんなにホモっているんかい? いるところにはいるんかな.
6[9/8] 長野まゆみ/白昼堂々(集英社文庫)
家柄と両親の死と病弱さと性格ゆえ孤独の仲で暮らす主人公凛一のモ〜ホ〜な青春の苦悩を描いている. 雰囲気そのものは青緑系透明水彩みたいな感じで, 主人公の性格とうまくあっている感じ. 孤独に慣れているつもりでふっとさびしくなる時の感じなんかも心の動きが鮮やかで良くわかる…のだが, それが男同士でホモとはなぁ…. 作風的にBLというよりはやっぱりホモですかねぇ. だからって…. うーん.
5[9/3] 乃南アサ/暗鬼(文春文庫)
いやいや, 新興宗教の勧誘洗脳パターンオンパレードという感じで, ああやられてるやられてると. 流れはオーソドックスで, 主人公が壊れていく過程のサイコな怖さもいかにもこの作者という感じ. しかしこの話で重要なのは, それが家族だということ. 家庭崩壊, 核家族の世の中で, 「家族宗教」の中に入り込んだ「異教徒」である嫁が, 外面的にはとても仲のよい「家族」の構成員として取り込まれていく過程が怖すぎ.
4[9/2] 水野良/スターシップ・オペレーターズ 3(電撃文庫)
今巻の問題は, 慣性や速度の限界を無視する時空跳躍が存在する世界では, 当然戦術においてそれを考慮する必要があるはずということを, 話としてどう組み込むかだと思うのだけど. そういう意味では→←ではあまりに情けない.
3[9/2] 水野良/スターシップ・オペレーターズ 2(電撃文庫)
ああいう画像記憶系の特技を持つ人はうらやましいなぁ. しかしこの巻, 放送チームはほんと自分の命の心配をしていないところがなあ.
2[9/1] 米田淳一/プリンセス・プラスティック ホロウ・ボディ(ハヤカワ文庫JA)
エスコート・エンジェルに続いて読んでいた途中で本をどこかにやってしまい, 昨日ようやく見つけて続きを読んだもの. 前回の, 護衛や敵の実力排除といったアクション系のキャラながら, なんとなく叙情系に走っている印象があるのは今回も同様. ただまあこれはよくあることだけど, 導入解説が必要なくなった分話の流れがよくなっているので, 読みやすい印象は増したかなと. 今回はグリッドの扱いに(話の本筋と別に)一つポイントがあったと思うが, 本来の2〜3次元格子のイメージからずれてみるべきなのかどうか, ちょっと分からない分がなんとなく不満というかもどかしいというか.
1[9/1] 渡瀬草一郎/パラサイトムーン IV.甲院夜話(電撃文庫)
もしかしてすれ違いがすごい悲劇につながるんじゃないかと思わずドキドキしてしまったが, まあ話がうまかったということですかね. かといって安直にハッピーエンドにもならないし. 土着の風俗にうまく独自の神話体系をかぶせ, とかくオカルトアクションになりがちな異能者の世界の人々の中身ををうまく掘り下げて書いているところに今回も好感が持てる.