2002年マイベスト
2002年に発売された本の中のマイベストです. 順番はつけずに,
ライトノヴェルズ, 一般小説から6冊ずつ.
ライトノヴェルズ(6冊)
- 秋田禎信/魔術士オーフェン 我が館にさまよえ虚像(富士見ファンタジア, 3月発売, 02-5月読了)
- 富士見の2大看板を背負ってきたこのシリーズ, 2部に入ってからどうも中だるみというか,
テンション低下というか, 物足りない展開が続いていたが, ようやく面白くなった.
この後の結末に期待を持たせてくれる内容.
- 秋山瑞人/イリヤの空, UFOの夏 その3(電撃, 9月発売, 04-4月読了)
- その2のラストが実に感動的だったのと対照的に, 今回は実に痛い展開に悶絶してしまった.
しかも前半がほっとする内容だっただけに落とし方が絶妙というか. 素晴らしい.
- うえお久光/悪魔のミカタ 魔法カメラ(電撃, 2月発売, 02-6月読了)
- 電撃の第8回新人賞受賞作. (みークルズサジェスチョン「ポリッシュアップルズ」)というインパクトのある原題だったのだが, 中身もインパクト十分,
ミステリ要素とライト系要素と筆力が実にうまく組み合わさった傑作だった.
- 冲方丁/微睡みのセフィロト(デュアル, 4月発売, 03-5月読了)
- おちおちしているうちにすっかりマルドゥック・スクランブルで有名になってしまったが,
私がこの作者の実力を認識した作品. こちらもかっこいい美少女には変わりない.
- 須賀しのぶ/流血女神伝 砂の覇王 7(コバルト, 5月発売, 03-7月読了)
- 少女小説という枠をはみだした怒涛の展開の砂の覇王編, そ
のまさにクライマックスへ向かうところ, こういう展開になると当初からは予想も出来ず,
そして結末も予想できないという一番面白かったところかな.
- 渡瀬草一郎/パラサイトムーン V.甲院夜話(電撃, 8月発売, 02-9月読了)
- 毎回コンスタントに楽しませてくれるパラサイトムーンだが, しっかりした舞台設定の上に,異端な異端キャラも異端な常識キャラも含めてしっかりと心情や人間関係を描いて,
結末まで(ほぼ)書ききってあるので不快なイチャモンを感じないですっきり読めた.
一般小説(6冊)
- 乙一/暗いところで待ち合わせ(幻冬舎, 4月発売, 03-8月読了)
- 乙一のせつない系長編. 短編もうまいが, これもそつなくいい話だった.
- 恩田陸/木曜組曲(徳間, 9月発売, 04-1月読了)
- 死んだ作家を偲んでその作家の家に知り合いの女性が集まり, 世間話を咲かせるのだが,
それが死因追求の場になり, というミステリー系作品.
みんなしたたか, 狸の化かし合いではないけどドラマがドロドロにならない範囲でうまく盛り上げているのが面白い.
- 佐藤賢一/王妃の離婚(集英社, 5月発売, 03-9月読了)
- 西洋歴史ものの法廷ミステリだが, とんでもない設定から白熱する展開を経て,
あっと驚きかつすかっとする結末. 三拍子揃った良作で実に楽しかった.
- 菅浩江/末枯れの花守り(角川, 3月発売, 03-8月読了)
- スニーカーブックスの文庫化作品だが, 系統としては(本来の意味の)耽美小説.
各キャラの意識の描写と花の描写の色彩感が素晴らしい.
- 乃南アサ/ピリオド(双葉, 5月発売, 03-9月読了)
- 冒頭の寒々しい風景がとても印象的だった. ミステリ風だが,
なによりこの人は追い詰められたような感じの心理描写がとてもうまい.
- 森岡浩之/夢の樹が接げたなら(ハヤカワJA, 3月発売, 03-4月読了)
- ハードSF作家としての森岡浩之の短編集. しっかり考え込んであって,
ああ, こういうアイディアにこう(エグイ)オチつけるのか,
と毎作思わせてもらえるボリュームたっぷりな本.