なぜアンケートをはじめたのか

ライトノヴェルズ好感度アンケートの歴史をざっとたどって, 何故アンケートを始め, 何故こういう形にしたのか, 一応まとめてみました. 基本的にうちのアンケートは単にやりたいからやっているだけなので, えらい個人的な話になりますけどね.

ライトノヴェルズ好感度アンケートそのものの開始は97年末からですが, この前にもう一つ0回が存在して, 同年の私の魔術士オーフェンファンページでのオーフェン関連アンケートに便乗して, オーフェン読者が他にどのような作品を読んでいて好んでいるのか, というのを調べたのがおおもとです.

基本的にもともと私はあまり熱心でないSF+ファンタジー読みでした. 本そのものは好きだけど, それで他の誰かに薦めたり, 議論したりしようとかそういうことはほとんど考えませんでした. ところがスレイヤーズ, そして魔術士オーフェンとの出会いが, 私の読書観, ライトノヴェルズ観を見事にひっくり返してしまいました. ちょうどBBSからMailing List, World Wide Web(CGI)へとインターネット世界が広がり始めた折, 自分でもいろいろWeb Contentsを作り始め, スレイヤーズやオーフェンなどのファンページを作ってみたりしながら, アンケート魔の私は, ファンに対するアンケートも始めていました.

当時, 現在の「このSFがすごい!」はまだSFマガジンの特集記事で, 普通の年間ベストでしたが, 好感度アンケートを始めた背景にはこれに影響されて, ライトノヴェルズでも世間一般の読者にアンケートしてしまおう, ということがありました. しかし単に票数を数えただけでは回答者の読んだ本の数に影響されて, 評価に売れ行き順のバイアスが乗る可能性があった. 0回アンケートの結果からも回答者の作品ごとの読者数には大きなばらつきがあり, そう簡単に単にファン投票をしても, あまり一般的な結果はでてこないのでは, という危惧もあり, 富士見ファンタジアの売れ筋だけ読んでいる人の評価も, スーパークエストやサークル文庫のようなマイナーどころまでみっちり読んでいる人の評価も公平に利用するという意味で, 読者内での平均で評価を出そうと考えたわけです.

また当時あかほりさとるの小説が巷に溢れていて, 話題につられて結局読んではみたものの(ラムネとかシュラトとかそれまで全然読んでなかったのに!), そんなに売れるほど面白いのか疑問に思い, 売れゆきと内容は必ずしも一致しないのではと思ったのでした. それで人気と評価の相関があるのか見るために当時のオリコン文庫チャートを参考に, ぱらぱらと作品をリストアップしてアンケートを行いました. しかし, 単純に人気投票にしてしまうと人気のなさの方は分からない, ということもあり, 4段評価を採用して平均評価をならべたのでした. ある意味不人気作も浮き彫りにしてしまうのでちとえぐいため, 一応上位だけリストアップという形も考えなくはなかったのですが, 外れの多いライトノヴェルズゆえ, そのはずれ情報も一緒に公開してしまおう, と最終的に考えたということもあります.

さて, 公開はしているものの, 一応私的なアンケートですから, 自分の読んでいない売れ筋作品がどれくらい世間で面白いと思われているのか, ということを知りたいのと同時に自分の気に入っている作品の世間評価も知りたかったのですが, 当然私の好きな作品の中にはマイナーな作品もあります. そこで当初2回ほど, マイナーレーベルの枠を設けて売上げチャートとは別に, 私的に何作品か混ぜたのですが, ほとんどの場合読者数が足りず, 満足な結果になりませんでした. いくらアンケートをしてもその作品を読んだ回答者がいなければ意味がないですし, ダメもとで大量の作品を並べるのは集計する私にも回答していただく皆さんにも負担が大きすぎるため, 結果, 以降は回答読者数の最低限が確保できる見込みのある作品という意味も含め, 当時のオリコン文庫チャート, これが途中で廃止になったので入れ替わりで日販文庫チャートのランクインがエントリーリストに加える条件になりました. アンケートそのものの目的が売上げと世間の評判の不一致を明らかにする, というものですから, 売れていなくちゃダメだからその他は排除しようというつもりではありませんが, 適切にマイナー系を加えるのは私の力では無理がありますしね.

その代わりに2回目以降は新人賞受賞者の位置づけを問うという意味合いを含めることにし, また, 長く続けて経年変化を見るということも目標に加えて, 毎年比較できるようにエントリーリストの作り方と, 更に第1回ではあまりうまくいかなかったように感じた4段階評価を5段階に変更し, 固定しました.

また当時のSF界では, サイバーパンク以降の先鋭化SFと一般読者との乖離が進み, SFファンダムの選ぶベストSFが必ずしも一般読者にとって面白くない, ということが多分にありました. ライトノヴェルズはあくまでもエンターテインメントであり, それでは意味がない. あくまでも評価の基準は内容の素晴らしさそのものだけではなくて, 読んだ本人が面白いと思えたか, ということに置くために, 「ベストライトノヴェルズ」ではなくて「好感度アンケート」にした訳です. また2回目以降は回答者も増えたため, 少しでもどの辺りに好感をもたれているのかを詳しく探るために男女年齢分けを行っています.