ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 33

人気ルートの裏側、シュヴァルツェンゼー&アッターゼー(オーストリア)

2005年8月19日(金)

オーストリア全体地図
行程マップ

[北ザルツカンマーグート]
塩の宝庫としてのザルツカンマーグートの中心はBad IschlからHallstattであり, 現在の観光の中心としてのザルツカンマーグートはWolfgangseeとSchafbergだが, この地方に点在する主な湖はこれらの北側, 北ザルツカンマーグートに多い. そのうちの一つは昨夏Gmundenと合わせて訪れたBad Ischlの北側にあるTraunsee. そしてザルツカンマーグート最大の湖がSchafbergの北側にあるAtterseeだ. 同時にTraunsee観光の時もGmundenからVorchdorfへ抜ける狭軌鉄道路線が目的の一つにあったが, こちらAtterseeもVöcklamarktから伸びる狭軌路線が走っていて, 一度訪れようと考えていた. しかし南北に長いAtterseeへは湖北側からの鉄道やバス路線経由で往復するのは私の住む町からはアクセスが悪いため, どうしようかと地図&時刻表とにらめっこした結果, 南側のWolfgangseeの側からSchafbergの脇を抜けてAtterseeへ下りる手ごろなハイキングコースがあることが判明, ここを抜けてAtterseeへ出, 船で北のAtterseeの町へ出て鉄道に乗ることにした.
標高が高くないルートのため残雪の心配もなく, 本来は6月に予定していたのだが, 天候不良とスケジュールの関係で延期を重ね, 当週末も崩れるという天気予報により(実際土曜から月曜は洪水を起こすような豪雨になった), ついに週末旅行を諦めて一日前倒しで金曜に有給休暇で訪れることにした.

[Bad Ischl : またもちらりと]
まずは前回Schafbergを訪れた時と同様, Bad IschlからStroblへバスで向かう. Bad Ischlでは接続に約30分あるので, 今回はぐるりと旧市街を一周. せめてKaiser Villaくらいは…とも思うのだが, この時間では無理だ. この次は…?
[Strobl-Wolfgangsee : 有名な湖の東側]
Wolfgangseeの東岸の町, Strobl(シュトローブル)のバスターミナルでバスを降りて, まずはWolfgangsee(ヴォルフガングゼー)の湖畔へ向かう. 日は出ているものやや雲が多い. 町中の緑の木立の歩道をしばらく歩くと, ちょうど湖の下流出口の橋へと出る. この橋を渡ると北側にBürglの小山が半島として突き出しており, 湖畔に沿って遊歩道があるのでまずはここを散歩. まるで私有地へ入るのかというようなゲートを潜り, 湖畔に出ると, いくらか散歩している人がおり, また岸辺で釣りをする人もちらほら. どんな魚がいるのかな. とはいえ, 一見さん観光客はSalzburgから西側St. Gilgen経由でアクセスする人が多いせいか, さらに金曜で平日のせいか, はたまたこの冷夏のせいか, 比較的空いている. やがて岩壁がそのまま湖に切れ落ちているところが何箇所か現れ, その都度木道が組まれている. 半島の先端付近まで来ると, Wolfgangseeの北岸にSt. Wolfgangの集落とSchafbergの頂上付近が見えるが, このアングルだとそれほど見栄えはしないようだ(苦笑). 半島の北側は湖岸から離れ, 森の中をしばし歩く. やがて湖岸のオートキャンプ場とグラウンドの間を抜けてそのまま北側の, St. WolfgangとStroblを結ぶ車道へと出る.
[Schwarzenbach → Schwarzensee : 熟練者のみ!]
さて, ここから少々車道脇を歩き, 次のハイキング道の入口へ移動する. Schwarzenbachの何軒かの家の間を抜け, Schwarzenbachの川を渡るとすぐに左側にハイキング道の入口があり, きちんと標識がある. AlmwegとWiretsteig. うん, 正しい. しばらく沢沿いに車の入る林道を歩き, 途中でAlmwegを分け, 一番奥の水力発電所まで来ると, この脇から本格的なWirersteigのルートが始まる. 入口に標識があり, "Nur Geübt"(熟練者のみ)と. 地図にはハシゴマークがついているが, でも一般ハイキング路なんだよね. 先のAlmwegの方が一般ルートらしいが, なにせ大回りなのでこちらにした訳だが, さてはて.
で, 山道に入る私の前に待っていたのは, ハシゴではなくて, 延々と続くステンレスのステップであった. ややきつい傾斜にきちんと均等に付けられた段はむしろ山道より歩き易く, さくさくと上れる. 上れ過ぎて最後息が切れかけた(苦笑). 何箇所か岩っぽいところに付けられた水平部分はやや狭いものの谷側にきちんと太いワイヤーがぴちっと張られ, いざという時には掴まれそう. 途中犬連れカップルと数人の中年団体を抜かし, 家族連れとすれ違った程度でやはり静かだ. ほとんど一息で150m高度を稼ぎ, 沢沿いに滝が見えてくると上りはほぼ終了. 後は沢沿いの広くなった道をしばらく歩くと, 対岸に別のハイキング路Sattlwegが見えて, まもなく終点, Schwarzenseeへ.
[Schwarzensee : 憩いの場]
Schwarzensee(シュヴァルツェンゼー)は標高約710mの湖で, Almwegよりさらに大回りをする車道を通って車や自転車でも上がる事が出来るため, 湖畔はハイキング客と散策客とサイクリング客, それに湖畔でのキャンピング客が混在し, 結構人がいた. 例によって犬連れも多い. 時々犬同士鉢合わせして吠える場合もあるが, 全体的にはやはりよくしつけられていておとなしくしている. 湖畔には二つGasthausがあり, テラス席も結構賑わっていた. ちょうど12時ということもあり, 片方で昼食にする. ランチメニューは安かったが, 滔々とあれこれ勧めまくるおばさんのペースに負けて思わずスープまで注文してしまい, 結果はあまり安くならなかった(苦笑).
昼食後はここ, Schwarzenseeの南岸から西側をぐるっと半周する. 一周コースがあって, ここをぐるっと回って帰る人が多いのだろう. 湖そのものは格段に澄んでいる訳でもなく, 緑色. 対岸の山肌に若干岩肌が見えるが, 基本的には谷間のおとなしい湖だ. 海外旅行に来た人がわざわざ訪れるほどのものではないと思うが, その割に案外非ドイツ語は耳にした. この辺りで長期バカンスを取る人が, ついでで上がってくるのだろうか?
[Schwsrzensee → Moosalm : 間違えて一人大慌て]
北岸からは湖を離れ, Atterseeへ向かう. ところがいきなりこの入る道を間違え(一本早い作業道を入ってしまった), 20分を無駄にする羽目に. 人っ子一人いない道は予定の道より遥かに上っていくので, どう見てもおかしいと引き返した次第. その前にちゃんと地図見ろってか. 昼飯の支払いで10分待たされたのもあわせ, 30分のロス. 例によって2時間強のコースを普通より早く歩けると踏んで, Atterseeの遊覧船の接続まで2時間15分しか余裕のないプランを組んだので, これはかなり痛いロスだ. 仕方なくかなり意識してすたすた速歩き.
さて, 本来のコース前半は, わずかに上りの少し広い谷間を歩くコース. この谷間の北端付近は南側Bad Ischl方面と北側Attersee方面への分水嶺であり, 湿地帯(Moos)…といっても緑の草地の間を源流の小さな小川が幾筋かに分かれて流れているという感じだが, を気持ちよく歩く. 作業車も入るような砂利道で, よく整備もされている.
Moos
もしやSchafbergが見えないかな, と思いながら歩いていたが, さすがに手前の山の陰で, 途中Törlspitz(?)の頂上付近の岩峰が稜線の間からちらっと覗いたのを除きまったく見えない. ほとんどは緑の斜面の間を歩くのどかな雰囲気なルートだ. 時々ハイキング客やサイクリング客とすれ違うし, なにより電線が目障りなのだが, さすがにこれくらい奥だと人工音もないし空気もいい. もう少しゆっくり歩きたかった…. やがて左右の稜線がやや開け, 30分弱で右手に放牧の牛が見えてくると湿地帯歩きは終了.
[Burggrabenklamm : なかなか見えない谷筋]
分水嶺は標高772mで, ここから標高約500mのAtterseeまで今度は下りだ. Burggrabenklamm(ブルクグラーベンクラム)と名づけられた峡谷沿いのコースはまず一気の下り. ジグザグに下ってゆくと, 途中左手, 西側から来た谷の対岸の岩壁などがちらちら見え, 谷を流れる沢の水の音も大きくなってくるのだが, 水の流れはさっぱり見えないのがちょっと残念. やがて谷底へ到着し, ようやくとご対面. 当然だが水は綺麗だが, 沢まで下りられるということはそれだけ迫力はないところだったりするかも….
ここから沢に沿った道になる. 両側に切り立った岩の斜面の中腹を進むが, 道は再びしばらく水平道となり, その間に沢だけどんどん下りていってしまい, 再び谷底はあっという間に遥か下に. 確かに深い峡谷なのだが, やはり峡谷は谷底か谷の上で見たほうが楽しい…. しばらく歩くと谷間の先にようやくAtterseeが見え始める. 思いのほかもう近いな. ここから最後に再び一気に坂道を下り, ようやく谷底にたどり着いたところが峡谷の出口で, ハイキング路の終点だ. 15時. 結局そのまま予定から30分遅れだ(苦笑). ここからは途中の滝まで谷底にもう一本ハイキング路伸びているのだが, 時間切れ. 残念でした. 出口付近のGasthofで休憩も省略, そのまま遊覧船乗り場へ向かう.
[Attersee : のんびりゆったり]
峡谷出口から遊覧船乗り場までは車道沿いに約5分歩く. 到着した乗り場は…. 桟橋しかないじゃん! 乗り場脇には売店くらいあるだろうと思ったのは甘く, 完全に無人. 5分遅れてきた船の到着まで, 道路脇で待ちぼうけ….
約10人乗り込んだフェリーは思いのほか客が乗っており, デッキのボックスはすべて埋まっていた. しばし便所へ行ったりしつつ, 次の船着場で下りていって空いた後部のベンチをようやく確保. Atterseeの町までは約1時間.この時間は午前中より雲も減り, さんさんと太陽の輝く安定した天気になっていたので, のんびり湖上日光浴だ. 船内販売のビールですっかりくつろいでしまい, 途中のんびりウトウトしていたりする. おお, バカンス客のような?(苦笑) 湖南端のBurggrabenklammから徐々に北上していくと, 手前の稜線で隠れていたSchafbergが徐々に姿を現す. 北側, 西側は切り立った稜線なので北側から見るとまたいい眺めのはずだが, うーむ, 残念ながらやはりちょうど太陽を背にしていて逆光だ. 一方で湖東岸, Steinbachから東へ伸びるHöllengebirgeの岩壁はずっと眺めが良い. 西岸が穏やかな緑の稜線なのと対照的で, 湖の風景のアクセントにもなっていていい感じだ.
Attersee Ostufer
冷夏の中久々のいい天気ということもあってか, 湖岸は結構水遊び客で賑わっている. もちろん水遊びやボートなどだけでなく, 湖岸のベンチでのんびり日光浴の人も沢山いるが, やはりLinz-Salzburg間など北側の町からは近いこともあってか, 結構若い人たちのグループも目立つ. 地中海などにバカンスで出かけなくても, この国はきれいな湖は沢山あるから車などでふらっと日帰りで出かけていって遊ぶ人は結構多い.
船はほぼ東岸に沿って北上し, 七割方縦断したところで西岸のAtterseeの町へ渡って, のんびり船の旅は終了.
[Attergaubahn : 最後の狭軌路線]
Atterseeの町で下船すると, とりあえずまず駅の場所を確認し, ついで線路沿いに少し歩いて鉄道写真撮影ポイントを確保. 駅を出るとすぐきれいな草地なので, この路線は撮影に便利だ(苦笑). 出発, 到着の二本を撮影し, 次の発車まで40分, 湖岸へ戻り, ベンチでくつろぐ.
この鉄道Attergau線はStern & Hafferlの運営する非国鉄線で, またオーストリアに現在7本あるナローゲージの旅客営業線だ. 既に残り6路線は乗車したことがあるので(一部は全線ではないが), これが最後のナローゲージということになる. 思えば2年で随分乗ったものだ(苦笑). 列車は出発してすぐAtterseeの町北側の緩やかな小山を捲くと, あとはもう山はなく, 快調に緩やかな起伏の大地を走る. 周囲は草地が多く, トウモロコシ畑が多かった昨年のTraunsee線よりむしろ少し景色がいいくらいか. 家族連れの小さい子供が騒ぐ中, ワンマン電車(電化路線だ)は約20kmを28分で走り, WestbahnのVöcklamarktへ到着.

それほどインパクトのある観光地ではなく, 観光必須ルートではないけれど平均的に風光明媚な田舎でもあり, 近場の人が割と手軽にのんびりくつろぎに来られるエリアではあるのかなと.


現地の行程

7/19
(Fri)
Bad Ischl Bhf dep 10:22 Bus150 2.6Euro
Strobl Busbahnhof arr 10:44
dep 10:45 徒歩 --
Schwarzenbach交差点 via 11:30
Schwarzensee Zur Lore arr 12:02
昼食休憩
Schwarzensee Zur Lore dep 13:25 徒歩 --
Schwarzensee北岸分岐 arr 13:35
dep 13:55
Burggrabenklamm上部入口 via 14:30
Burggrabenklamm下流出口 via 14:55
Burggrabenklamm船着場 arr 15:05
dep 15:18 Attersee遊覧船
南周回Nr.15
7.4Euro
Attersee arr 16:32
Attersee周辺散策
Attersee dep 17:50 Attergaubahn
R8333
5.7Euro
Vöcklamarkt arr 18:18
dep 18:36 E1748
(平日運行)
Salzburg Hbf arr 19:24

参考


Mittel Europa Platzトップへ