ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 9

近くて小さな首都、ブラティスラヴァ(スロヴァキア)

2004年5月15日(土)

[行程プラン : 東側へ]

中欧旧共産圏といえば, プラハやブダペストといった素晴らしい(といわれる)街がある訳だが, その間に挟まれて, チェコとスロヴァキアが分離した際に首都になったブラティスラヴァがある. この街はハンガリー帝国などに関連して歴史はあるのだが, いかんせん目玉になる観光資源となると, なかなか厳しい. しかしながら, スロヴァキアの一番西端にあり, オーストリアとの国境からはわずかに数キロ. 国際列車とはいっても優等列車を使うまでもなく, ウィーンから1時間, 便数も多く, 非常に便利. ふらっと乗れるため, 今回は自分の都合と天気を見ながらよさげな日に飛び込みで日帰り旅行で行くことにした.
なお今回はもう一つ目的(?)があって, 職場の同僚であるスロヴァキア人が, ビールはチェコと並んでエクセレントだと言い張るので, 是非飲んでこなければというのも….

中欧全体地図
行程マップ

[Bratislava Petržalka : ちょっと外れた場所にある駅]

Wien南駅からガラガラの列車(でも2階建て5両のWieselくん)に乗って平地を東に向かうこと約1時間, よく分からないうちに国境を越え, すぐBratislava Petržalka(ペトルジャルカ)駅に到着. スロヴァキア最初の駅が終着駅ということもあってか入国審査は車内ではなく駅に着いてから. 駅の1番ホームで発着する列車へは審査場を通過してから外へ出るというようになっているらしい. なお改築したのかなんなのか, きれいな外見ではあるが, 駅自体は小さい. 入国時には一応読み取り機械を通していてちょっと時間はかかったが, 特に何を聞かれるでもなく特に問題はなし. 土曜ということで銀行が開いていないので駅のInformationで20 Euroだけ両替. 1 Euro=39.0 SKK(スロヴァキアコルナ)かつ10SKK引かれた. まあちょいとレートは悪いが仕方あるまい.

[Petržalka → Navy Most : いきなり歩くかい!]

で, 駅外へ出てみると, これが住宅地の真ん中というか. ちと旧市街には遠い. 普通なら間違いなくバスに乗って約6分だが, ここでいきなり歩き出すのが私. もちろんいきなり非観光地区をふらふら一人歩きするのはあまりよくないのだろうが, 突っ切る団地の中はこざっぱりしており, 新築のマンションも建築中, 中庭では子供や親子連れがのんびり遊んでいるのをみると, まあ大丈夫そうという感じ. もちろん地図は出さない, 道を知らなそうな顔をしないですたすた歩くとか, それくらいはしたけれど, あまり意味ないか?
駅から右に進み, 団地の中をつっきると視界にちらちらブラティスラヴァ城が入るようになり, 大きな道路を横断して(信号ないんかい!)しばらくいくとドナウ川沿い, すぐに展望タワーのある橋, Navy Mostに出て, 自動車道より一段低いところについている歩行者自転車用の通路を渡るとそこが旧市街. 所要約30分.

[旧市街散策 : 観光用?]

Navy Mostの北, 道路を挟んで西側がブラティスラヴァ城(Bratislavsky hrad), 東側が聖マルティン教会(Dom sv. Martina).

実際のところブラティスラヴァには特に有名建築物や素晴らしい美術館博物館などの観光資源がある訳ではなく, ただぶらぶらするだけという感じ. 道路沿いに少し北に上がり, 旧市街区域をぐるっと回りこんで北端の入口, ミヒャエル門(Michalska Brana)へ. いきなりカメラを構える老人の集団に遭遇. 門を潜るとそこから旧市街. 石畳の道と両側の家並みは旧市街らしい雰囲気を漂わせているが, よく見ると飲食店や小さなミュージアムとか教会などばかり. いくらかあるお店は専門店で土曜は休み, あいているのは旅行代理店, とかそんな感じ. しかも話を聞いていると, 軒並み英語かドイツ語. どうやら観光客ばかりらしい. なんか普段の庶民の生活の場と観光用の旧市街はまるっきり違うみたいね(苦笑).

その後旧市街北側に伸びる地元民用(?)ショッピングゾーンへ行ってみたが, こちらもトラムウェイ沿いで広く明るく, 店もだいぶ開いていて賑やかだった. なんだかんだいっても西側圏の店のチェーンとかもよく目につくし, 聞こえてくる音楽も軒並み普段聴きなれたもの. 普通に暮らせる人にとってはもうあまり国境の隔たりはないのだろうか.
中央広場(Hlavne nam)に出るといきなりヒノマルが目につく. 一瞬何かと思ったが, 日本大使館らしい. 中央広場に面して大使館持ってる日本っていったい….

[飯, ビール]

特に何をするでもなく12時くらいまでぶらついて, 昼飯. では早速とビール(Zlaty azant)を頼んだら…ん, 確かに美味い. きめが細かくてマイルド系. 結構ピルスナーと似ているという意味でもチェコと質が近いのだろう. これで500mlで65 SKKというのは1.5 Euro程度, 約200円. ん〜リーズナブル, なんて思ってたらあとで別に入った店では更に安く30SKK! そりゃこれなら飲むだろう(笑). 飯はドナウ産という文字に引かれてマス(Trout)を食べたが, まあこれは普通か.
ちなみにウィーンから近い地理的要因ゆえか, 歴史的背景ゆえか, 英語よりドイツ語の方が話は通じやすいようだ. 支払いの時, "Bill, please."といったら"Grosser...?"と返されてしまい(Beerと思われたらしい), 慌てて"Zahlen bitte"といい直す. いやまあ私のrとlの発音が悪いせいも多分にあるだろうけど. 広場で露店を広げていたおばちゃんも, 後の店の若いお兄さんもみなドイツ語で, 場所によっては英語は通じにくいようだ.

[ブラティスラヴァ城 : 博物館集合?]

食後はBratislavsky Hrad(ブラティスラヴァ城)へ. この城, 実は火災焼失のため, 再建後まだ40年も経っていないいわば新築物件で, 街のシンボルとしては良いけれど, 特に建物自体が歴史的なわけではない. それを意識してかどうかは知らないけれど, 城の内部はなにも飾っていないただの部屋, 代わりに美術や各種博物館になっている. 小山の上にあり, 上っていくと街の風景が開ける. 川の南岸を見るとマンションがずらりと並んでいてある意味壮観. へえこんなにたくさん建っていたのか. 北千里なんて目じゃないな(苦笑). 時々ごーごー音が聞こえてくるので何かと思うと, 川沿いを走るトラムであった. タトラカーの連接車だが, 列車のせいなのか線路のせいなのかよく分からないけど, 実は結構やかましい. 一瞬工事かなにかと(苦笑).
60 SKK払って中へ入ると, 作曲家Ballaの小さな紹介部屋みたいな音楽博物館があり(考えてみると, スロヴァキアの作曲家なんてろくに知らない), その後2Fの20世紀美術館の部屋へ. こちらはそこそこ分量はあるものの, 半分近くはUnknown Artistとか書いてあったりする. 更に後半は例のどこがすごいのかいいんのかさっぱり分からない現代アート(?)で, 適当にぱらぱら見ながら通過.
3Fへ上がると今度は歴史博物館. 並んでいるのは家具とか食器とかそんなのばかり. これまたどの辺がどの程度芸術的だったり価値があったりするのかあまり良く分からないまま, なんとなくぐるぐる見て回る.
最後の部屋から城の四隅にある塔の一つへ上がれる. ぐるぐる階段を上って窓が付いただけの最上部へ. ん〜, 眺めはいいけどこの狭さだとやっぱりちょっと窮屈だよなあ. 地下牢よりはずっといいだろうけど, あまり長くこんなところに閉じ込められたりするとさすがにうんざりしそうだなあ, とかどうでもいいことを考えた. いや, 別にこの城は誰も閉じ込めてないと思うが….
これで終わりかと思いきや, 装飾時計がずらりと並んだ部屋が. 時計博物館とかいう小さいのが城に隣接してあったような気がしたのだが, 引っ越してきたのか? これは芸術性は知らんけど見ていて楽しい(笑). 更に進むと今度は武器がずらりと並んだ一角が. これも近所に武器博物館があったような気がしたのだが, 引っ越してきたのか? 個別に小さいのをぐるぐる回るよりは便利は便利だろうし, それで値上がりもしてないのならオッケーだと思うが, 実際のところは知らない.
ちなみに途中で便所に行きたくなってしまい拝借したのだが, 料金は3 SKK. 困ったことに20 SKKより小さい小銭がなく, 迷った挙句, 10 Eurocent硬貨(約4SKK相当)を置いて来た. 果たして喜ばれるか嫌がられるか….

[川沿い : 憩いの場?]

旧市街南には割と広い帯状の緑地帯兼噴水地帯? があって, ここの通り沿いは結構人出で賑わっていた. まだ20度そこそこなのに人気があるのか, 一軒のアイス屋さんには行列が出来ていた. またドナウ川沿いも散歩する人が結構いる. ちょうどウィーンに向かう船が出港するところに遭遇し, のんびり眺める. 川沿いにはその他有名…なのか良く分からないが船の形をした水上ホテル, "Botel Gracia"なんてのもあって結構目立つ. どちらも広々としていてすっきりしているので, 休憩にはもってこいの場所なのだろう.

[Navy Most : それでも7時間]

まあこんな感じで, さして観光資源があるわけでもない街にしてはしっかり7時間滞在し, 帰りはNavy Mostから90番のバスで駅へ向かう. こちらのバスは自販機でチケットを購入. 時間制で10分以内, 30分以内, 60分以内とあるが, 10分で十分と知りつつ30分分購入. 昼飯が存外安く上がってしまったため, 20Euroもとても使うことはなく, SKK余りまくりのおまけ. まあ料金差は4SKKなので13円ってとこだが. バスは20分おきで重連バスだった. 駅で降りたのは3人だけで, その割に結構混んでいたから一般市民にも結構使われているのだろう.
バス停4つ目でPetržalka駅前に到着. 例によって放送はないが, 最前部に停留所の名前が電光掲示板で表示される. 出国のパスコントロールも発車前だから少し早めに駅に着こうと思い, 余裕を持っていったのだが, 実際にコントロールが始まったのは発車のほんの10分前. 早く行く必要は全然なかった. 行きよりはもうちょっとだけ混んでいた車内でうとうとしながら1時間でWienへ戻り, 遠足はおしまい.
観光専用みたいな地区できれいな街並みだが, その割に人でごみごみしていないので, 単に街の雰囲気を味わうという意味では1日を過ごしやすい街ではあったかな. でも観光で2泊以上はする気しないだろうなあ.

現地の行程

参考

• žはロシア語のЖ相当の発音.
• ウィーン南駅からは北側のBratislava Hlavna stanica(中央駅)と南側のPetržalka(ペトルジャルカ)へいく列車がある. どちらもコンスタントに1時間に1本あり同様に使いやすいが, 中央駅の方がやや旧市街に近く, また値段も安い. 通常料金よりはAusflugsKarteを購入した方が, 若干だけ安くなる(いわなくても出してくれた). また南駅北側のSüdtiroler PlatzよりSchwechat空港経由でバス便もあり, これもかなり安いのがある. 列車バスともすべてÖBB(オーストリア国鉄)のサイトで検索可能.
• 前日の為替相場は1 Euro = 40.195 SKK. 結構あちこちに両替商があり, 駅1 Euro=39.0SKKに対し, 旧市街では39.3-39.4辺り, 商店街では39.4-39.6辺りで出ていたようだ. 現在のところはまだ物価が安いので, どちらでも円やEuroに換算するとたいした差ではないのだけれど.
• バスの券売機は(少なくとも買ったところでは)10 SKK以下のコインのみしか受け付けず, 駅両替ではどうせ札しか出てこないので, 初めてこちらに来てバスに乗る人はinformationでチケットを買うようだ. なお自販機でもここはちゃんと釣銭が出てきた.
  10分券は14SKK, 30分は18SKK, 60分は22SKK.
• BratislavaはWienから船でもいける. 4-10月で, 運行はDDSG Blue Danube Schifffahrt GMBH(英語有).