ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 37

クリスマス色の夜景、ブダペスト(ハンガリー)

2005年12月17-18日(土,日)

中欧全体地図

[夜景の街?, ブダペスト]
オーストリア東部で国境を接するハンガリーは, ドイツなどよりむしろ近いにもかかわらず, 国境付近の西部には訪問済のSopron/Fertõdなどを除くと, 私好みっぽい観光地へのアクセスがよくなく, つい後回しとなっていた. が, やはり首都ブダペストくらいは一度は行かねばということで, 昨年のチェコに続き冬期オフシーズン旅行を組んだ. 夜景のきれいな街という事で, 一応夜の長い季節, 特にアドヴェントでもそれなりに眺めを楽しめるだろうだろう, という目算もあった. 大きい街故出来れば2泊したかったが, 仕事が少々切羽詰っていて休める状況ではなかったので通常の週末一泊二日のみ.
Wienからの直通便で行くのが通常ルートだが, そこはひねくれ人間(?), 南東部Grazから日に一往復直行便が出ているということでこちらを利用, 地元で12/8に往復チケットを購入. ただこの12月のダイヤ改定でオーストリア区間が座席指定不可のEURegio, ハンガリー区間が全席指定のICという形に変更になり, その関係でオーストリア側発券システムのハンガリー国内線特急に関する座席指定対応が間に合わなかったようで, しかたなく行きは予約無しで乗り込む(窓口のおじさんがそういっていたし(苦笑)). 帰りの座席指定は到着日, 12/17にBudapestで現地購入.
宿の予約は12/15に毎度のHotel Reservation System(HRS)より行った.


[平原地帯 : Szentgotthárd → Gyõr]
Szentgotthárd(セントゴットハールド)でオーストリア-ハンガリーの国境を越える. 越境走行中に出国の, Szentgotthárdに到着後に入国の審査官が来て両方ハンコを押してくれた. これでSopron, Fertõszentmiklósに次いで, Jennerdorf&Szentgotthárdのハンコもゲットした訳だが, 一番というか, 9割以上の日本人が越えているだろうHegyeshalomだけ通ってないところがやっぱり私.
ここからは国境付近をCsornaまで北上し, Sopronから来るGySEV線と合流する. やや田舎の路線で, 両側はひたすらひろがる平野だ. 山がちのオーストリアとは対照的な, 広大なハンガリー平原の最西部だね. Szentgotthárd, Körmend, Szombathelyと止まるうちにあっという間に乗客が増え, コンパートメントは満席に. Szombathelyで私の座っていた席の指定券を持った人が現れた時はあせったが, 同室内にもう一つ空きがあったので追い出されずに済み, 助かった(苦笑). Csornaから先は幹線ルートになるのでわざわざこの列車に乗ってくる人もほとんどいなかったしね. Gyõr手前ではちょうどWienから来た線路を走るEN467と併走してラッキー♪ つまりあちらが20分遅れていたということだが, なにせZürichから来る夜行なので, あちこちの客車が混在していて見ていて面白い. Gyõrを過ぎると北側にゆるやかな丘が連なり始め, Tatabányaを過ぎるとやがて一気に家が増えてBudapestへ. 市街の南側をぐるっと半周し, 東駅へと到着. ちなみにこのIC916/IC917は名前をHALÁSZBÁSTYA(ハラースバーシュティヤ=漁夫の砦)というのだと, 帰ってきてから調べて分かったが, 車内放送では遂に一度も聞き取れなかった. マジャル語はムズカシイ….
[検札は? : Budapestの地下鉄]
さて, Budapestの公共交通機関の名物(?)らしい検札. 他の西欧の都市交通とは違い, ここの通常一回券は乗換え不可であるため, 結構な頻度で間違えて罰金を取られた人の話を聞く. また共産圏崩壊後しばらくスリの温床ともなっていて, 被害者も多かったとか. という訳で, かなりドキドキしながら地下鉄乗車. …来ませんね, 検札. スリっぽいひともいないし. 結局滞在中地下鉄3回, トラム3回, トロリーバス1度乗ったが, 検札もスリも皆無であった(もちろんスリは推定だが). 最近はそんなものなのであろうか? まあちゃんとチケット買っていれば普通に利用できるというのはなによりではある.
[街並の見物と博物館]
初日は街をぶらぶら歩くのが好きである. という訳で早速ぶらぶら. Moszkva térの近くのショッピングセンターMammutは土曜の昼ということで大賑わい. そのままMargit橋まではちょっと古そうな建物が並ぶが, 北側のMargit橋からの眺めはなかなか素敵だ. そのまま西駅の方へ歩いていくと, 結構店が並び賑わっている. アドベント期間のせいか, 土日でも軒並み店が開いていて活気があるのはいいね. 結構オーストリアでも見かけるチェーンが並んでいて, もうだいぶ入り込んでいるのだなという印象を持った. ぐるっと回ってAndrássy通りに入り, Deák広場からVáci通りへ. この辺になると歴史的な雰囲気の建物や高級な店なども増え, 観光客がぞろぞろ. オフでもやはり結構来るんだなあ. 夏はどれくらいなんだろうか? 観光客ばかりだとどうかと思うが, 地元民入り混じって活気がある旧市街というのは素敵である. 途中コダーイとリストの博物館に寄ったが, …まるで普通のアパート(苦笑)? まあ行くことに意義があるということで….
[お待ちかねアドヴェント夜景は雪の中]
Váci通りへ入る頃にはほとんど暗くなっていて, 通りのクリスマスライトアップもだんだん鮮やかに. この辺りから雪がちらつき始め, 実際にはクリスマスに雪なんて, こちらでも平地ではたいして降りはしないのだが, それでもやはりクリスマスと雪はよく似合う. 店も遅くまで開いているので土曜の夕方でも賑やかだ. 北側のVörösmarty tórにはクリスマス市が立っており, 地元民も混じって大賑わい. 例によってGrühweinを一杯. 別に味わって旨いものでもないけれど, 寒い時に外で飲むにはやっぱりいいね.
次いで鎖橋を渡り, Buda側の斜面を登る. 夜10時までやっているケーブルカーで上れば楽なのだが, そこは当然階段. しかしあちこち凍っていてつるつる, 降りてきた人が軒並み滑っていた(苦笑). さすがにだいぶ冷えてきたよ. いい加減晩飯にしなきゃ. まもなくたどり着いた丘の上はうって変わって静か. 観光客がぱらぱらうろついているが, 17時過ぎで王宮関連博物館などは閉まっているので, 大方丘の上のホテルの宿泊客かな? 雪の中の聖マリア教会(マーチャーシュ教会)もライトアップされてきれいだ. 裏の漁夫の砦へのこのこ行くと, もう夜で料金収集人もいないのか, ただで入って歩く人の姿が. 私も便乗(笑). 眼下を流れる黒々としたドナウの流れとライトアップされた橋, そして対岸に並ぶ国会議事堂などの建物の眺めは素晴らしい. 川沿いの建物が高いせいもあってか, その奥の街並自体の夜景はイマイチぱっとしないが….
[そこまでしてくれなくてもねえ…な夕食]
王宮の丘を北側から下りて再びMoszkva広場へ出る. マクドナルドとかはもちろん目に入るのだが, なんかどこにレストランがあるのかよく分からんので, 結局地下鉄に乗ってDeák広場まで戻る. ぶらぶらその辺りを歩いて, 結局鎖橋近くのホテルのレストランで夕食に. 昼飯を食っていないのでさすがに腹が減った(笑). シェフお勧めとかいうバラトン湖産のお魚料理で即決.
ところでその店中では音楽を奏でる3人組が. 私が日本人と見るや, ご丁寧に荒城の月と上を向いて歩こうとかやってるし. いや別にここでやってくれなくても…と思うんだけどねえ…. そういえば, 途中でやたら懐かしの曲, たしか中学生時代に吹奏楽部の部活でやった曲をやっていたのだが, 曲名が思い出せなかった. 不覚.
さあ, 腹は満たされたので宿に帰ろう…の前に, 駅に寄って(逆方向だけど), 帰りの列車の座席指定とっておかないとね(苦笑). さすがに21時近いと, 窓口もガラガラ. 10以上ある窓口のうち一つしか開いていなかったが, 並んでいる客も1,2人ということで全然問題なし. すっと英語で座席指定券を確保して, 宿へと戻る. せっかくなのでMargit橋の東側で下りて, 橋は歩いて渡って夜景の見納め.
Budapest Night
左に国会議事堂, 右に王宮, 中央に鎖橋, その奥にゲッレールトの丘, それぞれライトアップされて美しい. 雪の積もった橋の欄干でデジカメを固定することをサボったため, せっかくの写真がブレまくって残念だったが….
[丘の中腹ほかほか小部屋]
今回のお宿はII区, 王宮北側バラの丘(Rózsadomb)の上りの途中にある, Hotel Papillon. 実はこれ, 歩き方に乗っている…. 別にそれが理由で取った訳ではなくて, 値段の安さと(26Euroオフシーズン価格)とII区の治安の良さと, 二日目にSzentendreに行くときMargit hídの駅に近くて便利かな, という理由だったのだが, 駅周辺はともかく旧市街全般は特に治安は問題なさそうだし, 結局Szentendreへ行く時間はなかったので, あまりメリットはなくなってしまった.
それはともかく, 坂をえっちらおっちら上る. 私は一泊二日の軽装だからいいけど, キャリアーやスーツケースごろごろ引きずって上るのはちょっと難儀かも. Váci通りやDeák広場などからもかろうじて歩ける距離ではあるけれど, やはりちょっと遠い. ただ対応は全般によく, 部屋もこじんまりしているがさっぱりしていて, この値段なら十分快適だった. なんか裏で増築工事をやっていて昼間はトンカンやっていたが夜は確かに静かだったしね. 室内暖房を効かせすぎて夜中暑すぎ目が覚めてしまったのは不覚だったが, まずまずよかったかな. 帰りに"I wish to see you again?"と言われたので, 思わず"I hope so"と(苦笑). いつぞやのLienzのノリ(Part 3, Großglockner)だが, 実情を考えると, 再びBudapestに来ることが果たしてあるのやら….
[神秘の地下迷宮はちょっとやりすぎ]
二日目の観光はブダ城の地下迷宮見学から. 9時頃宿をチェックアウトし, そのまま王宮の丘へ上る. うん, 今日はいい天気だ. 9時半前に迷宮入口脇を通りかかるとまだ閉まっていたのでしばらく街中をうろうろ. 丘の上にもいわゆる旧市街っぽい家が並んでいるので, 雰囲気はよい. 10時過ぎに再び通りかかった時にはもう開いていたので早速中へ. この時間のせいか, シーズンオフのせいか, それともそもそも人気がないのか, 中はガラガラで, 料金を払うと私一人, いざ地下トンネルへ.
で, この迷宮自体はもちろん昔の人が掘った歴史的遺物なのだが, 中はすっかり観光地で, 照明を暗くしたりSEをスピーカーから流すくらいはともかく, 壁にラスコー壁画とかのレプリカを描いてみたり, よく分からん像が立っていたり, 挙句は(もちろんフィクションと注釈付だが)アヤシゲなPCのキーボードの跡とか靴の跡とか, 「不思議なものが発見された!」と称して飾ってあるし, 面白いんだけどなんか苦笑いが出るというか. で, あの展示物の中に本物はあったのか? もはやそこすら分からんし. ちょっと過剰演出過ぎ.
[冬でも青きドナウ]
続いて王宮の丘南端にある, 王宮の歴史博物館を見学し, 出てくると昼過ぎ. 結構広かった(苦笑). 王宮前からはドナウとペシュト側の展望がいい.
Pest and Donau
空は素晴らしい青空で, 太陽を背にして北側を見ると, ドナウ川も一応青色だ. 「美しく青きドナウ」は青空の時に太陽と反対側を見たときだけ, だよね(苦笑).
[お土産はいつもよりちょっとだけ高価]
なにせ普段はただでさえきちきちの予算をより多くのところへ訪れることに使うため, お土産にかけるお金はろくに残らないのだが, 今回はブダペストだけで, しかも一泊二日ではあまり博物館なども多く回れず, やや余裕があるため, 少し奮発してお土産を買うことにした. で, ハンガリーといえば磁器と貴腐ワイン. 前者は王室ご用達Herendをはじめ, Zsolnay, Hollóházaと有名なメーカーが並ぶが, 一枚だけHerendoを持っていても仕方ないし, それならもう少し安いらしいZsolnay製品をセットかペアで買おうかと. とりあえず事前にネットでざっと調べていこうと思ったのだが, ぱらぱらチェックしてもなぜか実際の値段の相場が分からない(苦笑). その余裕のある予算内, つまり両替で作ったフォリントの残り額でティーセットが買えればいいなあ, とか思いつつ, 結局そのままのほほんと店へ入った訳だが, 店員が他の客を接待している間に陳列品を眺めると, 表示されているものはみんなよゆーで予算オーバー!(爆) 店員さんにちょっと待ってを繰り返すこと3度, うろうろ15分いったりきたりして買えそうな物のメドをつけ, なんとか小皿を2枚買って来ましたとさ(あはは). ヨーロッパで高級専門ショップに入ってからうろうろ物色なんてダメ観光客丸出し. 店員さんごめんなさい! いやまあ余裕があるといったって, どうせけちけち旅行の範囲内ではたかが知れてるので, さすがにあまりに安い予算で, 「この値段で買える物ありますか?」とは聞けなかった…. やっぱりちゃんと下調べをしていきましょう.
[乗って帰ろうトラムにトロリー]
さて, 宿に預けていた荷物を最後に引き取りに向かい, あと回数券が残り3枚ほどあったので, せっかくなのでトラムとトロリーバスを3本乗って駅へ向かう. トラムは豪快にボロいが, トロリーバスはいくらか新しいのも走っており, 結構快適. Margit橋の東から東駅へ向かう76番ということで途中下車の心配もなく楽であった(笑). やはり観光の際の移動は地下鉄より地上交通の方が楽しい. 駅到着は発車20分前. まあいい感じかな. さあ帰ろう. 今日は風が強い中だいぶ歩いたので, 少々疲れた. 5人乗り込んだコンパートメントは帰りもSzombathelyまでは3時間以上誰も降りず, 少々窮屈だったが, こことKörmendで全員下り, 後は一人占拠でオーストリアへと戻った.

さすがに一泊二日28時間の滞在, Budapest名物のオペラも温泉も省略という行程は, 一般的にはおそらく駆け足過ぎの旅行, 普通は二〜三泊は欲しいところだろうが, 私にとってはまずまず満足だったかな. …ゲッレールトの丘に上れなかったのはちょっと残念だったが.


行き帰りの行程

12/17
(Sat)
Graz Hbf dep 06:16 ER4760/IC917 ---
Budapest Keleti pu. arr 11:58
12/18
(Sun)
Budapest Keleti pu. dep 16:25 IC916/ER4761
Graz Hbf arr 21:58

参考


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