ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 29

暑い時には高原&峡谷、バート・ホフガスタイン&リヒテンシュタインクラム(オーストリア)

2005年5月29日(日)

[Gastein谷]
SalzburgからVillachへと向かう鉄道がHohe Tauernの3000m級主稜線をぶち抜く際に通るのがGastein谷. 標高800-1000mのやや高いところにある盆地のようなこの谷は, 一番奥のBad Gasteinで温泉が湧くこともあり, 歴史的な保養地であり, 同時に冬は広大なスキーエリアとなる. Bad Gasteinへは既に来たことがあるのだが, なかなか雰囲気がいい谷だったので今回はそのお隣, Bad Hofgasteinへ. ここからはケーブルカーとロープウェイで2000mで上がれるため, ここ数日の真夏日の暑さから逃げるのにもちょうどいいかということでやってきた.
この谷の近場, お隣の谷の入口には比較的有名な峡谷があり, 帰りに寄り道ということで, ついでにこちらも訪れることにした.

中欧全体地図
行程マップ

[駅から遠い : Bad Hofgastein]
Bad Hofgasteinの駅で下車するが, 街はこの駅から3km程離れている. 不便極まりないのだが, 鉄道は谷の最奥で一気に200m高度を上げる地形に合わせ, この辺りから斜面沿いをじりじりと上っていくため, Bad Hofgasteinの町付近では既に谷底から数十メートル上を走っているのであった. 駅前からまるで観光バスのようなバスに乗り, 10分ほどで市街中心部へ.
[こじゃれた保養地 : Bad Hofgastein]
町の中心部に到着したバスから降りて, まずちょっと歩く. 元祖保養地Bad Gasteinはかなり寂れている部分もあったのだが, こちらは比較的明るい雰囲気のさっぱりした町に感じるのは, 春の新緑と明るい太陽のせいだけではあるまい. 観光客と思しき人々がのんびりウィンドウショッピングをしながら歩いている. 日曜クローズのInformationの入口脇に地図やパンフレットが並んでいたのでそれを頂いて, もうすこしうろうろ. 今日もいい天気で11時にして昼前から早々暑い.
[健康増進?の泉]
町の外れ辺りを川が流れており, これを渡って駐車場を横切り, 自動車道路を潜るとお目当てのケーブルカー乗り場. しかしここのケーブルカーは1時間に一本だけ. 12時のケーブルカーまで斜面を少し歩くことにする.
山道を少し上ると鉄道の線路があり, 一応停車場があるが, 昼はほとんどすべてバス転換されているため現在は朝晩数本を除いて利用されておらず, 駅舎も荒れ放題どころか既に立ち入り禁止状態. そのうちまるまるなくなりそうだ. ここから林の中の道を少し歩くと水場があり, なにやら立て札が立っている. のろのろ読んでいたらちょうどいた中年夫婦が説明してくれた. なにやら右から順に腕を肘までつけて20秒, 健康増進にどーたらこーたら. へえ. 少し上ってきて暑かったところに冷たい水は大歓迎. 結構冷たくて気持ちいい. ここから少し歩くとGasthofがあり, テラスで飯も食えるようだが, さすがに寄り道していると次のケーブルカーにも乗れなくなるので, そのまま斜面を下り, 駅へ戻る. 後で知ったがここのGasthof脇の草原は鉄道写真の撮影ポイントらしい(苦笑).
[鉄道の下 : Schlossalm Standseilbahn]
さて, このschlossalmケーブルカーは川沿いの谷底から出発するが, 先に書いたように鉄道は既に斜面をだいぶ上っているため, ケーブルカーの出発直後に鉄道の高架橋の下を潜ることになる. 鉄道の下を走るケーブルカーって…. 20人くらいは乗ったか, ケーブルカーは森林帯と草原を交互に抜けながら高度を上げ, 約10分で中間駅, Kitzsteinへ到着.
[残雪の世界へ : Kleine Scharte]
KitzsteinはGasthausが一軒あるほかはハイキングルートの中継点になるだけで, 特に回りにはなにもない. ここで今度は丁度接続するロープウェイに乗り換える. ほぼ全員がそのまま大型ゴンドラのロープウェイに乗り換え, 間もなく出発.
Schloss Alm to Ankogel
まもなく森林限界を抜けて草地になる…が, 1500mを越えるとまだあまり緑ではなく, 残雪もチラホラ見え始める. この辺りは冬場はスキー場だ. 眼下のBad Hofgasteinの町が小さくなり, 谷奥のHohe Tauernの主稜線の奥, Ankogelグループの氷河まできれいに望める. うん, いい景色だ. まもなく頂上駅, 標高約2000mのKleine Scharteに到着.
がらんとした頂上駅から出ると, 正面にはまだあちこち残雪が残っていて涼しげだが, もちろん気温自体も涼しくて気分が良い. ぼちぼち雲が湧きだしていて, 日も適当に出たり翳ったりで暑すぎず寒すぎず. しかもこのロープウェイの夏シーズンは丁度機能スタートでまだ空いている. 正面に2577mのTurchlwandのピークを望むほか, 四方を山に囲まれた風景はグッド. ああ, こんなことならLiechtensteinとハシゴでなくて一日山の上でのんびりするのもいいなあと本気で考えた.
とりあえず正面のMauskarspitze(2373m)までいけるかなあと思ったが, 案外急だったのでやめ, その代わり一番谷側に出っ張ったピーク, Hirschkarspitze(2119m)の十字架まで行くことにした. 稜線を上ってゆくと, ところどころ隅っこにベンチがある. 背もたれに寄りかかると, その後ろは即急斜面でとても怖くて座れない(苦笑). ちょいちょいと15分くらいいくとすぐに頂上に到着. お兄さんが一人休んでいた. ここはちゃんと十字架を中心に外側向きにベンチがあるので, 安心して座り, のんびり一休み. さすが一番谷側のピークだけあり, 眼下の谷間も四方の山並もすべてきれいに見える. 実はこちらに来たのは大正解だったかもしれない. のんびり景色を眺めているとあっという間に時間が流れていく. 至福の時だな.
[…移動 : Bad Hofgastein → Schwarzach]
このままのんびり頂上駅の屋上テラスのレストランで昼食も, とも思わなくもなかったのだが, Liechtenstein Klammへ行くための列車(2時間に一本)に乗るためのバスと, 1時間に一本のケーブルカーの接続がどうにも悪い. ちょうどケーブルカーが下りた時間にバスが出てしまうのだ. 仕方なくビール一杯で1本早く下りる. Bad Hofgasteinの町のカフェで少し時間を潰し, バスで再び駅へ移動, 遅れてきた列車で谷下のSchwarzach-St.Veitの駅へ移動. ほんの15分だ.
[暑いアスファルト道, 急ぐハイキング道]
Schwarzach-St.Veitの駅前には先週オープンしたTauernbahn Museumがある. …人入ってるのかこれ?
その脇を抜けると, きちんとLiechtensteinklamm方面への標識が出ている. では線路をくぐっていざ峡谷へ出発. ここからしばらく坂を上りながらアスファルト道路を歩く. だいぶ雲が増えてきたが, それでも暑い. 牧草地帯が続く中に何軒か農家があり, 軒では子供が裸で水遊びをしていたりする. かなりすっ飛ばして歩くとようやく未舗装ハイキング路に入る. この辺りで峡谷入口までの真中だ. 遠いな. ちらっとSt. Johann im Pongauの町とTennen Gebirgeの山並が望め, すぐに森へと入る. 谷の下の方に沢の水音を聞きながらもうしばらく歩き, まもなく下り坂をすたこら下りると, ようやくLiechtensteinklammの入口に到着. 所要40分だったが, 入口に書いてあった標識によると, 実は1時間半のコースだったらしい. ちょっと飛ばしすぎ(苦笑). しかし途中すれ違ったのは一人だけ. まあ普通はみんなマイカーで来るよね….
[水しぶきの涼しい沢筋 : Liechtensteinklamm]
土産物売り場兼用みたいな入口でおばさんから入場チケットを購入し, いざ峡谷へ. いきなり両側は岩壁で空ははるか上の方だ. 結構深いんだな. この峡谷は約4kmあるが, そのうち下部1kmが遊歩道になっていて往復してくる. よく木道は整備されているようだ. 少し歩くとぐんと谷幅が狭くなり, 水がごうごう音を立てながら流れ落ちてくる. 春の雪解けシーズンだからか, 水量はなかなか豊富だ. 少々泥で汚いが. 狭い岩場を段々に水が流れ落ちてくるため, 腹に響くような振動が伝わってくるのもナイス.
Liechtenstein Klamm
スイスのトリュンメルバッハの滝とアーレシュルフトを足して2で割ったような感じというと, 褒めすぎかなあ? 勢いに乗ったまま速く歩きすぎて, ほんの10分で遊歩道最奥の滝に到着. もったいないことを!
[滝の前で一人休憩 : Liechtensteinklamm]
もうクローズ間近な時間のせいか, 単にこの季節だからか, 途中ほとんど人がおらず, 滝の前で一人ベンチを占拠しつつ休憩. 滝そのものはなにせ水の国日本の美しい滝にかなうものはヨーロッパではなかなかお目にかかれないような気がするし, 実際ここもそれなり, 程度だが, 正面で休んでいると一緒に吹き降ろす涼風と漂ってくる水しぶきで涼しい. 真夏日の早歩きの後の休憩としてはいいところだ. 引いていく汗とともに心地いい. ここもしばらくのんびりしていたかったが, 18時のクローズ以降まであまり粘ると悪いかと思い, 帰りはのんびり峡谷を振り返り振り返り堪能しつつ入口へと戻った.
さて, せっかく涼んだが, 帰りも暑い中, 同じ道を引き返す. 列車の時間には余裕があったので, のんびり今度は1時間かけて駅へ戻る. 行きは単に気づかなかっただけなのか, 途中牛だけでなく馬もおり, ちょうど道路わきの柵沿いでのんびりしていた愛らしい当歳仔と母馬とご対面できて, 疲れた帰り道が少し充足.

Bad HofgasteinもLiechtensteinklammもどちらも駅から遠いのが難点だったが, いい感じでリフレッシュできた一日だった.


現地の行程

5/29 Bad Hofgastein arr 10:29 EC111 --
dep 10:33 Bahnhoflinie
(Bus58)
1.8Euro
Kaiser Franz Platz arr 10:42
Bad Hofgastein中心街&周辺散策
Talstation dep 12:00 Schlossalmbahn
ケーブルカー
14.5Euro
(往復)
Kitzstein arr 12:09
dep 12:00 ロープウェイ
Kleine Scharte arr 12:15
Kleine Scharte散策,Hirschkarspitz往復
Kleine Scharte dep 13:40 ロープウェイ (14.5Euro)
Kitzstein arr 13:45
dep 14:00 ケーブルカー
Talstation arr 14:10
Bad Hofgastein中心街散策,休憩
Kaiser Franz Platz dep 15:06 Bahnhoflinie
(Bus58)
1.8Euro
Bad Hofgastein arr 15:15
dep 15:28(15分延発) EC314 1.6Euro
Schwarzach-St.Veit arr 15:47(15分遅延)
Schwarzach-St.Veit dep 16:25 徒歩 --
Liechtensteinklamm入口 arr 17:05
Liechtensteinklamm散策 3.3Euro
Liechtensteinklamm入口 dep 18:10 徒歩 --
Schwarzach-St.Veit arr 19:05
dep 19:25 R5037 --

参考


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