ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 45

春の訪れドナウの国境、ハインブルク(オーストリア)

2007年4月21日(土)

オーストリア地図
周辺地図

[多分一番お手軽]
この週はウィーンで会議があり, 土曜の夕方移動ということで土曜の午後まで半日空いた. 4月下旬と来ればもちろん新緑の季節で, ウィーン周辺でもいろいろハイキングできるところはある. ただせっかくならまだ乗ってない路線に乗ろうということもあり, ウィーンからドナウ沿いに東端まで行くPreßburger Bahnを制覇すると同時に, ドナウやスロヴァキア国境地帯の景色を眺めながら散歩してこようということにした.

[S7 : 空港を越えて]
Rennwegで朝のS-bahn 7の列車を捕まえる. 当然の如く乗客はほとんど空港行きで, トランクやスーツケース, キャリアなどの大きな荷物を抱えた人々がぞろぞろ. しばらくドア脇に立ってやり過ごし, 大多数の乗客が空港駅でぞろぞろ降りていってから座席に収まる. 残った客は車両に数グループ.
地下にある空港駅を出て, 地上へ戻るのとあわせて線路も単線になる. 出てきた直後は回りにぱらぱら新築中の一軒家なども目立ったが, まもなく畑と野原の風景に変わる. もちろん4月といえば菜の花の黄色い絨毯が素敵だ. 今日は快晴, ほとんど輝いて見えるよね. ところどころ風車の回るのんびりした田舎風景の中を走ること約30分. やがて正面右手にPfaffenbergの小山が見えてきてこれをぐるっと巻き, 高架線になって左側にふっとDonauの流れが現れるとHainburgへ到着.
[Hainburg : スロヴァキアへと向かう大河]
さて, Hainburg(ハインブルク)といえば, 町の南側にある対フン族要塞と, ハイドン関連の知名度が多少あるくらいだろうか. その少し西側にCarnuntum(カルヌントゥム)という実はアルプス北側では有数らしいローマ都市遺跡もある. 実際平日にでも来れば町の半日ツアーとかもあるらしいのだが, 今日は土曜日, そもそも私の目的は町見物ではないので全部パス.
まず駅北側の川岸へ降りる. この辺り, 南岸の河川敷は広々としてちゃんとベンチや散歩道もあり, ついでに川までいって水の中に手を突っ込んでくる. 川岸まで来たからにはこれはしなきゃね. うん, さすがにこの季節のこの辺りではそれ程冷たくない. 対岸にはウィーンのLobauからこの辺りまでずーっと続く広い林が広がっており, Donau Auen国立公園をなしている. かつてダム計画で広大な林の伐採予定とかいろいろあったようだが, 反対運動などもあって無事維持されたようで, 田舎へハイキングに来る身としては大変ありがたい. 川岸には船着場があり, 夏場などはスロヴァキアへの渡し舟などもあるようだ.
[→ Braunsberg : 迷いやすい田舎道]
少し町の中を通り, 本日の目的地, Braunsbergへ向かう. これは町の東側に岩壁を覗かせている小山…というか丘で, この丘を回りこむようにドナウが流れていく絶好の展望台である. 一般的には車で登れる車道付の丘だが, 手持ちのハイキングマップを見ると数十分くらいでいけそうなハイキングコースがちゃんとあるようなので, 今日はここを歩こうと. もっともこういう道はあまり歩行者には使われないから得てして標識がいい加減. アスファルトの舗装道路を歩いているうちはいいが, ここからハイキング路への入口が分からず, 間違えて一本下の林道を入ってしまった. 村の向こうにドナウの見えるロケーションに出て, いい眺めの道ではあったのだけどちっとも上り坂にならず, どう考えても変というところまで来て, 急いで引き返す.
分岐点まで戻り, 家の間の行き止まりっぽいところへ入りなおすと…ありました. ちゃんと登山道入口の標識が. ここからしばらくは林の中の道をジグザグに登って高度を稼ぐ. 実際それほど急ではないので, 真ん中あたりに直登する踏み跡も結構しっかり残っていたが, まあそこまではしなくていいだろう. いくつか展望が開けたところがあるが, さくさく通過しながら何度かくねくね折り返すとふっと林が開けて…道路へ出た…. なんかこういう展開はつまらないが, まあともかく頂上は道沿いにすぐそこ. もう一歩き. 到着.
[Braunsberg : 国境展望台]
頂上はもちろんいい眺め. 丘の北側を西から東へ流れるドナウは, 北東で90度向きを変え, 丘を巻いて今度は南へ向かう. 川の北側はオーストリア-スロヴァキア国境地帯の平野が延々と続く. 空気が澄んでいればチェコまで見通せそうだが, あいにくどこからチェコだか分からないが…. 東側, 南へ流れるドナウの対岸はもうスロヴァキアである. 対岸の低い山並の手前, 川のほとりにはデヴィーン城址が望める.
Ruine Devin
この城址はブラティスラヴァからのエクスカージョン先観光地としてガイドブックの隅っこに上げられていて, ブラティスラヴァに行った時も余裕があればいってみようかとも思っていたのだが…こう見下ろすと小さいね…. …なんか行く気が失せた(苦笑).
南東側, ドナウが再び東へ向かう先にはブラティスラヴァが望める. ここからはもう10kmもないはずだ. 近いね. ブラティスラヴァ城の4本の塔が綺麗に見えているが, やはりどちらかというと周囲のマンション群の方が目立つ気がしなくもない….
まあいずれにしても, このあたりで国境地帯を望むには最適なポジションなのかもね. 車での訪問客もぱらぱらといたし.
[→ Wolfsthal :また間違えた]
しばし景色を堪能したのち, 下り道へ. ここでは東側のドナウ河岸へ降りる道をとる…ハズだったのだが, 降りていく行き先表示のないハイキング路は, 途中から南, 西と向きを変え, 結局南西側のHainburg-Wolfsthal間へ降りてしまった…. …まあ時間があまりなかったので結果的には助かったという気もするけど, なんか適当に歩くと道を間違えるなあ. 仕方ないので予定を変更してそのまま少し歩き, Wienから続くサイクリング路へ出る. もちろんサイクリングをする人々はぱらぱらと通過するが, さすがにこういうところを歩く人はほとんどいない. 畑や草原の中の道なんてずっと歩くにはちょっと退屈だものね. ノイジードラー湖岸のサイクリング路も同じだった. ただ今の季節, やはり菜の花の咲き乱れる畑は綺麗だし, 線路沿いの道なので, うまく時間を調整して終点Wolfsthalからやってきた列車を撮影. 更にWolfsthalに向かうに連れて大きくなってくるBratislavaの街並もいい目印になる.
[→ Wolfsthal : 怪しいモノではありません]
Wolfsthalも近づいてきてそろそろおわりかなあと思いながら歩いていると, 道の正面に兵隊姿の若者が二人. 回りのサイクリスト達はその脇をすいすい抜けていくが, 私は捕まってしまった. 証明書を見せなさい. ごそごそリュックを漁ってパスポートを出す. まさかこんな観光客がいないようなド田舎に偽兵隊はいないよね…. ぱらっとめくって日本人であることを確認し, ビザをちらっと確認して解放. もちろん怪しい者ではないので別に何も問題はない. 止められてウザイだけ. …今でもたまには歩いて越えてくる不法越境者とかいたりするのだろうか?
サイクリング路から車道に出るとすぐに本日の終点, Wolfsthal(ヴォルフスタール)の村へ到着. ここがPreßburgerbahnの終点駅だ. ちなみにPreßburgはBratislavaのドイツ語名, 実際Bratislavaまではすぐなのにこの路線は行き止まりで, Bratislavaへは南北Bruck/Leitha経由やMarchegg経由の路線で繋がっている. ヘンなの. 折り返しのWien方面行き列車は先ほど道中抜かれた車両で, もちろんもう到着して止まっている. 田舎駅らしく, 土曜の昼下がりは窓口も閉まっているが, 自販機はちゃんとあるのでチケット購入は最近はかなり問題なくなってきたね. 田舎駅なんて確かに時刻表と自販機とベンチと便所さえあればいいのかもしれない. まもなく駅舎から車掌と運転手が出てきて出発進行. さあ, ウィーンへ帰りましょう.

まあ半日弱の短い行程ではあったし, 散々道を間違えて少々当初の予定とは変わったが, 眺めはよかったし春らしいいいハイキングではあったと思う.


現地の行程

4/21
(Sat)
Wien Rennweg dep 10:15 S7 Wien市内券+3.3Euro
Hainburg Personenbahnhof arr 10:40
dep 10:50 徒歩 --
Donau Ufer arr 10:45
dep 10:50
登山道分岐 arr 11:00
dep 11:05
登山道分岐 arr 11:21
dep 11:40
Braunsberg arr 12:35
dep 12:40
Hainburg/Wolfsthal間登山口 via 13:00
Wolfsthal Bhf arr 13:15
dep 13:45 RSB2 Wien市内券+4.2Euro
Wien Rennweg arr 13:56

参考


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