ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 27

谷間を縫って古城訪問、カンプタール(オーストリア)

2005年5月21日(土)

中欧全体地図
行程マップ

[新緑の季節パートII]
先日のRetzと並び, オーストリア北部で目をつけていたのがここKamptal. こちらはWaldviertelにあり, Wachauと並び, ワインの産地として有名だが, 知る人ぞ知る, ヴァッハウ似のハイキングコースでもある. 似ているといっても, もちろんKamp川はDonauoと比べるべくもない小さな支流だが, 緑豊かな周囲には遺跡や古城や修道院などの見所が並ぶ. やはり標高は低いのであまり暑くない内に…ということで, 続けてのハイキングになった.

[まずはワイン畑地帯 : Hadersdorf-Langenlois]
Krems行の列車から乗り換えのHadersdorf駅の南側は線路脇がそのままワイン畑だったりする. さすが田舎. 列車は当然5047系ワンマン…だが重連であった. 平日はそれなりに使う人もいるのかな? とはいえKamptalのワイン集積地であるLangenloisはそれなりに人もおり, 周囲には庭付き一軒家が立ち並んでいる. この町にはワインテースティングも出来る有名なところがあるのだが, 今回はパス. そのまま通過.
[山間のリゾート地 : Gars]
Langenloisからは陽光の元緑のまぶしい緩やかな谷間に入ってゆき, しばらくのろのろと走る. やがて正面の小山の上ににぱっとGarsの遺跡が覗くと, 右手東側に家が並び始め, まもなくGars-Thunau駅に到着.
Gars(ガース)の駅は川の西側にあり, 駅前の歩行者用の狭い橋を渡っていくと, 市内の北端辺りに出る. のんびりした雰囲気の建物の間を南に下りてゆくとすぐにHauptplatz(中央広場)に出る. こちらはうって変わって賑やか, なにやら市が立っている. それでも全般にはゆったりした雰囲気で, やはりその辺り自称ハイソだかセレヴだかなんだか良く分からない人々が集まる身近な保養地たる所以…なのかもしれない. 再び川の西側に渡るため, 自動車用の橋の方へ向かうと, 正面にでんといかにも廃墟らしいRuine Gars(ガース遺跡)が聳えている. という訳で, まずはここから.
[廃墟らしい廃墟? : Ruine Gars]
橋を渡ると廃墟は右からという矢印があるが, とりあえず無視して左側の坂を上る. すぐに石段があり, これを上っていくと, 遺跡の南側にくっついているGertrude教会の墓地へ出る. ん〜今日も結構暑いな. 墓地の中を抜けて更に廃墟の裏側へ上がっていく坂を進むと, ようやく入口に到着. ここに駐車場があるが, ボチボチと歩いて上がってくる人が多いようだ.
さて, この遺跡はBarbenbeger王朝のもので, 最古の部分は10世紀後半のLeopold IIによるものらしい. ご多分に漏れず, その後増築がなされ新しい部分は17世紀まであるらしいが. 今にも崩落しそうな建物の内部は残念ながら基本的に立ち入り禁止だが, 1箇所Garsの町側を望める展望台からのながめは素晴らしい. 当時, 建物の内部からも同じような眺めが見えたのだろうか. 真中の中庭部分にひな壇と客席が設置されており, なにやら夏場はイベントに使うらしい. ぐるっと一周して出てくる. 帰りは行きに通らなかった廃墟北側の坂を下る. 高々100mかそこらなのだが, 案外坂がきついのだよな(苦笑).
[では谷間を…ではなく : Gars-Rosenburg]
再び駅に戻ってくると, そのまま線路沿いに谷間のハイキングコースを北へとハイキング開始. ただしこの辺りはハイキング路というよりサイクリングロードのため, 時々自転車で通っていく人はいるが, 歩いている人にはついぞ出会わなかった(苦笑). しばらくは谷沿いにぽつぽつと家も並ぶ, のどかな郊外を歩く. Kameggの停車場を過ぎると線路より一段高い林の中の道を歩き, これを抜けるとStallegg. ここからようやくサイクリングロードと別れ, 真っ当なハイキングロードになる. 時刻は12時過ぎでもう25度近く, さすがに上りはかなり暑い. 林の中の道を, 下にちらちら線路と川を見ながら登って降りて, Rosenburg手前の分岐付近でちょうど通過列車を見送る. ここから線路を潜って右へ行くとRosenburgの村だが, 時間の余裕もないので, 左の林道をそのままSchloss Rosenburgへと向かう.
[やっぱり地図は2.5万分の1? : Rosenburgへ]
さて, この林道をそのまま上がっていけばRosenburgのお城脇へ出るはずなのだが, しばらく歩いていくと道がくねって, なんか微妙な方向へ…. おかしいなあ, 一本道のはずなのに…とよくよく地図を見直すと, 小道の破線が切れている部分で道がカーブを切っていて, 確かに林道は違う方向へ続いていた…. ということは標識もなにもなかったけれど, おそらくカーブし始めの辺りに林の中へと突っ込んでいくハイキングコースがあったのであろう. このあたり, 5万分の1だと必ずしも細かい道をフォローしきれないので厳しい. まあこの道をそのままいっても2.5倍くらい大回りになるが城にはたどり着けるので, このまま行くことにする. ふう.
[ルネッサンスのお城 : Schloss Rosenburg]
このSchloss Rosenburg(ローゼンブルク城)は, ルネッサンス期, 1175年のお城だ. 入口で入場料を払うと, ガイドツアーは14時だという. どうやら城の中はガイドツアーでないと見られないらしい. ゲートを抜けると明るい草地の庭があり, その右側のゲートを潜るともう一段低いテラスで, そちらは鷹の飛行ショーが見られるそうだが, これは15時だとか. そのまま城の中庭まで行くと, チャペルと図書室があるが, このチャペルからなにやら歌声が聞こえてくると思ったら結婚式の真っ最中だったらしい. どうも見学という訳にも行かないらしく, これではツアーに参加しない限り, もはやなにも見るものはない. 本来はここのお城は軽く切り上げて, 最後のStift Altenburgへ向かおうと思っていたのだが, 予定を変更してこちらを見ることにする.
とりあえず城内のカフェで時間を潰し, 城の見学ツアーに参加. 時間になるとどこからともなく人が現れ, 最終的には30人近く参加者がいた. 若いおねえさんのガイドは当然ドイツ語のみで, 外国語テープなど一切なしの中, ぽちぽちと分かるところだけ聞き取りながらついていく. 特に際立ってめぼしいものがある訳ではないようだが, それなりに楽しい. そしてやはり窓からのKamptalの眺めめは素晴らしい. 逆にRosenburgの町側から見れば, お城もきれいに望めるのであろう. 裏から上がって裏から降りる時間しかないのはちょっと残念.
[魅惑の飛行ショー : Schloss Rosenburg]
ここはかつての鷹を使った猟の名残で, 鷹を飼いならして, 飛行ショーを行っている. という訳で, 50分の城内ツアー後, そのままぞろぞろこちらの庭へ移動. 最初は若い鷹からで, 最後は翼を広げると2m近くなる大きいのまで出てくるが, わざわざ客の頭上すれすれを飛んでいったり, 良く慣れている. 確かにこう間近で見ると, 降下してくるときの速度はかなり速い. さすがに兎とかにも追いつく訳だ.
Rosenburg Falkon Flug
もっとも主の腕に着陸失敗したり, ご褒美の肉の空中キャッチに失敗したり, なんか結構ご愛嬌満載?(苦笑)…の30分であった.
[爆走! : Kamptal]
Schloss Rosenburgから次の目的地Stift AltenburgまではKamp川沿いのハイキング路を行く. もう修道院見学はおろか, 一本しかない接続のバスにすら際どい時間になって来ていたので, 鷹ショーが終わると即出発. 蛇行する車道をショートカットして川沿いまで下り, 橋を渡って北岸に出る. しばらくは舗装路を歩く. ちょうど西日が正面でまぶしいが, 行き止まり路のため車の通行もなく, 歩き易い道だ. やがて舗装道路が終わると, 本格的にハイキング路になる. まだ新緑の明るい若葉色の葉が西日を浴びて輝く中, Kamp川がゆったりと蛇行していく. 車道からも離れているために自動車の騒音もなく, ここまでは来る人もいないのか, 独り占めの景色はグッド.
Kamptal
さて, この蛇行の途中で, Altenburgへ抜ける作業用非ハイキング路があるはずなのだが, 注意していたにもかかわらず見逃してしまい, またもや通過. ここも日の向きからおかしいなと思ったのだが, 例によってハイキング路の標識以外はなく, ここで迷ったらもはや今日中に帰れなくなってしまうため, そのままこの大回りのハイキング路を行くことに決定. しかしながらまたも3倍増, 4km近い上り下りの細い道をバス停まで残り45分. 当然普通に歩いたら間に合わない. しかも谷間から一度稜線を越えるため, 50m近く上る必要がある. という訳で, 途中からハイキングそっちのけで谷間を一人爆走する羽目に. いやあしんどかった. ようやくStift Altenburgの建物が見えたのが17時丁度. ここから今度は再び谷をひとつ越えねばならず, 数十メートルの谷間を下りて上って. 10分で谷を上りきり, そのままゲートからちらっと中を覗きこんだのみで涙を飲んで, 修道院は通過. 悔しい…. なんとか時間にバス停に到着し, ダイヤを確認して再び道路を見ると, 既に向こうからバスが現れてこちらに向かってくるところであった. 間に合った….
ここから北東部は林が途切れ, 緩い斜面は一面畑と草原. 菜の花の黄色がまぶしい. バスはすいすいと下りて行き, 10分でHauptplatzに到着. ここでそのままWien行きのバスに接続し, 無事帰路についたのであった.
最後時間が足りず文字通り駆け足&省略になってしまったのが残念であったが, 音楽やチロルやいつも住んでいる町周辺とは違ったオーストリアの一面はそれなりに楽しかった.

現地の行程

5/21 Wien Spittelau dep 08:57 R7106 --
Hadersdorf arr 09:58
dep 10:08 R6211
Gars-Thunau arr 10:43
Gars市街,Ruine Gars 徒歩 --
Gars dep 12:05 徒歩 ---
Rosenburg Abzw. arr 12:50
Schloss Rosenburg arr 13:15
Schloss Rosenburg見学 13:20-15:30 8.0Euro
Schloss Rosenburg dep 15:35 徒歩 ---
Kamptalハイキング
Stift Altenburg arr 17:12
Altenburg b. Horn Friedhof dep 17:16 Bus1036 1.9Euro
Horn NÖ Hauptplatz arr 17:25
dep 17:36 Bus1028 12.9Euro
Wien Nord/Platterstern arr 19:15

参考


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