ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part6 
 拝啓, ブルックナー様, 冬のリンツ(オーストリア) 
 2004年01月24日 
 
-  [行程プラン : 思いつき]
-  ウィーンへ買い物に行く予定があったのだが, 久々に晴の週末となりそうだったので, 
ついでに(?)軽く回ってこられるところで, かつ, 冬でもあまり問題なさそうということで, 
すんなりリンツに決定. たださすがにこの時間ではサンクトフローリアンには行けないが….
 
-  [Linz Hauptbahnhof : 雪で遅れ?]
-  一路Linzへと向かう列車は途中積もった雪のせいか, 順調に遅れ, 21分の遅延.
まあいいですけどさ. 駅はここも工事中で, 完成は2005年とか. 
なんか行く先々どこもかしこも工事しているような….
-  [新大聖堂] 
-  駅前からメインストリートのLandstraßeではなく市民庭園の手前側, 
Volksgarten Straßeを北へ向かっててくてく歩いていくと, 10分もせずやがて新大聖堂(Neuer
Dom)の高い塔が見えてくる. Stephan寺院を擁するWienからの大反対で当初計画より3m低くしたという曰く付(?)の塔はやはり真下から見上げると青空の中, 
圧倒的な存在感だ. 
さすがに観光シーズンオフのせいか, 犬の散歩をするおじさんとおじいさんおばあさんが時々通っていくくらいでがらがら.
ここはまあステンドグラスが…有名なのかどうか知らないが, やはり見ているときれい.
-  [今日はおだやかドナウ川] 
-  ここからHerren Straßeは石畳になり, 旧市街の雰囲気になる. 
更に北へ進むとすぐに州庁舎に突き当たり, その左側を回りこむと道は上り坂になる.
歩道は雪がなかなか融けないので坂は滑ってちょいと危なっかしい. 
坂を上りきったところの左にあるSt. Martin教会を横目に, 
そのまま車道からはずれてまっすぐ歩道を歩くとすぐドナウ川岸の丘の上に出る.
若干霞んではいたがまずまず快晴のよい天気で, 目の前のドナウ川は霧のWachauで見たのとは違い,
おだやかなたたずまいを見せていた. 
   
 正面にはPöstlingbergがあって, 
てっぺんに白い二つの塔をもつ巡礼教会がお洒落に立っているのが目立つ.
やはりここも誰もいない. 川から急坂に付けられた階段をかけあがってくるおじさんが一人….
 この展望台の右側(東)にあるのがリンツ城. 
この城は非常に端正なつくりで, 城というより貴族の館, みたいな雰囲気が強い.
一応内部は博物館になっていて入ることが出来るのだが, やはりがらん…. ホントにやってるのか?
と思いつつ入口まで行ってみると張り紙が.「改修工事のため1階は見学できません」 
げ, やめた(笑). まあそれほど見る価値の高い博物館でもなさそうだし.
-  [がらんとHauptplatz] 
-  リンツ城の南側の坂を下りて(新旧大聖堂をはじめ, 
あちこちに塔が並び立っていて結構壮観. 煙突もあるが…)東へ歩いていくとHauptplatzへ出る.
真ん中に18世紀初頭のリンツの三災厄終息記念に立てられたという三位一体記念碑(Dreifaltigkeitssäule)が日の光を浴びて誇らしげに立っている…のだが, さすがに寒いせいか人出が少なく,
がらんとした印象. 
ここから南側のLandstraße沿いやそこから延びる商店街沿いはまずまず人が出ていたのだが.
informationの北側の細い路地を入るとすぐ左側に,
Kepler(天文学者のケプラー)が住んでいたという家がある. 
といっても入口にプレートがかかっている以外は特になんの変哲もない普通の建物だけどね.
-  [ブルックナー様っ! : 旧大聖堂]
-  ケプラーの家を過ぎて最初の角を右に折れるとStadtPfarkirche(市教区教会)でその先が旧大聖堂とそれに連なる郵便局(笑). 
知名度は旧大聖堂が圧倒的だが, 塔だけ見ると市教区教会の方が目立っているかも….
 旧大聖堂の正面にはブルックナーのレリーフがある. ここでオルガン奏者をしていたことがあることから付けられたようだ. それでは早速オルガン拝見…. レリーフの横の入口へ向かうと,
「入口は左の角です」の札が. あら(苦笑). では改めて…. 
角の向こう側にあった三重の扉を順々に開けていくとようやく今日は既に見慣れた教会の風景.
しかしここも誰も人がいない…. 大聖堂とかへ行くと大抵はひとりくらいおばさんとかが席に座っていたりするものなのにそれすらなく, 
要するに土曜の昼のカトリック教会なんていくのは観光客だけか.
例によってオルガンは後面, つまり入ってきたところの上なので, 
少し前へ向かって振り返ると…ん, 存外小さい. 
まあ大聖堂といっても地方の小都市ではしょうがないか.
-  [ブルックナー様っ! その2 : ブルックナーハウス]
-  再び川沿いに出て東側に歩いていくと, まずKunsthausがあり, そのむこうがブルックナーハウス. もちろんブルックナー音楽祭の会場だが, 
ポスターを覗き込むと(当然)毎月いろいろブルックナー以外のリサイタルもやっているようだ.
敷地内にはブルックナーの首の彫像があるのだが, これが結構でかい. 
台座+首で身長より高いくらい(2m?)で, 台座と首の高さの比は5:3くらい.
せめて胸像にすればいいのに, なんで首だけデンと? なまじ皺とかしっかり再現してるから,
いくらブルックナーの顔といわれてもねえ(苦笑).
-  [ここも町中, Pöstlingberg] 
-  Nieberungen Brücke(ニーベルンゲン橋)を渡って対岸へ向かう. 
日当たりのよい湖岸にいろいろ鳥が集まっていたが…白鳥までいる? わお.
鴨とかカモメとかが目立つけど. その少し奥, 西側に国鉄のLinz Uhfahr駅があり, 
線路に沿って少し西側へ歩いていくと, 国鉄の駅の隣にもうひとつこじんまりとした駅がある.
それがPöstlingberg Bahn/Tram(ペストリンクベルク鉄道)の麓駅. この鉄道は登山鉄道だが,
全長2.9km, 標高差255mと非常に短く, そしてなだらか. 
しかしこの登山列車が有名(?)なのは, 歯軌条を使っていないから. 要するに普通の,
いわゆる粘着式だから. その範疇では10.5%の傾斜はヨーロッパ最高なのだそうだ. 
通常限界は9%辺りで, 同様の粘着式登山電車の箱根登山鉄道も8%だ.
 自販機もあるが窓口で切符を買い(観光用チケット?をくれた), 止まっていた列車に乗りこむと, 
ぱらぱらと若い人が乗っていたりする. 
おや? と思ったが, どうやらこの人たちは沿線の住人らしい.
2.9kmの間に途中駅が5つもあり, みな途中で降りていった. 単なる観光や巡礼路線なだけでなく,
生活路線でもあるわけだ. 短いとはいえ登山列車なのに片道2.0Euro, 往復3.2Euroという市電とあまり変わらない値段もそれゆえか.
 さすがに平均傾斜10.5%となると, 車でも十分上れる. 平行する道を自動車はすいすい, 
列車はのろのろと上っていく. 約18分で頂上駅に到着. 
展望台まで上がると結構チラホラ人がいた. 
観光客や地元の人でも, ちょっとハイキングで歩いて上ってこられるくらいだし,
車でも簡単に上がれるものね.
あいにくかなり霞んでいる上に南向きなので低い冬の太陽がまぶしくてあまり良く見えない.
残念!
   
 さて, この頂上には巡礼教会がある. Oberösterreich州の聖地であるのだとか.
間近でみてもやはり白い二つの塔をもつこじんまりとした教会は下の大聖堂などと比べるまでもなくなかなかおしゃれで可愛い(?)造り. 教会に1892年に増築されたルネッサンス様式の塔だそうだ.
中には現金だけでなく「キャッシュカードでいくらでも寄付をください」な装置まであったりして,
しかもその寄付要請の理由である損傷補修だという「損傷部分」の写真が,
一般的に見ると割と細かいことに見える.
「おしゃれな白い教会」を維持するのはやっぱり結構大変なんだろうな.
こちらは中を見学している人もちらほら. 天井画がきれいだ.
-  [素早いお帰り : リンツ駅へ]
-  なにせウィーンで買い物のついでという名目がある以上, 
17時までにウィーンの店に着かねばならない. という訳で結局最後は慌しく引き返してきた.
麓駅の前はちょうど駅へ行く市電3号線の出発点になっていて, 
そのまま乗れば駅へとたどり着ける.
ここの市電の停留所にはたいてい自販機があってチケットが買えるのだが, 
1.4Euroの片道券(midi=4駅区間以上用)を買おうと2Euroを入れると…お釣りが出てこない…. 
ここはぴったり入れないといけなかったらしい. とほほ.
普通に席が埋まる程度には使われているようだ. 駅までは10分強で到着.
 ほんとうにお気軽寄り道観光だったが, 実際市内の名所だけを回るなら4時間で十分そうだ.
-  [おまけ : 見比べ]
-  せっかくウィーンにも行ったのだからついでにシュテファン寺院の下に寄って見上げてきた.
こちらは夕空をバックにライトアップの塔だったが, 改めてみるとなんか雰囲気が似てるな, 
新大聖堂と. 辺りの人の人数だけは全然比較にならなかったけど(苦笑).
 
 現地の行程 
| 1/24 | Linz Hbf | arr | 10:05(21分遅延) | ÖBB | -- | 
|---|
| 市街散策 新大聖堂〜リンツ城〜旧大聖堂〜ブルックナーハウス | 
|---|
    | Talstation | dep | 12:20 | Pöstlingbergbahn 登山電車
 | 3.2Euro (往復)
 | 
    | Bergstation | arr | 12:38 | 
| 散策 展望台〜Pöstlingberg巡礼教会 | 
|---|
    | Bergstation | dep | 13:00 | 
    | Talstation | arr | 13:17 | 
    | Talstation | dep | 13.30 | 市電3号線 | 1.4Euro | 
    | Linz Hauptabhnhof | arr | 13.42 | 
        | dep | 13.52 | ÖBB | 11.8Euro (23.5Euro)
 | 
    | Wien Westbahnhof | arr | 15:35 | 
 参考 
-  Pöstlingbergbahnの運行はLinz AG Linien.
-  Pöstlingbergへの列車は20分に一本. 往復3.5Euro(2005年). なお, Linz駅からNr.3とのセットでの往復チケットもある.
-  Pöstlingbergをぐるっと回って上ってくるハイキングコースがあり, 約8km, 2.5時間.
-  今回行かなかったが南のSt. Florianへはバスで往復可. ただし週末は少なそう.
Linzからはちょっと歩ける距離ではない.
-  夏はPassau方面及びWachau方面へ遊覧船が出る.
船着場はブルックナーハウスの手前のKunsthausの裏.
-  当時改装中だったLinz駅は2004年12月に(一部を残し)再オープンしました.
これに伴いスーパー(SPAR)や喫茶店, 本屋をはじめ, 
日曜まで営業する店が入って便利になっています.
また路面電車の駅が地下2階になり, 同時に1-3号線の全路線が駅を通るようになりました.