ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 10
通過だけだけど…, 巡礼教会の町マリアツェル(オーストリア)
2004年5月29日(土)
- [行程プラン : いつも同じではつまらない]
- 今回はウィーンに買出しに行くついでに, ちょっと気分を変えて回り道をしてみようと思った.
先週末がカトリックデー(Mitteleuropäischer Katholikentag)でここでも大きな集まりがあり, 知り合いが行ったといっていたので, 急に行ってみたくなったというのもある.
中欧全体地図
行程マップ
- [Bruck an der Mur → Mariazell : 峠越えの緑豊かな路線]
- Steiermark州とNiederÖsterreich州の境目付近,
東オーストリアの中心の山間にあるこの町は, 南北いずれからも入ることが出来る.
その南側の入口, カプフェンベルク(Kapfenberg)の2つ南の駅, ブルックアンデアムール(Bruck an der Mur)がバスの始発駅.
早朝の駅前広場のバス乗り場へ眠い目をこすりつつ向かうと, さすがに誰も客はおらずほぼ一人旅.
途中何人か乗っては下り, 乗っては下りのローカル利用者はぽつぽつある程度.
バスは川沿いに谷間を走りながら高度を上げてゆき, やがて高原へ出る.
今朝の低めの霧は標高700m付近で切れ, その上は時折日が差すまずまずの天気で,
なだらかな山に囲まれた緑の野原が広がり, 集落がぽつぽつと通り過ぎてゆく.
やがて前方にHochschwabのまだ頂上付近に雪を残した岩山が見えてくると,
峠前最後の村Seewiesen.
ここから道は本格的な上りになって九十九折の道を進む.
峠を越えるとまたすぐ下りになり, 反対向きになった川に沿って下りていくが, こちらはまた霧.
むう.
Mariazell直前になるとMariazellで働いている人なのか, 数人女性が続けて乗り込んできて,
やがて終点Mariazellに到着.
しかしよほど運転手も毎回客がいなくて暇なのか,
バス停で知り合いに声をかけては数分だべってみたり, 挙句は途中のパン屋さんの前で止まって,
朝飯(?)を買い込んでくる始末. 別に遅れてないんだからいいっちゃあいいのだけど,
なんか苦笑いしたくなる光景だった.
- [Mariazell : 徐々に霧が飛ぶ ]
- 山間の町マリアツェル(Mariazell)はまだ霧の中.
バス停から坂を上っていくとすぐ教会の前に出る.
ここは有名なカトリック巡礼教会で, 先週も
教会の塔もなかなかお洒落できれいという評判だったのだが…霧の中から現れた塔は修理中で足場とシートで覆われていた.
真中の1本を除き両側の2本は…(涙).
さすがに人が集まる町らしく,
ホテルや土産物屋が立ち並ぶが,
さすがに8時前ではまだほとんどあいておらず,
シャッターの閉まった店の間と, 朝食用ビュフェに電気のついたホテルの間をぶらぶら散策.
教会の見学も10時から, 最寄の丘に上がるロープウェイも9時からと, 何もない中,
Konditoreiだけ7時から開いていたので, そこでパンを買って朝飯にした.
そうこうするうちに徐々に霧が飛び, 雲は多いが徐々に見晴らしが良くなってくる.
もうちょっと時間があったので, 一度霧の中を歩いた道をもう一周してみる.
のどかな風景で2度と来ることはないであろうからまあいいだろう.
8時をすぎるとぼちぼちみやげ物屋なども開店準備を始め, ホテルから団体さんも出てきたりして,
活気が出始めるところを, 一人逆に駅へと向かった.
教会から駅へは約800m程北に向かってゆるい坂を下りていく.
駅へ向かう遊歩道は通常では考えられないほどたくさんベンチがあり,
お年寄りでも途中で休みながら上がっていけるようにとの配慮だろうか.
もちろん駅から教会まで上がるバスもあるらしい.
- [Mariazell → St. Pölten : ノスタルジートレイン路線]
- Mariazellから北側の入口サンクトペルテン(St. Pölten)までは狭軌鉄道の路線が走っている.
500m近い標高差を走るこの路線は途中S字の路線で高度を稼ぐぷち山岳路線だが,
なにせ最大級の巡礼教会への路線ゆえ大量に人を運ぶことも多かったらしく, オーストリア最初の電化路線でもある. しかしながら駅へ到着すると,
待っていたのは非電化2両編成のローカル列車であった.
駅のショーウィンドウに絵葉書やガイドブックの他,
Mariazell線のノスタルジックトレインの模型が飾ってあり,
「切符購入窓口で買えます!」と張り紙があったのが笑えた.
ちなみに手持ちの地図をみると終点Mariazellからもう数キロ南まで線路の記号があるが,
実際には既に撤去されており,
作業道路みたいになっていてその脇の牧草地では牛たちがのどかに草を食んでいる.
駅を出発した列車はいくつか短いトンネルを抜けながらやがて左側(西)に谷を見るようになる.
森がちだが視界が開けるとなかなかきれいな眺めだ.
Gösing an der Mariazeller Bahnで対向列車とすれ違うと(これは電化の5両客車編成だった),
やがて少し長めのトンネルが続き, 今度は右側(東)に谷間が開ける.
遥か下を覗き込むと, あ, 列車が見える.
ここでS字を描いて列車は高度を一気に下げていく.
S字といってもかなり潰れた形で, なにせ4km程進みぐるっと折り返して先ほどの線路のすぐ下を,
また4km程戻り, またぐいっと折り返して谷底へおりるのだから, ずいぶん極端だ.
Mariazellから約1時間で谷底のLaubenbachmühleに到着. ここで再び対向列車と入れ違い,
後はすっかり晴れ上がったなだらかな山間の緑溢れる風景のなかをトコトコと進むうちに,
気づくと山は開けて平野へと続いていくのであった.
谷下では沿線客が結構多く, Mariazellではわずか数人だった乗客はLaubenbachmühle以降一駅ごとにどんどん増えてゆき,
残り1時間30分弱の間にすっかり満員になった列車はSt. Pöltenに定刻に到着.
Salzburgからのこれまた満員のICに乗り換えてWien Westbahnhofへ向かった.
現地の行程
Bruck an der Mur Bahnhof Vorplatz | dep | 05:15 |
Postバス-170 | 8.3Euro |
Mariazell Postamt(Busbahnhof) | arr | 07:04 |
Mariazell散策 |
Mariazell Bahnhof | dep | 08:48 |
Mariazeller Bahn ÖBB-R6832 | 9.7Euro |
St. Pölten Bahnhof | arr | 11:15 |
dep | 11:43 |
ÖBB-IC547 |
Wien Westbahnhof | arr | 12:30 |
参考
- バスダイヤはÖBBのサイトで列車と一括か,
Steierischer Verkehrsverbund(シュタイヤマルク州のバス, 市電関係)のサイトのいずれからも調べられる.
- Steiermark州のバス料金は2004年5月より値上がりした. だいたい2年に一度くらい値上がりしている. こちらはゾーン性採用で, 通過するゾーンの数で値段が決まる.
上記Steierischer Verkersverbundのサイトではゾーン数も分かるので,
料金テーブルから値段も調べられる.
- Mariazell線は比較的観光客が多いのか,
サロンカーがついていたり, 観光専用ノスタルジックトレインが走っていたりするが,
こちらは有料.
別に普通に乗って景色を眺める分には普通列車でも十分. 比較的本数はあるが, 日曜はやや少なめ.
通常ダイヤは上記ÖBBのサイトで検索可能.
- 非カトリック日本人観光客にとってはMariazellはクリスマス関連のクッキー(Lebkuchen)で有名とか.
雪のMariazellもなかなかきれいらしい. ただし高度850m程度とはいえ完全に山の中なので,
下の平野ぶと比べてだいぶ冷えるし降雪, 積雪も多いようだ.
Mittel Europa Platzトップへ