ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 26

雨の王宮は一時雨、パッサウ&レーゲンスブルク(ドイツ)

2005年5月14-15日(土,日)

中欧全体地図

[町見学は暑くないうちに]
どうせ夏になれば山に海と相場は決まっているので, 新緑が出てまだそれほど暑くないうちにドイツ旅行と考えていた. Passauはオーストリアとの国境の町であり, DonauとInnの合流するところでもある. ここの合流地点の景色がいいと聞いて出かけることに. Regensburgは古代ローマ以来の歴史のあるt街で, Passauの近場としては面白いところらしいと聞いて, こちらも寄り道することに.
なおPassauまではオーストリア国内線切符で乗れる上, ドイツ国内も優等列車は乗る必要がなさそうだったので, 列車の予約は無し, 宿は旧市街で確実に確保するために, 今回も2日前にHRSを利用して予約.

1日目(Passau)

[とりあえず乗り潰し : Hausruck]
通常オーストリアからPassauはLinz-Welsからの直通便を使うが, ここは既に一度乗ったことがあるので今回はひねくれモード, 少し西のAttnang-PuchheimからHausruck線を使い, Passau直前のSchärdingへ出るルートをとった. Attnang-Puchheimは中途半端に田舎な駅で, 1-3番線は地下通路で繋がった立派なホームがあるのに, 4-7番線は線路の上を歩いて横断し, ホームも地上の高さと変わらない田舎型. その田舎型ホームの5番線から発車した1両ワンマンディーゼルカーは, すぐに林に突入. その後も林と牧草地と畑の間を走り続ける. Hausruckの低い山並を越えるために少し上ってゆくと, やがてカーブを切るところで南のSalzkammergutの山並をバックに牧草地という素敵な風景が広がる. 再び林に入り, トンネルを潜るとHausruckの北側へ出る. 相変わらず牧草地と菜の花の黄色い花の鮮やかな畑の間を下りてゆくとRied im Innkreisに到着, ここでSchärding行に乗り換える. ここからはほとんど平坦で, 更に田舎の風景の中をしばらく走り, やがて右からPassau線の線路と合流すると, まもなく終点Schärding.
SchärdingからはPassau行の各駅停車に乗り換え. 出発すると間もなく左手にInn川が見え, 例によって良く分からないうちに国境を越えてInn川を渡ると, Passauへ到着.
[随分長い旧市街 : Passau]
DonauとInnの合流地点より約3km程上流にあるPassau(パッサウ)の駅を出ると, そこから旧市街中心へ向かう通りは早レンガ敷きで雰囲気がいい. 両側に商店街が並ぶ中, 中心街へと向かう. とりあえずホテルへチェックインと思い, ぶらぶら歩いていくが, 確かに歩くと結構距離がある. しかも途中で道を間違えたらしく, Inn川沿いに出てしまった挙句, ふと気づくと行き過ぎていた. 正しい道を戻ってくると右側にDonau川がちらりと覗く. こう見ると確かに横幅は狭い. Passauの町大部分は業務用, 宿泊者, フェリー利用者やタクシーのみの制限付自動車進入区画で, あまり自動車が多くなく, 歩き易い.
[あるわあるわ大量に : ガラス博物館]
Passauの名物は幾つかあるが, その一つに世界最大級のガラス博物館がある. これはWilden Mannという建物の中にあり, 一瞬入口はここでほんとに良いのか? と思ったりも. しかし入ってみるとあるわあるわ, 確かに世界最大規模のボヘミアングラスコレクションというのは伊達ではない. カットグラスに限らず, 風景画から宗教画まで各種絵があるもの, 人などの彫刻, ガラスの色も透明から各種, 銀細工とあわせたものや, 不透明なものもあり, 種類もグラスや皿など食事に使う系のものに, 飾り用のプレートや装飾用彫刻, 照明器具, そして花瓶などはもう身長より高いものまであり, それこそ用途として漏れているものはないのでは, というくらい各種取り揃えている. 一応ショウケースごとに番号がついているので, これにしたがって歩けば良いようだ. しかしここまでたくさんあると, さすがにもはや何が違うのだか, 途中で分からなくなったりして…. あと所々照明が切れていたりちらついたりしているのは, ご愛嬌で済ませていいのかなあ…?
[いざ, 合流地点へ : Dreiflüsseeck]
ガラス博物館を出ると, 次はInnとDonauの合流地点へ向かう. Donau沿いを対岸の岩壁とその上のVest Oberhausを見ながら歩いていくと, Oberhausの下Niederhausに至り, その裏を流れてきたIlz川がInn川より一足ほんの100mくらい早くDonau川に合流する. その先は公園になっていて, まもなく合流地点の先端へ出る. さすがに結構人がいる. Passauに来てここまで散歩に来ない人はもちろんいないだろうし, 地元の人も結構来るんじゃないかな.
さて, 前の女の子4人組が動いたのを待って先端に立ち, 合流する両川を見るが…うーん, 右のInn, 左のDonau, 色が同じだ. ここはしかるべき時期に見に来るとまったく違う色の両川が合流する様子が良く見えるらしいのだが, さすがに雪解けの季節は厳しいのかな, ちょっと残念. でもスイスから出てSt.MoritzやEngadinを通過し, そしてInnsbruckなどを通過してきたInn川がここでDonauに合流するのだなと思うと, やっぱりちょっと感慨深い. しばらくぽけっと眺めた後, 今度はInn川沿いの遊歩道を歩いて戻ってくる.
[こちらも世界最大 : 大聖堂]
さて, Inn川沿いから途中で外れ, 細い路地を坂を上ってゆくと中心にある大聖堂へ出る. ここの聖シュテファン大聖堂のパイプオルガンは世界の教会オルガンで最大のものであるとか. 早速見学. 後部の入口から入ると, もう正面の祭壇はほとんどほったらかして, 頭上のオルガンに釘付け. 他と比べて図抜けている訳ではないけれど, 確かに大きい. 残念ながらオルガンコンサートは平日の昼間と日曜だとか. そこに土曜に来た私ってタイミング悪いのか. 聞いてみたかった….
[ちょっと脱線 : 歩いて国境]
純粋に観光のみなら, この後はVeste Oberhausへ行って博物館を見つつ, パッサウの街並を上から眺めてくる, というのがよかったと思うのだが, ここでちょっと脱線して対岸へ渡る. 対岸はInnstadtという町だが, ここから少し南下するとオーストリアとの国境があるのだ. のこのこ歩いていくと, 「800m 先国境」の標識があり, まもなく国境を越える. もちろんパスコントロールも何もないため, 近所の人からサイクリングの人, ジョギングしている人までほいほいと越えてゆく. ボーダーレスの世の中だな. PassauからInn沿いにはずっとサイクリングロードが続いているため, 結構走ってくる人がいる. Schärdingからの路線がその一段上を走っているためこのハイキング路を少し散歩しつつ, 列車撮影をしてみたり(苦笑).
Passau Stadt
改めてInnstadtへ戻って対岸のPassauの町をみると, よくあるPassauの写真はこちら側からであることが容易に分かる. 確かにNeuresidenzやDomのカラフルな色使いの建物は写真栄えするものね. その上さらに後ろにVeste Oberhausが覗いているので, まとめて写真が撮りやすいアングルでもあるのだろう. でもやっぱりPassauのよさは, 川縁や街中の路地を歩いてこそ, かな. 雰囲気がとてもいいし.
[天気急変 : 夕食]
Passauへ戻ると18時過ぎ, もうVeste Oberhausもクローズなので焦って上ってもしょうがないかと, とりあえず先に夕食にする. 昼飯食べていないし…. Donau川沿いに何軒かテラスが並んでいたのは先に気づいていたので, ここで見繕って1軒へ. さすがにまだ時間が早く, あまり食事をしている人はいない. さて, 注文をし, ビールを飲みながら待っていると少し南側を流れていた黒い雲が空を覆うようになり, 風が強まったとたん一気に雨に. 慌ててテラスから室内へ逃げ込む(苦笑). もっとも川は雨模様でも眺めは変わらない, 窓際で川を眺めながら引き続き夕食. オッケー.
しかし食事が終わってから困った. 傘もって来てないし. しかも外へ出た途端一気に雨が強まって土砂降り. これではもはや町歩きをしている場合ではない. もう観光施設はおしまいの時間であり, 仕方なく30分ほど雨宿り. とほほ. 弱まった隙を狙ってもう一度市街散歩をし, ようやく暗くなって来た21時頃宿へと戻った. 日は既に長いとはいえ, 5月の夕方の雨はまだ結構冷たい.

2日目 (Regensburg)

[Regensburgへ]
7時からの朝食へあわせて食堂へ降りていくと, やはり誰もいなかった. ビジネスユースはともかくとして, こちらの休暇の朝は基本的に遅い. せかせか早くから起きるのは大抵アジア人とアメリカ人とバックパッカー. もう慣れているので気にせず堂々とたっぷり朝食を取り, 列車に間に合うよう余裕を持ってチェックアウト. 昨晩の雨は上がったようで, 駅までてくてく歩く. 日曜の朝だけに, 当然町もまだがらがら.
今日はドイツ内移動なので, 自販機でBayern Ticket Singleを購入し, REに乗り込む. 途中Plattingで乗り換えて約1時間半でRegensburgへ到着. これだけで既に元が取れている(苦笑).
[曇り空のドナウ : Regensburg]
Regensburg(レーゲンスブルク)の駅前はお城とそれに連なる公園がある. 旧市街へはまずこの公園の中を突っ切る. 緑地を抜けるとまもなくすぐ石畳の道になる. この町も500m四方近く, かなり広範囲に旧市街の雰囲気が維持されていて, 街歩きには気分がよさそうだ. 丁度日曜10時ということで, 店は閉店, 教会のミサが始まる時間ということもあり, 道を行く人通りは少ない. まだがらんとしたカフェなどがいくらか開いている程度. ちらちらと大聖堂の塔が見える. あ, ここも一本工事中だ…. とりあえず旧市街を縦断し, Informationへ行って地図をゲットする.
Informationの裏の路地を抜けて少し坂を下りると, そこはドナウの河岸. Passauより上流だが, この程度では違いなどないようなものだ. 空はどんよりと曇っているが, 川はいつも通り滔々と流れている. 下流方向へ少し歩くと石橋に出る.
[歴史のある橋, Stein Brücke]
この街の成り立ちは古く, 古代ローマ時代へ遡るが, 以降もいろいろあったらしく, ドイツ最古のなんちゃらというものが結構たくさんある. その一つがこの石橋で, ドイツ最古の石橋だそうな. 12世紀のものだ. 現在は歩行者, 自転車, タクシーと小型の町内循環ツーリストバス以外の一般車の通行は禁止になっていて, 比較的のんびり渡れ, いかにも観光客っぽい人が行ったりきたりしている. 対岸までの途中に中州があり, トータルでは結構長い. 振り返ると川沿いの街並の後ろに, 大聖堂の堂々とした建物が顔を出していてなかなか絵になる.
Regensburg
対岸のちょっとこじゃれた感じのStadtamhofの集落をそのまま突っ切ると, さらに裏に運河があり, ちょうど船が水門を通過中であった. 確かに石橋もだが, この辺りは堰があって船は川の本流は通れないね. ぶらぶら歩いて旧市街へ戻る.
こちら側の橋の袂にはこれまたドイツ最古のソーセージ屋なるものがあり, 結構有名なのか, 表のテラス席にはまだ11時前だというのに結構多くの人が座り, ビールを飲みながらその焼きソーセージをパクついていた. 私は…いいや.
[まだミサ中 : St. Peter Dom]
再びちょっと坂を上り, 中心部へ戻るとすぐにザンクトペーター大聖堂の前の広場に出る. ここの大聖堂はゴシック建築だが, 一時バロック様式に模様替えされたことがあるとか. 日曜だから当然まだミサ中であろう. 非キリスト教徒としては普段は邪魔しないようにミサ中は入らないことにしているのだが, ふと見ると, 入口からぞろぞろ入っていく人の姿が. あれ? もう終わったのかな? と思ってふらふらと追って入ると…まだやっていた. ごめんなさい. しばらく一番後ろで起立して, 少々お布施してきました.
しかしここの大聖堂は少年合唱団が有名なのだそうだ. 当然ミサでは歌う. 説教者や大司教などよりさらに後ろの壇上で歌うんだね. 通称Domspatzenという. Spatzというのは雀のこと. でもぴーちくぱーちくではなくて, 歌声はきれい. 実際に教会で聞くと, やはり響き具合を考えて設計してるのかなあと思う. 堂内の採光は暗めで, その分祭壇後ろのステンドグラスの絵が際立っている. さすがにミサ中では近寄れないが.
しかしここにもやっぱりいること, 観光の写真撮影者. ほんと頼むからフラッシュと電子作動音だけはせめて切ってくれないかな….
[ソーセージ : 昼食]
結局1時間近く中にいたようで, 途中で出てきたら12時であった. 今にも雨が降りそうな空模様ということもあり, そのまま大聖堂向かいのレストランで昼食ということに. 結構広い大衆っぽい雰囲気の食堂で, 結構広いホールはかなりわいわい賑わっていた. 窓際に2人掛けの小さな席が開いていたのでそこへ収まる. ソーセージのサラダを注文し, ビールをやりながら外を見ると一気に雨になった. 間一髪. ふっ, 雨の「雨の都」だ, というのはまあ冗談で, RegensburgのRegenはこの場合街の北でDonauに合流するRegen川の方であろう.
ワンテンポ遅れて男女混合5人組の若い日本人グループが入ってきて食事をしていたが, 一人どうやら地元在住らしい. この辺にもそれなりに日本人いるのかな….
のんびり雨が小降りになるまで引き伸ばしながら飯を食い, 外へ出る.
[ローマからの歴史 : 歴史博物館]
この街にはもう一つ, 中世の帝国議会が開かれたという歴史もある. 博物館になっているのだがガイドツアーらしく, 12時だったとか…. 大聖堂でのんびりしている場合ではなかったか. まあ見られないものは仕方ないので, 目的地変更. 大聖堂から少し歩くと, 旧市街の外れにHistorisches Museum, 歴史博物館がある. なにせローマから2000年に渡って続く街ゆえ, 博物館にもローマ時代からの展示物が一杯. もちろんその後中世なども. 解説はドイツ語だが, これでもなかなか面白い. 模型などもあって結構楽しめる. ドイツ人に混じり, いかにもドイツ語理解しまくっているような顔でのんびり鑑賞(笑).
[もう一度? : Dom]
出てくると14:40. 列車にはもう少し時間があるので, ミサ中で午前中は見られなかった大聖堂の中を見ようと再びDomへのこのこ. ところがちょうどタイミングを合わせて例の少年合唱団がぞろぞろステージは上がってきた. あれ? っと思っているうちに, 15時から再びミサが…. そう, 今日はPfingsten, 宗教的祭日なのでした. いや合唱が聞けるのはそれはいいけれど, 中の見学が出来ないんですが…. ちょっと不覚だったか. 時間ぎりぎりまで粘ったが, さすがに30分ではミサが終わるわけもなく, 再び途中で抜け出して駅へ向かう.
[帰りもローカル線]
PassauからはまずMünchen行のREへ乗車するが, 途中のLandshutで下車し, ここからSalzburgへの直行RBへ乗り換える. やはり観光客などは乗らないのか, Landshutで乗った乗客はほとんど沿線の小さな駅で下りていった. 何気ない田舎の風景だが, Freilassingへ向けて南下する最後の部分は正面にUnterbergの山並が望め, Münchenからくるよりは楽しかったかもしれない.

現地の行程

5/14 Attnang-Puchheim dep 11:14 R3471 --
Ried im Innkreis arr 11:53
dep 12:35 R3473 3.9Euro
Schärding arr 13:12
dep 13:37 E1814
Passau Hbf arr 13:50
Passau散策(Glasmuseum,Dreiflusseck,Dom)
夕食,Passau泊
5/15 Passau Hbf dep 8:21 RE26059 Bayern Ticket
single
17.0Euro
(17.1Euro)
Plattling arr 8:56
dep 9:10 RB26254
Regensburg Hbf arr 9:53
Regensburg散策(市街,Steinbrücke,Dom)
昼食
Regensburg散策(Historische Museum,Dom)
Regensburg Hbf dep 15:44 RE26031 (Bayern Ticket
Single)
(25.6Euro)
Landshut(Bayern) Hbf arr 16:25
dep 16:39 RB27093
Salzburg Hbf arr 18:49

参考


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