ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 16
ウィーンのお膝元アルプス、シュネーベルク(オーストリア)
2004年8月8日(日)
- [行程プラン : 登山電車]
- オーストリアには歯軌条式登山列車は3つあり, Schneeberg Bahnはそのうちの一つ.
そしてSchneebergは一応アルプスと呼ばれる山の中ではもっとも東にある2000m峰である.
折を見てハイキングに, と思っていたのだが, なまじ近すぎるだけに, つい後回しになっていた.
ちょうど今週末は日曜が一日空き, 昼までは天気も大丈夫そうであったので即決.
中欧全体地図
マップ
- [Wr. Neustadt → Puchberg : 空いているけど…]
- Wr.Neustadt Hbfから一両ワンマンカーに乗る. 客は15人程度. しかも地元の人も混じっている. まあどうみてもこれがこれから接続するSchneeberg Bahnに乗る人すべてではないよな.
列車はまもなくGutensteinへ向かうPiestingtal線と分かれると, のどかな谷間をトコトコ走ってゆく. 途中の停車場は軒並み減速のみ, 停車はしない.
さすがBahnhofでなくてHaltestelleというだけあってバスと一緒(苦笑).
やがてGrünbachあたりの金属精錬所(ニッケルで有名とか)あたりを抜けると,
まもなく終点で乗換駅, Puchberg am Schneebergへ到着.
- [Puchberg am Schneeberg : 見えないんですけど]
- プフベルク(Puchberg)まではやや雲は多いものの良い天気だったのだが, 駅からみると,
正面に見えるはずのSchneebergの前山はすっかり雲というか霧の中. もう9時過ぎ,
いい加減朝霧なら飛んで欲しい時間だが….
ホームへ下りると国鉄の駅に並んでSchneebergbahnのInfoアンドKassaの表示があり,
即, チケットを買いに入る.
時期によっては長蛇の列というこの売り場も並んでいたのはわずか3組.
2人のお姉さんがてきぱき捌いていた…が客の方はのんびりで2分ほど待たされる.
なにを迷っているのであろうか? 受付横にモニターがあって今日の列車の残席数が確認できる.
とりあえず行き帰りとも予定便はまだ余裕があるようで一安心.
「行き帰り, 一人, 乗りたいんですけど」というと, 帰りの時間を聞かれ, その場で予約,
チケットに印字されていた. ただの定員制で座席は自由らしい.
国鉄のホームへ再び出ると, ちょうど登山列車が離れのホームに入線したところで,
列の前の方の客がぞろぞろ改札を通過中だった. 案の定車でここまで来る人が多く,
そういう人は既に切符を買って待っている訳だ.
登り登山列車で外が良く見えないというほどつまらないことはないので, 慌てて列に並び,
なんとかかろうじて窓際を確保した.
- [Puchberg → Hochschneeberg : 霧を抜けて]
- ここの登山電車は現在サラマンダーという愛称の, 濃緑の車体に黄色の模様の入ったサラマンダーみたいな車体で, 1999年投入の新鋭だ. さすがに中もまだあまりボロッちくないし,
ちらちらみえる運転席がきれい. 確か私が買った時はまだ残席40くらいあったような気がしたこの時刻の列車だが実際はぎっしり満員で定刻に出発.
最初はほとんど平坦な部分を嫌になるほどノロノロ走り出し, やがて徐々に傾斜をきつくしてゆく.
途中いくつか停車場があるのだが, ほとんど止まる気配はなしで通過していった.
車両の角の5人ボックス席で4人組の女性がわいわい言っているのに囲まれながら上ってゆくと,
いくつか目の停車場の横のヒュッテ前で, どこぞの団体さんが空手の稽古をする姿が.
それを見た一人の女性が"Ah, Judo!"その後知り合いがやっていてどーとか, 黒帯がどーとか,
そういう話がしばらく続いたのだが…これは空手か少なくとも合気道とかの系列で,
少なくとも柔道じゃないと思う(苦笑).
そのまま上ってゆく列車は, やがて結局霧に突っ込んでいく.
このままでは嫌だなあと思っていたのだが, 上空をみるとそれでもちらちら青空が覗いている.
この霧が下のほうだけで, 上の方はもう少し晴れていることを期待して上っていくと…抜けた!
まあ雲は多いものの, 存外上はまだ晴れていて一安心. 景色の見えない登山というのもあまり面白くないしねえ.
- [Baumgartner : おなじみらしいです]
- さくさく各停車場を通過していった登山電車だが, 最後の停車場, Baumgartnerだけは止まり,
10分休憩です, のアナウンスが. そして駅前の店では, 当然のごとく待ち構えるご夫婦(?)の姿.
そして止まると我先に下りていって店先に並ぶ人々. そう, ここで売っているSchneebergbuchteln,
つまりパンの中に甘いものを織り込んだお菓子なのだが, はSchneebergの名物なのだそうだ.
隣の女性4人組も一人の女性が発車してすぐその話をしていた. この車両の7割以上は食べてたんでは…. そういう私はブフテルンはそんな好きでなかったりして(苦笑).
10分ちょっとでようやく発車した列車はいよいよ急坂を登って頂上駅へ.
- [Hochschneeberg → Schneeberg : とりあえず天気のいいうちに]
- 頂上駅ホフシュネーベルク(Hochschneeberg)で下りると, まだかろうじて曇時々晴れ.
今日は午後は夕立の可能性, ということは雲が増殖(?)する可能性も高そうだし,
ここから頂上までは約1時間, やや急ぎ足でともかく頂上へ向かう.
駅からSchneebergの前山(Waxriegel)を捲く, よく整備されたハイキング道路を歩いてゆくと,
裏のシュネーベルク(Schneeberg)本峰稜線が見えてくる. よかった! まだ晴れている!
WaxriegelとSchneeberg本峰の間はのどかな高原になっていて牛とお花が溢れている.
その中をしばらく歩いていくと道は最高峰Klosterwappenへのルートと山小屋(Fischer Hütte)のあるもうひとつのピーク(Keiserstein)手前のコルへ上がるルートに分かれるが,
ここは迷わず頂上へ直登. 最後の上り直前までは緩い坂道でさくさく20分で到達するが,
最後の上りで約15分, 霧が断続的に通過していく中, 頂上へ.
クロースターヴァッペン(Klosterwappen)の頂上本来の360度の展望は最早望むべくもないが,
霧の切れ間切れ間に一応各方向を望め,
一安心(苦笑). 頂上では先にいた数組が互いに写真を取り合う中, こちらも少々撮影のお手伝い.
しかしこちらの頂上の十字架は大概大きすぎて, 入れようとすると人間が小さくなるんだよね(苦笑). もうちょっと一緒に撮影し易いような大きさにすればいいのに(おい).
- [Schneeberg : あっという間に霧の中]
- 徐々に霧が深くなる中, しばらく頂上で休憩した後, 稜線をFischer Hütteへ向かう.
なだらかな下り道で道幅も広く, 危険はなしの気分のいい稜線散歩,
右手にまだちらちらと覗く先ほどのお花畑の高原がきれいだな, などと思う間にあっという間にフィッシャーヒュッテ(Fischer Hütte)に到着.
しかしヒュッテに着いたのとあわせるように稜線は霧に包まれ, 以後下の景色は見えなくなってしまった. それでもまあともかくヒュッテ裏のもう一つのピーク,
カイザーシュタイン(Kaiserstein)へ.
こちらはピークといってもなだらかな斜面で(裏側はもう少し険しいが),
ほんの1,2分の緩い上りですぐに頂上へ到達. こちらは石碑が建っているだけなので,
一緒に撮影するのも楽だが, 存外みんなこちらには上ってこないらしい.
前で一家族, 斜め前で一グループ休憩しているのをみながら, こちらも持って来たサンドイッチで軽い昼食休憩にする. 20分くらい頂上横でもぐもぐしている間にますます霧が濃くなり,
目の前の山小屋がしばしば見えなくなる有様だ.
さすがにこの中にあまり長くいてもしょうがないので山小屋が見えたタイミングを捉えて小屋へ下りる.
- [Fischer Hütte → Hochschneeberg : 頂上だけ]
- Fischer Hütteからの下りも存外急で, 砂利道を注意しながら下りる.
この辺は森林限界の上のため, 砂利の斜面はやや道が分かりづらく, 基本的に15m置き程度に建っている標識が目印. 上りの時はガスが濃くなったらこれくらいないとダメなんだろうとは思いつつ,
わずらわしいほどたくさん建っているように見えたのに, いざ霧に包まれるとあっという間に2本先は見えるか見えないかの世界だ.
特にここは登山電車で上がってきたゴキラク観光客もふらっと登ってこられるから,
安全を期しているのだろうね. 頂上直下は残雪もあって,
霧と雪と砂利道だけ見ていると,
結構寒そうな風景だな(苦笑). この霧の中, 後の列車で来たとおぼしき人々がちらちら上ってくるが,
これではもうなにも見えないだろうなあ(苦笑). ちゃんと9:30に乗って直で上って来てよかった.
しかしながら, 急斜面を下り切り下の高原に出ると霧はすぐ断続的になり,
山の斜面より上以外は曇り空の下存外良く見える. まだ下りの列車まで時間はだいぶあるので,
お花を見ながら…とも思うのだが, 相変わらず高山植物の花なのか, 普通の下の雑草が紛れ込んだだけなのかすら区別がつかないのだから, やっぱりイマイチだ.
まあカラフルに咲いているんだからいいんじゃないの(笑).
- [Hochschneeberg付近 : 下は良く見えるが]
- Hochschneebergに戻ってくると, 私らの後に走ったはずの蒸気機関車が頂上駅に停車していた. 個人的に蒸気機関車が走っているのは見たいのだが,
自分が乗ることにはあまり興味ないんだよなあ(苦笑). 駅前は広場になっていて,
エリザベート皇后ゆかりの教会が建っており, その裏からは斜面の下にPuchbergの町が望める.
下は日が当たってるよ(苦笑). さて, 下り列車の時間まで残り1時間もある. 駅舎は切符売り場とトイレと自販機だけの質素なもので何もなく, もう一軒徒歩2分のところに山小屋があるが,
昼飯は一応食ってしまったしなあ. ビール飲む天気でもないし…. ということで,
駅周辺をぶらぶらして時間を潰す. まあそこは一応山の上,
1時間くらいならうろうろ歩いているだけで十分使えるんだ(笑).
そうこうするうちに一つ下の駅, Baumgartnerを発車する列車が見え, いそいそと駅へ向かう.
帰りの列車も大入り満員. 先を争って乗り込み再び今度は反対側の窓際を占拠(笑).
ばっちり外を眺めながら下りてきた. まあ今回はあまり厳しい旅程でもなかったし,
のんびりリフレッシュになったかな.
現地の行程
8/8(日) | Wiener Neustadt Hbf | dep | 8:33 |
RB6409 | --- |
Puchberg am Schneeberg | arr | 9:19 |
dep | 9:30 |
Schneeberg Bahn (サラマンダー) | 27Euro (往復) |
Hochschneeberg | arr | 10:25 |
dep | 10:35 |
徒歩 | -- |
Schneeberg(Klosterwappen)頂上 | arr | 11:10 |
dep | 11:25 |
Schneeberg(Kaisetstein)頂上 | arr | 11:45 |
dep | 12:10 |
Hochschneeberg駅まで及び駅周辺を散策 |
Hochschneeberg | dep | 14:35 |
Schneeberg Bahn (サラマンダー) | (往復27Euro) |
Puchberg am Schneeberg | arr | 15:21 |
dep | 15:35 |
RB6476 | -- |
Wiener Neustadt Hbf | arr | 16:21 |
参考
- 登山鉄道Schneeberg Bahnは定員制, 平日2時間に1本, 夏季土日祝1時間に1本.
冬季運休. 特にノスタルジー蒸気機関車(1日1〜2本)の場合, 満員だと乗れない場合がある.
通常列車(サラマンダー)でも大口団体が入ると早く埋まる場合もあるが,
こちらは場合によっては臨時に2-5分遅れなどで増便して走ることもある.
Puchberg駅で購入時に下りもあわせて時刻指定をする.
窓口横に残席数が表示されるのでそれを確認して買うよとい.
なおSchneeberg Bahnのサイトからオンライン予約可. 可能な列車の残席数も表示されるので, クレジットカード払い後プリントアウトし,
当日窓口に持って行けばいいはず.
- 頂上駅から頂上までは約40分〜1時間, 標高差300m弱.
よく整備されていてほとんど危険はないとはいえ, 一応山であり, 登る場合はそれなりの格好で.
特に雨具/防寒は持参すべきでしょう. また帰りも列車に乗る場合は余裕を持って予約する.
なお, 徒歩10分程度で本峰が見えるところまで行け, そこまではほぼ平坦, 雪雨でなければそのあたりまでは気軽に行ける.
- Wr. NeustadtからPuchbergへのローカル線は1時間に一本,
休日は上りも下りも基本的に登山列車と接続する. Wr. Neustadt駅も各方面へ大抵よく接続する.
接続良すぎてあまり時間がないので(Puchbergは自販機なし, ワンマンカーなら運転手から,
違うなら車掌から購入), 帰りの切符は行きにまとめて買っておくと良いかもしれない.
WienからWr. NeustadtまではWien SüdbahnhofからIC/ECで約30分, Eilzugで約45分,
S-Bahnで約1時間. それぞれ1時間に一本程度. EilzugはEbenfurth経由もあるが, 少々時間がかかる.
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