ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 23

中世ハンガリーの面影を残す町、ショプロン(ハンガリー)

+(付録)フェルテードのエスターハージ城

2005年1月07日(金)

[行程プラン : 半日散歩]
実際のところどこでもよかったのだが, 6日の祭日と8,9の週末の谷間でなぜか職場が臨時休業になってしまったので, ハンガリーに散歩に行くことにした. ブダペストに日帰りという訳にもいかないので, 近い町ということでSopronへ. ついでにWr. Neustadt-Sopron間の列車も撮影してこようという魂胆もあったが.

中欧全体地図
行程マップ

[Wr.Neustadt → Mattersburg : 田舎町で特急待ち]
平日ということでR-Zugが走っており, ディーゼルのワンマンカー5047系に乗り, とりあえずSopronへ行く途中のMattersburgまで行く. 別に何も観光名所がある町ではないが, 単にすれ違うROeEE車両のICが走る姿を見たかっただけ. 線路際のとても小さなサッカー場(オーストリアブンデスリーガのチームがある)を過ぎると, まもなくMattersburgに到着. 結構ぱらぱら人が降りた. 駅から少し離れた線路沿いのショッピングセンター脇で列車を眺め, ついでにスーパーで軽く朝飯を買って駅へ戻り, 1時間後の列車を待ちながら駅のベンチで食事.
[Mattersburg → Sopron : Burgenlandらしい風景]
Mattersburgを出ると両側はすっかり田舎らしくなり, なだらかに波打つ斜面一面に牧草地and畑. もちろんこのシーズンだから畑はお休み中だが. 国境を越えるとオーストリアより少しくたびれた家とマンションアパートが増え, まもなくEbenfurth/Wulkaprodersdorf方面から来た路線と合流してSopronへ到着.
Wr. Neustadtから来た車両は基本的に全て7番線の到着で, 専用の階段を下りて地下道を通り, 入国審査場へ向かう. パスポートを広げながらごそごそスタンプを引っ張り出していたところをみると, 非EU圏からの観光客はあまり降りないのかな.
[Sopron : ハンガリーの出島]
ショプロン(Sopron)はハンガリー最西部の町で, オーストリアの領土に食い込むようにある. オーストリア-ハンガリー二重帝国崩壊の時に住民の投票でオーストリア入りを回避してハンガリーに帰属した過去を持ち, 近年は東欧共産圏崩壊の引き金の一つであるヨーロッパピクニック計画の舞台にもなった. ハンガリー領内の町としては珍しくオスマン・トルコの侵略の際の破壊を免れた中世の町並が保存された町である…そうな.
駅前から北側の旧市街に向かって歩いていくと, まずは旧共産圏らしい画一的なアパートが並び, 広い道を一本渡るとクラシカルな町並に変わる. この通り沿いは商店街が並び, 平日の午前中ではあるがぽちぽちと人がいた. 銀行が幾つかあり一応一通りぐるっと眺めてみたが, ぱっと見た限りだいたい1Euro=240-240.5Ft程度だった. えり好みするほどの差はないということか. 店の表示は当然マジャール語だが, 道路標識などは結構な頻度でドイツ語が併記されていて助かる. 中にはEuroで値段が表記されている店もチラホラ….
[Sopron旧市街 : 別世界…なのか寂れてるのか]
旧市街を馬蹄形で取り囲むこの通りの反対側まで歩き, マリア像のところから折れて, 火の見の塔の下を潜って旧市街へ入る. ちなみに旧市街全体の町並を見下ろす絶好のポイントである火の見の塔は現在冬期閉鎖中で上れない. 3月下旬から….
さて, 自動車が走り, 人が行き来し, 店の開く表通りから中へ入ると, そこは別世界. 表からは想像できないような落ち着いたたたずまい…といいたいところなのだが, あまりに人がいなくてがらがらの路地, レストランやホテルが若干あるものの, 冬期で表戸も閉まり, それほど出入りする人もおらず, ちょっと雰囲気が寂しい. もちろん冬の寒さとの相乗効果もあるのだろうが.
Hauptplatz
まあとりあえず歴史的建造物を見て回ろう. 正面の広場の真ん中には三位一体の像が建ち, その後ろにSopron名物, 建築様式ごちゃまぜのベネディクト教会, 通称山羊教会がある. 早速その教会の中へ入ってみると…祭壇付近はまるまる修復工事中, 櫓が組まれていてろくに見えない. がっくり.
気を取り直して旧市街をぐるりと一周…でなくて三周くらい…. 実際旧市街は100m程度の道路4本分なので, あっという間に一周できてしまうのであった. 歴史的建造物は基本的にほぼ全てこの旧市街にあるので, ここをうろうろしていれば十分でもある. 石畳の所はいいにしてもアスファルト道路部分はひび割れデコボコ, 家の並びはきれいだが, 人が少なく相変わらずガラガラ.
まああまり観光地化しすぎたり左も右も観光客というのは嫌ではあるけど, 街を見物に来てその街なりの活気がないというのはどういうもんかなあ. もちろんこんな冬のオフシーズンの平日午前中だからこそなのだろうけど, やっぱり寂しい. 私は割とオフシーズンでもうろうろする人間であるが, さすがに時期が悪かったか.
[旧市街北側 : 見えないじゃん]
いくらなんでも1時間半うろうろしただけで帰るのはあまりなので, ちょっと北側の丘側に上ってみる. 聖霊教会という中世教会の脇から斜面をてくてく上ってゆき, 旧市街がどこから見渡せないかなあとちらちら振り返ってみるが, これが斜面の建物にさえぎられてさっぱり見えない. 火の見の塔や教会の塔などは合間からちらちらと覗くのだが, どうも途中から旧市街全体を見渡すのは無理らしい. 火の見の塔に上れなくても多分丘から見えるだろうという見通しで来ただけにこれまたかなりがっくし. 結局住宅地の間をぐるっと回って帰ってきた….

結局ぐるっと回っただけで実際特に何もしてこなかったが, とりあえず紹介込で旅行記に加えることにした. やはりもっと暖かいシーズンに行けば, 雰囲気もだいぶ違うのであろう.


2005年11月20日(日)

[行き残しへ寄り道]
上記ショプロン旅行で行かなかったフェルテードのエスターハージ城だが, Neusiedler See線の乗車にあわせ, せっかくなので寄って来た.

[雪の舞うSopron]
前回と同じ列車で到着したSopronは, 今日ははらはら雪の舞う景色. 11月に入ってまたも火の見の塔はクローズで登れない上に, 今回は日曜で教会すら入れない. せっかくなのでまた旧市街を二周くらいぐるっと歩き回ってきたが, レストランはともかく, 土産物屋も開いていない. まあ二度目で, 寄り道だしね…. ハンガリー人らしい団体さん御一行が2,3組歩いていた. 人の少なさは前回と変わらず, むしろ周囲も店のしまっている分閑散としている. まあ日曜の午前中ということもあるかもしれないが.
[→ Fertõd : バス利用]
さて, 旧市街の西側へ少し歩くとバスターミナルがあり, Fertõdへはここからバスを使う.実は同じような時間で列車もあったのだけど, まあ一度くらいはバスを使っておこうかと(笑). ターミナルは中央に島状待合スペース&購買スタンドがあり, 両側に乗り場が約15. まあ一度にそれほど頻繁にバスが出る訳でもなく, 見ていれば分かるが, 主要行き先別の出発時刻表があり, そこに乗り場番号も書いてある. 時刻は事前に調べていったものとちゃんとあっているね. ほんと予定が立てやすくて助かる. 待合室はあるが, 外をしばしうろうろしながら待っていると, 出発数分前に運転手が駐車スペースに止まっていたバスに乗り込み, 乗り場へ移動. 結構乗客はおり, ぞろぞろと運転手からチケットを購入. む, 列車より高いな.
バスは旧市街のカジノ脇, 駅前と続けて止まって更に乗客を乗せると, 後は一路田舎へ. 途中Kópházaを過ぎると, まもなくバスはゆるい斜面の上に出て, 正面にノイジードラー湖の広大なステップ草原と, そのずっと向こうにちらりと湖面が見える. おお, こんなところで見えるとは! この湖は東岸の一部を除き湖岸がびっしりステップ平原なので, 案外湖面を見るのが難しい. 特に南のハンガリー側は5-10km近く平原が広がるので, 湖面ははるか彼方だ. 実は貴重な場所? ほんとに見えるのは一瞬だけで, バスが坂を下りていくと, すぐに草原の向こうへ沈む.
Balfの村からは湖南岸をしばらく走り, 線路を越えるとまもなくFertõdだ. 城の正門前ではなく, 一つ手前, 城の敷地のハズレにある, Fertõd autóbusz-Váróteremで下車. 当然ここもアナウンスも表示も何もないので, 勝手に判断して停車ボタンを押す.
[Esterházy城 : 広大な庭]
Fertõd(フェルテード)の村の中心は城の反対側にもう1kmくらい行ったところにあり, 先の駅から城前まで道沿いに一応家は並ぶものの, 城の正面に小さなレストランとグラウンド, それにお土産屋みたいな小さな店が何軒かある程度の田舎だ. バス停からしばらく林の中を歩くと, Esterházy(エスターハージ)城裏側の庭へ出る. なにせこの庭は馬鹿でかい. 南に4kmほど離れたFertõszentmiklósの村まで続く庭は, 城からしばらくは丁寧に剪定された木々と芝生のエリアが続き, その更に南には狩猟用の林がだーっと続く. これも人工だ. よく作ったものだ.
[Esterházy城 : 内部見学]
ようやく表に回り, 入り口から入ってガイドツアーの申し込みをする. 今は13時30分ということで, 14時くらいかな, と思っていったのだが, 13:40と半端な時間のスタートだと告げられる. まあこちらは構わないが. ツアーは6人だったが, ガイドさんはマジャール語しか話さず, 私一人は英語のリーフレットを渡されて勝手に読めと. 個人的には例の電話機型ガイドより読む方が好きだけどね.
Schl. Esterhazy Vd. Seite
城そのものは前庭を取り囲むようにぐるっとコの字型をしているが, ガイドはその中心部分の1,2階. かつてEsterházy公が夏の離宮に利用した城で, 居室の他, ハイドンが初演に使ったホールなどもあるが, 20世紀前半はかなり放棄されていたようで痛みが激しく, 展示物はあちこち改修の上で, ということになり, 微妙に質素な雰囲気(苦笑). 城の正面と庭はそれなりに見る価値はあるかもしれないが, 約40分のツアーは少なくともハイドンファン以外が「敢えて」見に行くところでもないような気がした….
[お帰りは列車 : Fertõd → Wien]
積もるほどではないものの, 時々雪の舞う11月下旬の曇り空ということもあり, 15時を過ぎると薄暗くなってくる. もう少し庭を散歩したのち, この城から先ほどバスが走ってきた道路を歩いて2km弱ほど戻り, Fertõszéplak-Fertõdの駅へ. この駅は切符販売無しの田舎駅だが, 隣の踏み切りを手動で上げ下げする駅員さんがいる. ノイジードラー湖の北側Neusiedl am Seeから湖東側を回り, 国境を越えて南のFertõszentmiklósまで往復するこの国際路線はハンガリーの私鉄GySEVの路線だが, 現在運行はオーストリア国鉄で, 直接Wienまで乗り入れている. しばらく待っているとオーストリアの主力二階建て近郊列車が, なぜかウィーン空港エキスプレス(CAT)塗装の機関車に引かれてやってきた. 細い水路が延びる国境越えの走行中にパスコントロールが来て, スタンプを貰い, 後は一路Wienへ戻るだけ. 一応結構防寒してきたのだが, 外に長くいたせいか, やはりちょっと寒かった.

現地の行程

1/7 Wiener Neustadt Hbf dep 8:37 ÖBB-R7711 --
Mattersburg arr 8:59
dep 9:58 ÖBB-ER7713 1.6Euro
Sopron arr 10:15
Sopron散策
Sopron dep 13:43 ÖBB-ER7724 ---
Wiener Neustadt Hbf arr 14:22
11/20 Winner Neustadt Hbf dep 9:33 ÖBB-ER7713 --
Sopron arr 10:15
Sopron散策
Sopron autóbusz állonás dep 12:20 VOLÁN(バス)29 381HUF
Fertõd autóbusz váróterem arr 13:06
Esterházy城庭散策
Esterházy城内部ガイドツアー start 13:40 徒歩 1000 HUF
end 14:30
Esterházy城庭&周囲散策
Esterházy城 dep 15:20 徒歩 --
Fertõszéplak-Fertõd Bhf arr 15:45
dep 16:03 ÖBB-E7960 --

参考


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